一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

中村八段が竜王戦でまた負けた

2024-12-24 23:30:30 | 将棋雑記
日本将棋連盟19日の対局結果を見てびっくりした。第38期竜王戦5組1回戦で、中村太地八段が、渡辺正和六段に敗れていたからだ。
中村八段は元王座で、A級2期目の気鋭。対して渡辺六段はフリークラス6期目。勝敗予想をすれば、10人中9人が中村八段の勝ちを予想する。だがその将棋を、中村八段は負けた。
私はネットでこの将棋を見てみた。中村八段の先手で、相掛かり。中盤、中村八段の攻めがうまく決まって、勝敗を知らなかったら、このまま中村八段が勝つと信じて疑わなかった。
ところがその後、渡辺六段がダサい手順で香を入手し。6筋に据えたのが反撃の第一弾。中村八段は竜を逃げたが、渡辺六段はさらに、竜取りに角を打った。これが妙な角というか妙角で、以下大きく駒を捌き、渡辺六段が面白い形勢となった。以下、渡辺六段の着実な攻めが冴え、渡辺六段の快勝となった。
プロの実力差は紙0.1枚(木村義徳九段)を再認識する勝敗だった。
中村八段は計算外だったろうが、そもそもA級の中村八段が、竜王戦で5組にいるほうがおかしい。
竜王戦は順位戦に比べて風通しがよく、年度20名が昇降級する。だから順位戦でくすぶっていても竜王戦では上のクラス、という例も少なくなく、たとえば八代弥七段は順位戦がC級2組なのに、竜王戦では1組である。
ところが中村八段はその逆だ。昨年3月に中村七段(当時)がA級昇級を決めたとき、竜王戦は4組だった。4組の棋士がA級に昇級したのは初めてで、当時プチ話題になった。
いや中村八段も、竜王戦は2組まで昇ったことがあるのだ。ところが順位戦の昇級と交差するようにして、竜王戦は降級を重ねた。そこでこの椿事であった。
さらに驚いたのはそのあとだ。中村八段は第36期竜王戦4組1回戦で宮田敦史七段に敗れていたが、A級昇級で安堵したのか、そのあとの昇級者決定戦で佐藤紳哉七段にも敗れた。
さらに残留決定戦で川上猛七段にも敗れ、5組に降級してしまったのだ。
佐藤七段はC級2組、川上七段に至ってはフリークラスが10年を過ぎ、竜王戦だけしか出場権利がなかった(なお川上七段戦に関しては、かつて記事にしている)。ここは中村八段がどちらかに勝ち、残留を決めなければいけなかった。
竜王戦は第37期も、5組1回戦で長谷部浩平五段に負け。昇級者決定戦では窪田義行七段に勝ったが村田智弘七段に負け、今回の対局となったわけだった。
これだけを取れば「中村八段、弱い」となるが、だけどその間、中村八段はA級で勝ち越し残留を決めていた。つまるところ、竜王戦との相性が悪い、と片付けるしかなかった。
ところで今期の竜王戦、中村八段は昇級者決定戦で、先崎学九段VS川上七段の敗者と当たる。
そう、ここで川上七段がまたも登場する。川上七段は、(恐らく)今期4組に昇級できなければ引退である。となればひとつでも多く勝ちたいが、先崎九段に勝ったとして、2回戦で中村八段との対局を回避できたのは大きい。当然ながら、渡辺六段と戦ったほうが、勝機がある。
ただ逆に、1回戦で負けると、次に中村八段と当たる。こうなったらまた、新たなドラマが生まれそうである。
どの棋戦も番勝負が花形だが、そこに至るドラマを楽しむのも、将棋ファンの醍醐味である。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 竹内五段の順位戦復帰の目を... | トップ |   

コメントを投稿