一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「将棋世界」新年号を読む

2024-12-27 13:26:20 | 将棋雑記
「将棋世界」は年末進行なので、もうちょっとで2025年2月号が送られてくる。このままでは本当にマズイと、私は1月号を袋から出し、読んでみた。将棋世界を読むのは実に数ヶ月ぶりとなる。
表紙は羽生善治日本将棋連盟会長。新・将棋会館を前にパチリ、である。私は、藤井聡太竜王・名人が表紙だと思っていたが、このチョイスは確かに正しい。
別冊付録は、及川開拓馬七段による「初段 常識の手筋Ⅲ」。
むかしは、新年号の別冊付録は気合が入っていて、「全棋士出題次の一手」とか「全棋士出題詰将棋」とか、特別感があった。現在はふつうの付録?で、あまり高揚できない。実質正月に読む2月号にそれがあるのだろうか。
話を戻し、今回の付録はシリーズ3回目で、過去2回は再編集し、単行本化された。この付録は私も保存してある。
「はしがき」で、「私はアマ初段が壁でした」という一文が泣かせる。棋士はアマ初段がただの通過点でしかないので、こちら側に寄り添ってくれる記述にホッとした。
内容は全50問。部分局面の第22問までは手筋の再確認という意味でサラサラいけるが、第23問目以降は、けっこうホネのある問題が増えてくる。この1冊で相当な価値がある名著だ。
タイトル戦は第37期竜王戦七番勝負で、第4局がメインである。書き手は大川慎太郎氏で、大川氏の記述にはずれなし。今号も練りに練った観戦記を堪能できる。
第2、第3局は、渡辺和史七段と山川泰熙四段の解説。対談形式で、往年の名企画「タイトル戦を斬る!」を彷彿とさせる。
構成は相崎修司氏。この仕事が重要で、解説者が奔放な語りを破綻なくまとめなければならない。
特別企画は、鈴木宏彦氏の「将棋会館物語」。各対局室で紡がれた名局を掘り起こすというあまりにも無謀な企画で、今月は「銀沙・飛燕・歩月・香雲編」である。
本文にもあるとおり、東京・将棋会館の対局室といえば、「特別対局室・高雄・将棋峰・雲鶴」しか知らないので、この名称は新鮮だった。
鈴木氏の記述は手慣れたもので、安心して読めた。
勝又教授の「プロも驚く仰天妙技」は、「横歩取りクロニクル」の後編。横歩取りの歴史をざっと振り返っているが、6ページでは短すぎる。10ページはほしかったところである。
戦法特集は、大島綾華女流二段による「対四間飛車 金無双急戦」。女流棋士が講師というのは異色だが、大島女流二段はこの戦法を得意にしているらしい。
私がこの戦法を始めてみたのはだいぶむかし、羽生善治九段が指したときで、6八(4二)の位置には銀がくるものと思っていたから、飛車落ち下手のような指し手には意表を衝かれたものだ。
しかし本文を読むと駒がまとまっているため理に適っており、とても勉強になった。実戦で試す価値は大いにある。
なぜか短編小説が載っていて、遠藤遼氏の「夕陽色の将棋盤」である。これなど「将棋ペン倶楽部」に投稿してほしいところだが、同誌は原稿料が出ず、発行部数も少ない。将棋世界での掲載で正解である。
「公式棋戦の動き」も、大川氏記述。むかしは関浩七段も担当していた。大川氏の取材も丹念で、プロの妙技を堪能できる。
そのほかにも読み物たっぷりで、税込920円。これ1冊を読み込むだけでもかなり勉強になる。やはり将棋世界は面白い。
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