一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第73期王将戦第4局2日目

2024-02-09 22:15:32 | 男性棋戦
第73期ALSOK杯王将戦第4局(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟)の2日目である。菅井竜也八段の封じ手は、飛車交換に応じる手だった。そしてこれが、正着だったようである。私は、菅井八段が考えすぎて、ヘンな手を指すかと思った。
もっともそれで均衡が保たれているわけではなく、やはり藤井王将が指しやすいようだ。お互い馬を作り、自陣に隙もないのに、なぜか藤井王将のほうがよく見える。やはり1歩得が大きいのだろうか。
菅井八段、2筋の馬をひとつ寄って銀取り。そこで藤井王将が端に飛車を打ったのが妙手だった。
菅井八段は飛車を合わせるしかないが、結果、馬がもとの位置に戻り、丸々1手損になってしまった。中盤の難所で、これは痛すぎる。
そこから数手進み、藤井王将は竜を作り、またもや自陣に引く。あまりにも強固で、あとは自然に指せば勝てる、という雰囲気である。
そして藤井王将は金銀交換のわずかな利に成功。さらに香得を果たした。
その後、馬取りに金を打ったのが手厚かった。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見ているようだった。
続けて藤井王将は金取りに香を打つ。果たして金香交換の駒得となり、これで大勢決した。なんで藤井王将の手にかかると、すべての駒が最大限の働きをするのだろう。
藤井王将、竜を入って王手。これに菅井八段が3分考え、投了した。藤井王将も黙って礼を返す。虚を衝かれたふうでなかったから、藤井王将も勝ちを読み切っていたのだろう。
しかし投了図、社団戦だったら王手を受けて、実は後手が勝つチャンスはまだまだある。少なくとも私が先手を持って、勝ち切る自信はない。だけど菅井八段もすべてを読み切っていたし、抵抗の焔も残っていなかった。
かくして藤井王将は、先の竜王戦に続き、またもストレート防衛。内容的にも圧倒し、4局とも、1手違いにもさせなかった。闘将・菅井八段の胸中、いかばかりか。
藤井王将はこれで最近の成績が、12連勝のあと銀河戦決勝で丸山忠久九段に負け、そこから再び10連勝である。つまりここ23局で、22勝1敗ということだ。もう、すべての棋士に手合い違いという感じで、手が付けられない。
そして藤井王将は、タイトル戦20連覇となった。大山十五世名人の記録が抜かれたわけだが、藤井王将の場合、タイトル戦負けなしの20連覇というのがすごい。
そして、通算タイトルも20期ということで、米長邦雄永世棋聖の19期を抜き、単独6位となった。
米長先生、米長先生が一生をかけて積み上げたタイトル獲得数が、21歳の青年にあっさり抜かれましたよ。
そして来年のいまごろはタイトルが28期になり、谷川浩司十七世名人の27期を抜く。
そして来年の夏に棋聖を防衛すると32期になり、渡辺明九段の31期を抜く。
これは絵空事ではない。対抗の棋士がまったくいない今、極めて現実的な予想である。
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第73期王将戦第4局1日目

2024-02-08 01:06:26 | 男性棋戦
第73期ALSOK杯王将戦第4局(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟)が、東京都立川市で7日から始まった。立川市は昨年創設された「達人戦」の特別協賛企業が居を構えており、最近存在感を増している。個人的には多摩モノレールに乗ってみたいのだが、まだその機会はない。
さてここまで3局は藤井聡太王将の全勝で、大山康晴十五世名人のタイトル戦19連覇の更新に王手を掛けている。
対する菅井竜也八段は今度こそ本当に後がなく、本局に負けると指し込まれてしまう。
将棋は藤井王将の先手で、お互い角道を開けた後、藤井王将が居飛車明示。そこで菅井八段は三間飛車に振った。
すると藤井王将は角を換え、馬作りを目指す。これには菅井八段も馬を作れるが、藤井王将は歩得となる。プロのレベルだと無条件の1歩得は得した側が相当よいと思うし、菅井八段もそれは承知の上で、1歩損でも乱戦に持ち込もう、の意だった。
ただし、どこが急所か分からない凡庸な局面でも、AIと同じ指し手をするのが藤井王将である。だから菅井八段の構想は無理だったと思うのだが、それを言っては詮無い。
いやそもそもの話だが、ふつう対抗形というのは、振り飛車側は飛車を振って美濃に囲うだけで、居飛車がどういう作戦を立てるかに醍醐味があった。
ところが藤井-菅井戦では藤井王将の穴熊戦術が優秀で、菅井八段のほうが趣向を凝らし、藤井王将が応対している感じを受ける。これでは振り飛車ばかりに気苦労がたまってしまう。
藤井王将は馬を1筋に引き揚げ、自陣と敵陣に利かす。藤井王将は駒を目いっぱい使うのが本当にうまい。
対して菅井八段も馬を好所に引き、金銀の配置もまあまあ理想的である。
これらを勘案すると、やはり1歩得の分だけ藤井王将のほうがよいと思うが、どうか。
というところで、藤井王将が銀を腰掛け、飛車交換を迫った。「囲碁将棋プラス」では、カネを出したくない将棋ファンのために、YouTubeで中継をしてくれている。
この局面、早指し戦なら気合いで飛車交換に応じるところだが、それで済ませてはいけないのがタイトル戦で、深く読みを入れなければならない。
果たして菅井八段は長考に沈んでしまった。そしてそのまま封じ手。実に1時間35分の長考だった。
私には次の指し手がまったく分からないが、次に菅井八段は、疑問手を指すと思う。そしてその後悔を引きずったまま、指し手を進めることになると思う。
(つづく)
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軽率の代償

2024-02-07 16:39:27 | プライベート
今年の北海道冬まつりは3連休があり、私はその3日間を旅程に充てたため、チケットの入手が困難になった。復路の飛行機は確保したが、行きがままならない。
そこで、時間的には甚だ不本意だが、北海道までは鉄道で行くことにした。
私は最寄り駅のみどりの窓口で、該当するチケットを買う。ところがANAカードで支払おうとすると、「限度額超過で使えません」の表示が出た。
私はアオくなりながらも、ヨドバシカードで払った。こちらは使えたから、ANAカードに問題がある。実はそれに心当たりがあった。
1月31日朝、いつも見ているテレビ朝日の番組のクイズで、ポイントが規定点をクリアしたので、スマホから応募することにした。
ところがその過程で、メールアドレスやクレジットカードの番号を記入する選択肢が出て、私はそのまま記入した。
ところが画面は英語ばかりになり、すこぶる怪しい。しかも最後に、「毎月7,490円かかります」という日本語の表示が出て、私は慌てて画面を替えた。そのとき書いた番号がANAカードのそれだったというわけだ。
念のためテレビ朝日に問い合わせたが、「当社ではクレジットカード番号を請求することはございません」と、きっぱりと回答があった。その後、スマホのメールに案内が来なかったから、私は自分に大丈夫だと言い聞かせた。
しかし現実はもっと深刻だったわけだ。私はカード会社に連絡をする。すったもんだしてやっと繋がり、かくかくしかじかと要件を話す。
すると担当者は、外国から不審な請求があり、支払いをストップしていたと言った。そして、その旨のメールを送ったという。
私はスマホを毎日チェックしていたが、それらしきものはなかった。そこでPCを開くと、ここに何通も問い合わせのメールが来ていた。こっちに来ていたか! ふだんPCのメールはチェックしていないので、まったく気づかなかった。
メール内容は、1月31日に30,000円の請求があったが、心当たりがあれば「はい」、なければ「いいえ」をクリックしてください、というものだった。「いいえ」をクリックすれば、現行のカードは使用不能、交換となる。
私は混乱しながらも「いいえ」を押す。ところが全然「・」が付かない。見たところこれは文章が文字情報ではなく、画像のようだった。私はいよいよ血圧が上がり、とりあえず電話を切り、「いいえ」を押すことに専念した。
しかしやはりダメで、私はカード会社に再連絡。結果、折り返し電話をいただくことになり、固定電話に連絡が来た。
担当者いわく、1月31日の07時50分、外国から7,490円の請求があり、カード会社が停止したという。
私はカード会社に平謝りしつつ、冷静な対応に感謝した。この前もテレビで芸能人が、「カード番号を記入することになったときは、警戒して絶対に書かない」と語っていたが、賢明である。私はバカで危機感がないから、大事な大事なカード番号をホイホイ記入してしまった。テレビ朝日関連のサイトと錯覚していたとはいえあまりにも軽率だった。
ああ、そしてまた私のANAカードは交換である。紛失や紛失未遂も入れて、何回このカードは交換しているのか。しかも今回もまた、旅行を挟んでいる。今回のチケット購入でもANAマイルはたまらず、面倒なことも多い。自業自得とはいえ、気が滅入る。
いまは、外国の業者から私のメールに連絡が来ることが恐ろしい。軽率の代償は高かった。
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第49期棋王戦第1局

2024-02-06 23:20:37 | 男性棋戦
4日は第49期棋王戦第1局が行われた。藤井聡太棋王に挑戦するのは伊藤匠七段で、昨年の竜王戦七番勝負に続き、2度目のタイトル戦登場である。今年度は4人の棋士が綺麗に2つずつのタイトル戦に挑戦したが、伊藤七段はその四人衆のひとりとなる。先の竜王戦では藤井竜王にストレート負けを喫したが、伊藤七段は十分に実力を出したと思う。相手が強すぎただけだ。
ただ、伊藤七段だって、昨秋から成長している。藤井将棋にピッタリついていけば、藤井棋王の小ミスに乗じて、勝敗をひっくり返すことがあるかもしれない。
振駒で藤井棋王の先手となった。棋王戦の開幕局は、タイトルホルダーが先手番を得て勝つイメージがあるが、本局はどうなるか。
将棋は角換わりとなった。藤井棋王は何を指しても強いが、とりわけ角換わりの将棋は、勝率が10割に近い(やや大袈裟)。伊藤七段が受けて立つからには、それなりの対策があるのだろう。
将棋はノータイムでどんどん進む。最近はAIによる研究が深く、中盤の難しいところさえもノータイムで進む。結局指す手は同じなんだから、考えたってしょうがないでしょう、というところか。昭和のころなら毎回同じ形の相矢倉でも、長考合戦があった。そこに私たちは、プロとアマの違いに唸ったものである。いまは考え方が合理的になったといえるが、将棋が薄っぺらくなった気がして、個人的にはつまらない。
藤井棋王が微差よしで進む中、9筋の歩の垂らしを玉で取った。ここ、香で取るとのちにタダで取られる変化があるからだが、私から見たら玉で取るのは怖い。だけど藤井棋王は、昨年の棋聖戦第3局で、あえて四段目の玉で踏ん張った実績がある。三段目の玉などなんでもないのだろう。
すると伊藤七段は、3筋の歩を突いた。これが深謀遠慮な研究手だったようだ。
だけど私たちには絶対的な藤井信仰がある。最後は藤井棋王が勝つのだと思った。
だが、伊藤七段が2~4筋を開拓すると、様相が変わってきた。藤井棋王はすでに7~9筋を制圧している。ということは、持将棋の可能性ありである。
藤井棋王はこのあたりから熟考を重ねるが、伊藤七段の敵陣開拓は止まらない。
結果、双方の玉が入玉し、17時35分、129手まで持将棋となった。「タイトル戦の持将棋」については、当ブログ2019年9月21日の記事に詳しいが、開幕局の持将棋は、1991年の第4期竜王戦以来、33年ぶり。藤井棋王においては、初の持将棋だった。
驚いたのは局後のコメントで、藤井棋王は「伊藤七段の掌の上(で指していた)みたいな将棋になった」。また伊藤七段は、「持将棋を目指す展開だった」。
藤井棋王のコメントはともかく、伊藤七段は、ほかの棋士の証言やその指し方などから、かなり早い段階から持将棋を意識していたフシがある。そのココロは、角換わりで勝率10割近くを誇る藤井棋王に、クリンチに持ち込んで引き分け(持将棋)とし、無勝負で次回の先手番に臨みたい、というものだったようだ。
むかし間宮純一六段という、入玉狙いが好きな棋士がいたが、間宮六段は「相手の陣地にいたほうが玉が安全だ」というポリシーがあった。だが伊藤七段のそれは引き分け狙いで、今回の狙いがその通りだとしたら、思想が退廃的だと思う。これでは、たとえ先手番を取ったとしても、その将棋は負ける。
それより何より、藤井棋王を怒らせた??マイナスのほうが大きくないだろうか。
第2局は24日(土)。いろいろな意味で、第2局が楽しみになった。
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第82期A級順位戦予想クイズ・8回戦の結果

2024-02-05 00:26:35 | 勝敗予想
第82期A級順位戦8回戦が1月31日に行われた。私は「将棋世界」の予想クイズに応募したので、結果を確認しよう。
まず、7回戦までの結果が以下である。

③豊島将之九段 6勝1敗
⑥菅井竜也八段 5勝2敗
①渡辺明九段 4勝3敗
④永瀬拓矢九段 4勝3敗
⑦稲葉陽八段 3勝4敗
⑧佐藤天彦九段 3勝4敗
⑨佐々木勇気八段 3勝4敗
⑩中村太地八段 3勝4敗
②広瀬章人九段 2勝5敗
④斎藤慎太郎八段 2勝5敗

続いて8回戦の予想が以下。

○渡辺明九段VS●中村太地八段
○広瀬章人九段VS●稲葉陽八段
○豊島将之九段VS●斎藤慎太郎八段
○永瀬拓矢九段VS●佐々木勇気八段
●菅井竜也八段VS○佐藤天彦九段

夜、ネットで確認すると、広瀬VS稲葉戦は広瀬九段、菅井VS佐藤戦は佐藤九段が勝った。ここまでは予想通りである。
そこでいろいろあたると、どうも朝日新聞社でYouTubeの無料配信をしているようだった。通常ならおカネを取るところ、無料で見せてくれるなんて夢のような話で、私は朝日新聞社に感謝した。
まず渡辺VS中村戦を見ると、苦戦の将棋をひっくり返した中村八段が勝勢になっていた。私の予想に反し、まさかの展開である。
しかもこの局面、逆転の綾がまったくなく、どの手を指しても中村八段がよくなってしまう。渡辺九段、いよいよヤキが回ったか。
数手後、渡辺九段が投了。これで私の全問正解が消えた。
ほぼ同時刻に永瀬VS佐々木戦が終わり、永瀬九段の勝ち。
残るは豊島VS斎藤戦となった。これは豊島九段が優勢、という情報を得ていたから、安心はしていた。
局面は、斎藤八段角の王手に豊島九段が香を受けたところらしかった。
ところがここで、豊島玉に即詰みが生じているらしく、ビックリした。金を捨てて飛車を取る手だが、この発見は自体は容易だ。
果たして斎藤八段もその手を指し、勝ち。
これで5局すべてが終わり、私の予想は3勝2敗となった。いやー、そうか……。

●渡辺明九段VS○中村太地八段
○広瀬章人九段VS●稲葉陽八段
●豊島将之九段VS○斎藤慎太郎八段
○永瀬拓矢九段VS●佐々木勇気八段
●菅井竜也八段VS○佐藤天彦九段

しかし予想は難しい。5局を予想したとき、将棋の神様から「お前の予想は2局間違っているから、直してよい」と言われたとして、上の2局を選べるだろうか。ちょっと難しい。
いずれにしても、2局間違えては、さすがに優秀者には入れまい。すなわち、私の予想クイズはここで終わった。

③豊島将之九段 6勝2敗
④永瀬拓矢九段 5勝3敗
⑥菅井竜也八段 5勝3敗
①渡辺明九段 4勝4敗
⑧佐藤天彦九段 4勝4敗
⑩中村太地八段 4勝4敗
②広瀬章人九段 3勝5敗
④斎藤慎太郎八段 3勝5敗
⑦稲葉陽八段 3勝5敗
⑨佐々木勇気八段 3勝5敗

近来にない大混戦で、最終戦を前に、名人挑戦も降級者も決まっていないのは、8期ぶりだとか。
29日が待ち遠しい。
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