一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

タイトル戦出場の高齢記録

2019-10-07 00:34:06 | データ
木村一基九段が46歳にして初タイトルを獲得したが、歳を取れば取るほどタイトル戦に出るのが難しくなるのは自明である。では中年での出場はどのくらいいるのか。最高齢から順に、調べてみた。
対象は戦後のタイトル戦。年齢は、第1局開始時に統一した。

66歳11ヶ月 大山康晴十五世名人 1990年・第15期棋王戦
53歳0ヶ月 升田幸三実力制第四代名人 1971年・第30期名人戦
50歳10ヶ月 米長邦雄永世棋聖 1994年・第52期名人戦
50歳5ヶ月 二上達也九段 1982年・第40期棋聖戦
49歳4ヶ月 森雞二九段 1995年・第43期王座戦
48歳4ヶ月 塚田正夫名誉十段 1962年・第1期棋聖戦
48歳0ヶ月 羽生善治九段 2018年・第31期竜王戦
47歳2ヶ月 木村義雄十四世名人 1952年・第11期名人戦
47歳Xヶ月 木村一基九段 2020年・第61期王位戦(確定)
46歳4ヶ月 中原誠十六世名人 1994年・第43期王将戦
46歳1ヶ月 丸山忠久九段 2016年・第29期竜王戦
45歳9ヶ月 郷田真隆九段 2017年・第66期王将戦
45歳6ヶ月 加藤一二三九段 1985年・第26期王位戦
45歳6ヶ月 西村一義九段 1987年・第50期棋聖戦
44歳0ヶ月 森内俊之九段 2014年・第27期竜王戦
44歳0ヶ月 谷川浩司九段 2006年・第64期名人戦
43歳3ヶ月 佐藤康光九段 2013年・第62期王将戦

当然ながら、上記のタイトル戦はすべて敗退。引退、物故者は、これが最後のタイトル戦となる。
個別に見ると、大山十五世名人の「66歳11ヶ月」が燦然と輝いている。
升田実力制第四代名人の「53歳で名人挑戦」も凄まじい記録だ。返す返すも、大山名人をカド番に追い込んでからの第6局、第7局の連敗が痛かった。
木村九段は王位を獲得し来期の七番勝負出場も確定させたが、これは木村十四世名人の47歳に並ぶ大記録となる。
中原十六世名人は46歳が最後のタイトル戦出場。タイトル64期でも、意外に打ち止めが早かった(2020年10月2日註:私の記憶違いがあり、訂正しました。お詫びします)。
それは谷川九段や森内九段にもいえ、かように中年からのタイトル戦出場は難しい。
ノンタイトルは西村九段のみ。しかし上記の通り、タイトル戦に出たことが立派な勲章だ。
40代も後半になるとタイトル戦登場は期待できないが、羽生九段だけは別。今後どこまでその記録を伸ばすか、注目したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴代タイトルホルダー一覧<女流棋戦編>

2019-10-01 00:07:19 | データ
9月28日に、歴代タイトルホルダーを記したが、今日は女流棋戦のタイトルホルダー一覧を記してみる。戴冠順である。

蛸島彰子女流六段 7期(女流名人4、女流王将3)
山下カズ子女流五段 4期(女流名人4)
林葉直子さん 15期(女流名人4、女流王将10、倉敷藤花1)
中井広恵女流六段 19期(女流名人9、女流王将4、女流王位3、倉敷藤花3)
清水市代女流六段 43期(女流名人10、女流王将9、女流王位14、倉敷藤花10)
斎田晴子女流五段 4期(女流名人1、女流王将2、倉敷藤花1)
矢内理絵子女流五段 6期(女王2、女流名人3、女流王位1)
石橋幸緒さん 3期(女流王位2、女流王将1)
千葉涼子女流四段 2期(女流王将2)
里見香奈女流六冠 37期(清麗1、女王1、女流王座4、女流名人10、女流王位5、女流王将7、倉敷藤花9)
甲斐智美女流五段 7期(女王1、女流王位4、倉敷藤花2)
上田初美女流四段 2期(女王2)
加藤桃子女流三段 8期(女王4、女流王座4)
香川愛生女流三段 2期(女流王将2)
西山朋佳女王 2期(女王2)
渡部愛女流三段 1期(女流王位1)

清水女流六段と里見女流六冠でタイトル80期。全体で162期だから、この2人で約半数を占める。
女流棋界45年でタイトル経験者16人は、多いか少ないか分からない。
引退2名、退会2名。素晴らしいのは、全員が存命ということだ。というか女流棋士自体、亡くなった方が少ない。1997年に亡くなった杉崎里子女流四段くらいだろうか。
現在は里見女流六冠と西山女王がタイトルを保持しているが、ほかのタイトル経験者だって、虎視眈々とタイトル奪回を狙っているだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴代タイトルホルダー一覧

2019-09-28 00:06:52 | データ
17日の棋聖戦観戦記は、文中にタイトルの獲得者数が記されており、興味深かった。それによると、43名だそうである。そして木村一基九段が戴冠したので、44名になった。
そこで今日は、タイトルホルダー一覧を記してみる。戴冠順である。

木村義雄十四世名人 8期(名人8)
塚田正夫名誉十段 6期(名人2、九段4)
大山康晴十五世名人 80期(名人18、九段・十段14、王位12、王将20、棋聖16)
升田幸三実力制第四代名人 7期(名人2、九段2、王将3)
二上達也九段 5期(王将1、棋聖4)
山田道美九段 2期(棋聖2)
中原誠十六世名人 64期(名人15、十段11、王位8、王座6、棋王1、王将7、棋聖16)
加藤一二三九段 8期(名人1、十段3、王位1、棋王2、王将1)
内藤國雄九段 4期(王位2、棋聖2)
有吉道夫九段 1期(棋聖1)
米長邦雄永世棋聖 19期(名人1、十段2、王位1、棋王5、王将3、棋聖7)
大内延介九段 1期(棋王1)
森雞二九段 2期(王位1、棋聖1)
谷川浩司九段 27期(竜王4、名人5、王位6、王座1、棋王3、王将4、棋聖4)
森安秀光九段 1期(棋聖1)
高橋道雄九段 5期(十段1、王位3、棋王1)
桐山清澄九段 4期(棋聖3、棋王1)
中村修九段 2期(王将2)
福崎文吾九段 2期(十段1、王座1)
塚田泰明九段 1期(王座1)
南芳一九段 7期(棋王2、王将3、棋聖2)
田中寅彦九段 1期(棋聖1)
島朗九段 1期(竜王1)
羽生善治九段 99期(竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16)
屋敷伸之九段 3期(棋聖3)
郷田真隆九段 6期(王位1、期王1、王将2、棋聖2)
佐藤康光九段 13期(竜王1、名人2、棋王2、王将2、棋聖6)
三浦弘行九段 1期(棋聖1)
藤井猛九段 3期(竜王3)
丸山忠久九段 3期(名人2、棋王1)
森内俊之九段 12期(竜王2、名人8、棋王1、王将1)
渡辺明三冠 23期(竜王11、王座1、棋王7、王将3、棋聖1)
深浦康市九段 3期(王位3)
久保利明九段 7期(棋王3、王将4)
広瀬章人竜王 2期(竜王1、王位1)
糸谷哲郎八段 1期(竜王1)
佐藤天彦九段 3期(名人3)
菅井竜也七段 1期(王位1)
中村太地七段 1期(王座1)
高見泰地七段 1期(叡王1)
豊島将之名人 3期(名人1、王位1、棋聖1)
斎藤慎太郎王座 1期(王座1)
永瀬拓矢叡王 1期(叡王1)
木村一基王位 1期(王位1)

戦後70余年で44名は少ないのだろう。それだけタイトル獲得は難しいということだ。
ただしこの2、3年では、初戴冠が頻発している。観戦記では、防衛の難しさにも言及していた。かつて大山十五世名人は、「タイトルは防衛してはじめて一人前」と言ったが、至言である。
藤井聡太七段の初タイトルはいつになるだろう。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第6局に勝った棋士は、第7局に勝つか

2019-09-13 00:12:02 | データ
9日、10日に指された第60期王位戦七番勝負・豊島将之王位対木村一基九段の第6局は木村九段が勝ち、フルセットに持ち込まれた。私は木村九段が追い付くと思わなかったので、意外だった。とはいえ内容を見ると木村九段会心の一局で、最終第7局に期待を抱かせる。
ところで七番勝負の3勝3敗の前は当然3勝2敗で、2勝側が追い付くことになる。王位戦のフルセットは何回目なのか。そして第6局を勝ったほうは第7局も勝ったのか、調べてみた。

1971年 第12期 中原誠二冠●○●●○○→●大山康晴王位
1979年 第20期 中原誠王位○●●○●○→千●米長邦雄八段
1981年 第22期 大山康晴王将●○●●○○→●中原誠王位
1984年 第25期 加藤一二三九段○●●○●○→○高橋道雄王位
1988年 第29期 谷川浩司王位●○○●●○→●森雞二九段
1990年 第31期 佐藤康光五段○●●○●○→●谷川浩司王位
1994年 第35期 羽生善治王位○○●●●○→○郷田真隆五段
2000年 第41期 谷川浩司九段●○●○●○→●羽生善治王位
2005年 第46期 羽生善治王位●●○○●○→○佐藤康光棋聖
2007年 第48期 羽生善治王位●●○●○○→●深浦康市七段
2008年 第49期 羽生善治名人○●●●○○→●深浦康市王位
2009年 第50期 深浦康市王位●●●○○○→○木村一基八段
2011年 第52期 羽生善治二冠●●○○●○→○広瀬章人王位
2016年 第57期 羽生善治王位●○○●●○→○木村一基八段
2018年 第59期 豊島将之棋聖●○●○●○→○菅井竜也王位
2019年 第60期 木村一基九段●●○○●○→?豊島将之王位

フルセットは第12期で初めて現れた。それまでは大山王位の全盛期で、フルセットまで行かなかったのだ。第12期以後、今回で16回目となる。
戦績は、追い付いた側の第7局が7勝8敗(.467)。第6局を勝った勢いで第7局も……とは簡単にいかないのだ。ただし直近の4回は、追い付いた側が第7局も制している。王位側から見ると、9勝6敗である。
ちなみに木村九段はかつて2度、相手をカド番に追い込みながら、2度とも第6局と第7局を敗れている。今回は逆の立場だ。
また、若き王位・名人対オジサンという構図では、第29期の谷川王位対森九段と同じだ。

参考までに、竜王戦(九段戦・十段戦)、名人戦、王将戦も調べてみた。こちらは数字のみとするが、フルセットの回数、そして第6局・第7局を連勝の回数を記す。

竜王戦 8回→3回
十段戦 10回→2回
九段戦 1回→0回
名人戦 16回→10回
王将戦 16回→9回

フルセットは合計51回。そのうち、第6局と7局の連勝は24回となった(.471)。王位戦とほぼ同じ勝率である。
結局第7局は、強い方が勝つ、ということだ。決戦は25日、26日。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第1局の千日手

2019-09-04 00:11:27 | データ
2日の王座戦五番勝負第1局は、千日手になった。そこで、タイトル戦の第1局が千日手になった例を調べてみた。
下のカードがそうだが、左側が千日手局の先手。○●は指し直し局のもので、当然先後は逆となる。カッコ内はシリーズの結果。

1954年 第13期名人戦 87手 ○大山康晴名人VS●升田幸三八段(防衛)
1956年 第6期王将戦 57手 ●大山康晴八段VS○升田幸三王将(防衛)
1959年 第18期名人戦 70手 ○升田幸三名人VS●大山康晴九段・王将(奪取)
1967年 第10期棋聖戦 78手 ●大山康晴棋聖VS○山田道美八段(奪取)
1993年 第18期棋王戦 122手 ●羽生善治棋王VS○谷川浩司二冠(防衛)
2002年 第15期竜王戦 64手 羽生善治竜王VS阿部隆七段
2002年 第15期竜王戦 64手 ●阿部隆七段VS○羽生善治竜王(2回目)(防衛)
2005年 第53期王座戦 75手 ●佐藤康光棋聖VS○羽生善治王座(防衛)
2007年 第56期王将戦 70手 ○佐藤康光二冠VS●羽生善治王将(防衛)
2009年 第50期王位戦 55手 ●深浦康市王位VS○木村一基八段(防衛)
2012年 第53期王位戦 66手 ○羽生善治王位VS●藤井猛九段(防衛)
2016年 第87期棋聖戦 92手 ●羽生善治棋聖VS○永瀬拓矢六段(防衛)
2019年 第77期名人戦 58手 ●佐藤天彦名人VS○豊島将之二冠(奪取)
2019年 第67期王座戦 62手 ○永瀬拓矢叡王VS●斎藤慎太郎王座

2日の王座戦まで、第1局の千日手は13回ある。2002年の第15期竜王戦は、2回連続で千日手になった。1回目は阿部七段がゴキゲン中飛車に出たが、双方ジリジリと間合いを測って千日手。翌日の指し直し局は相矢倉になったが、これも双方手が出せず、千日手になった。タイトル戦の2回連続千日手は、1994年の第63期棋聖戦第3局、羽生棋聖対谷川王将戦以来である。ちなみにタイトル戦全局を合計すると、57回の千日手となる。
1967年から1993年まで、25年間半、開幕局の千日手はなかったが、21世紀に入って、2~4年に1回は現れている。ことに今回の王座戦は春の名人戦に続いて2度目で、1年に2棋戦は初めて。永瀬叡王はタイトル戦登場4回目にして、早くも2度目の千日手となった。
13局の平均手数は78.5手。やはり中盤での千日手が多いが、唯一の3ケタ手数となった第18期棋王戦は白熱の終盤戦で、図から▲4二金△3三金打▲3二金△同金▲4二金……を繰り返しての千日手となった。

開幕局からの千日手はどうなのか。シリーズの序章として盛り上がると取るか、のっけからハシゴを外された、と取るか。内容にもよるが、私は後者だろうか。
もっとも、昔は日を改めての指し直しだったが、現在は即日指し直しなので、観戦者のストレスはないかもしれない。
指し直し局の勝敗だが、タイトル保持者側は勝ったり負けたり。指し直し局の後手番は4勝8敗で、やはり気分的に、後手番に回ったほうがイヤなのだろう。
番勝負全体では、タイトル保持者の防衛9回、挑戦者の奪取3回となっている。平成以降だとそれぞれ7回と1回で、さらにタイトル保持者の分がいい。
王座戦では、挑戦者の永瀬叡王が勝ったが、シリーズの行方はいかに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする