一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

木村一基九段がタイトルを取れた理由

2019-09-27 12:34:54 | 男性棋士
豊島将之王位に木村一基九段が挑戦する第60期王位戦第7局は、26日、110手まで木村九段の勝ち。木村九段はタイトル挑戦7回目にして、初のタイトルを獲得した。
第7局も豊島王位が攻め、木村九段が受けるという展開だった。中盤、豊島王位の▲7三銀に△5一飛が意表の手で、これはのちの▲7三角成が飛車に当たるから損とされていた。
指しかけの局面も、後手の形は私から見たら不安だらけで、すぐにも攻め潰されそうだ。
しかし攻めるは守るなりで、80手目△7七銀が好手だったようだ。以下▲5八玉△7八銀不成となると金の丸儲けも大きく、プロは均衡を保つものだと感心した。
そして84手目△6九角が強手(第1図)。

この手は最後の最後まで読めないと指せない手らしく、それが打てたということは、木村九段の勝利を意味する。とはいえ以下▲4九玉△3六角成の局面も素人から見たら優劣不明で、ここで後手勝ちと断ずるプロの見解が凄まじい。私はこういう時、プロとアマの実力差を痛切に感じるのである。
数手進んで、102手目△4五桂(第2図)が会心の跳躍である。

これは62手目▲6五銀取りに打ったものだが、すぐに銀交換となり、盤面から消えていた。すなわち△5三桂は、半分スカタンになったのだ。
だが勝ち将棋鬼のごとしで、勝つ時はこういう遊び駒が働くものなのだ。
最後は▲2一飛成の王手に△2二飛合で豊島王位投了。どうであろう、いかにも木村九段らしい終了図ではないか。

第1、2局の連敗からの逆転奪取である。繰り返すが、46歳3ヶ月での初戴冠は見事。これは有吉道夫九段が1973年に達成した「37歳6ヶ月」を大幅に更新するものである。
このところの木村九段は、順位戦はA級復帰、竜王戦は挑戦者決定戦進出、そして王位戦は、羽生善治九段と時の名人を降しての戴冠と、凄まじい勢いである。まさに神懸かりで、この歳で棋士人生の絶頂とは、説明がつかない。いったい木村九段に何が起こったのだろう。
木村九段がタイトルを取れた理由。それは一にも二にも努力の賜物なのだろう。人間、努力すれば必ず報われる。それを体現してくれた木村九段の快挙だった。
木村先生、おめでとうございます。
コメント (2)
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