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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (172) 長尾家 85

2024年08月17日 11時04分22秒 | 甲越軍記
 直江山城守は己の勢から二百余人を選り、間道から城の搦め手に至って攻め込む作戦に切り替えた。
山城守はかっては、この城への出入りをしていたことがあり、勝手知ったるであった
搦め手に至るには険峻な道なき崖をよじ登っていくしかない、岩を伝い谷を巡り、苦労に苦労を重ねて、ようやく搦め手の下へとたどり着いた
この難関を知り尽くしている直江兼続あればこその大作戦である
そして搦め手の守備の様子を見れば、山城守の見立て通り、この険峻な崖を来るものなどあるはずがないと、守備は至って手薄であった。

直江山城守「得たり」と真っ先に乗り込み、逆茂木を引き破って鬨の声をあげて二百余人一斉に打ち込めば、油断していた城方の兵は驚き、慌てふためいた
そして誰一人戦うことなく奥へと逃げていく、いよいよ直江勢は勇み立って、逃げ遅れる敵兵を切り倒し、陣屋に火を放つ
そしていよいよ大手に近づけば、合図を聞いて大手門にある直江の残兵も一斉に大手より攻め入った

飯沼新兵衛、三宅隼人らは城外にて戦っていたが城内より炎が上がり、黒煙は天を突けば「もはやこれまで」と全員敵の中に討死する。
黒川勢もすでに城中に押し入れば、城主飯沼玄蕃もこれまでと悟り、直江勢に割って入り四方八方切りまわる、そして乱戦のなかについに討死する
玄蕃の妻女は女に稀なる勇婦であった、二重の鉢巻きを紅の絹で結い、末を風に翻し同じ色の玉たすきを凛々しく引き締め、白小袖にて太刀を真向にかざして敵の中に走り出る
庭先にて近寄る敵を切り伏せて薙ぎ伏せて戦うさまは、容貌麗しく、花を争う鳥蝶の如し、まことにめざましい働きなれども、直江の臣、今藤兵部が為に討死する
そのほかの将兵もみな討死して果てた、ついに飯沼城は落ちた
景虎入道は是を賞して、飯沼の領地を直江山城守兼続に賜る。

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