一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第2回電王戦を振り返って

2013-08-20 00:03:34 | 将棋イベント
どうでもいいんだが、マイナビのサイト(の棋譜)が、「渡辺弥生女流1級」になっている。渡辺女流1級は女流王座戦でベスト4に入り、「女流初段」ですよ。北尾まどか女流初段は早々に「女流二段」としておいて、女流王座戦での昇段は無視する、ということだろうか。
入力者も将棋スタッフなのだろうから、素人みたいな間違いをしないでもらいたい。


3月22日(土)から1週間ごとに行われた第2回電王戦。結果は以下のとおりとなった。

○阿部光瑠四段―●習甦
●佐藤慎一四段ー○Ponanza
●船江恒平五段ー○ツツカナ
△塚田泰明九段ー△Puella α(持将棋)
●三浦弘行八段(当時)ー○GPS将棋
(コンピュータの3勝1敗1持将棋)

戦前の私の予想は、コンピュータ側の5勝0敗。ところが開幕してみると、阿部四段が習甦相手に完勝し、私の読みは早くも崩れた。
第2局・佐藤-Ponanza戦も、Ponanzaが中盤までで飛車桂交換の駒損。コンピュータの2連敗もありえたが、そこからPonanzaが辛抱強く?指し、逆転に成功。最後はコンピュータらしく、正確な指し手で寄せ切った。
佐藤四段はいい将棋を落としたが、終盤は佐藤四段に疲労の色が見え、形勢逆転は時間の問題、の雰囲気はあった。
ともあれコンピュータがプロ棋士に勝った、歴史的な一局であった。
第3局も、船江五段が優位に進める。94手目ツツカナは△6六銀と捨ててから△4二歩! 観戦中は、この銀捨てはツツカナの見落としかと思われたが、実際は妙手だったようだ。
とはいえ船江五段が金と成桂を払って自陣の憂いをなくし、銀得。さすがにこれは船江五段が余すか、と思われた。
しかし第2局もそうだったが、コンピュータ側は、このくらいの駒損は何とも思わないようである。もっともコンピュータに感情はないが。あくまでも最善手を続け、船江五段を楽にさせない。
こうなると疲れのないコンピュータのペースだ。この後もツツカナは冷静?に指し、最後は船江五段が体力負けの感じで、無念の投了となった。
第4局は相矢倉。Puella αがうまく指し、必勝形となった。
ところが塚田九段がなかなか投げず、挙句はムリヤリ入玉を図る始末。ただこれでは駒数が全然足りず、私には塚田九段が、ただ悪あがきをしているだけにしか見えなかった。
しかし数手進み、塚田九段がPuella αの馬を詰ましてみると、持ち点が急接近。最後は持将棋となった。
必敗の将棋を持将棋に持ち込み、塚田九段へのネット上の罵声は、賞賛の声へと変わったのである。
しかし時を経てみると、この塚田九段の指し方はどうだったのだろうと思う。相手がコンピュータだから持将棋で逃れようとは、考えが退廃的ではないか。たとえば塚田九段のこの指し方を見て、「頭金で詰まされるまで投げないぞ!」と決意を新たにする愛棋家が出たら、それはそれで問題ではあるまいか。
持将棋模様になってからのコンピュータの指し手なども含め、本局は大きな課題をいくつも残した。
最終第5局は、三浦九段とGPS将棋の一戦。相矢倉から、後手のGPS将棋がいままでにない仕掛けを敢行し、しかもそれで後手も指せる、となったから驚いた。
その後もコクのある戦いが続くが、最後はGPS将棋が細い攻めを繋げて快勝。計5局でコンピュータの3勝1敗1持将棋となった。
これはコンピュータが大健闘、というところだが、私の予想は「コンピュータ5勝0敗」。星はもちろん、内容も快勝のつもりだったので、いささか不満の残る数字ではあった。

さてあす21日は、日本将棋連盟が電王戦に関する記者発表会を行う。たぶん「第3回」のことだろうが、コンピュータの世界は日進月歩。その「棋力」は、いまや完全にプロ棋士のそれを越えていると考える。
そこであらためて書く。第3回で棋士側の誰が出ても、持ち時間が6時間になっても、棋士はもう、コンピュータには勝てない。これが私の考えである。
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