見もの・読みもの日記

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関西旅行9月編(1):京都国立博物館

2008-09-14 07:42:45 | 行ったもの(美術館・見仏)
○京都国立博物館・常設展示

http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

 秋は忙しい。京都・奈良で行われる文化財の特別展や特別拝観を、できるだけ参観しようとすると、月1回くらいのペースで上洛しなければならない。今年は、西国三十三所結縁御開帳もあるのでなおさらだ。まずはこの3連休、京都・奈良・名古屋を回ることにした。

 関西に来たら、とりあえず行ってみるのが京都国立博物館。1階・彫刻(仏像)の部屋には、宝誌和尚立像が出ている(顔の下から別の顔が出てくる、アレである)。今回は、ガラスケース内ではなくて、舞台に1人立ち。そのおかげで、ほとんど丸木のままのような、ずん胴の下半身に初めて気づいた。意外と乱暴力に満ちた彫刻なのだ。当然というか、真横にまわると、普通の顔に見える。

 初めて見たのは、静岡・鉄舟寺の千手観音。脇手のうち、左右1本ずつの手を頭上高くあげて組む、いわゆる清水寺式の千手観音である。口を尖らせて、すねた子供のような表情がかわいい。

 2階はいつものように中国絵画から。スッキリした印象の清代絵画の特集。明末清初に活躍した6人の画家をまとめて「四王呉」と呼ぶことを覚えた。ほかに大好きな八大山人の『松鹿図』。黒々とした墨色が美しい龔賢の『山水図』も好きだ。石濤は名前は覚えたけど、作品の魅力はまだよく分からない。

 隣室(日本近世絵画)には、兵庫・真浄寺に伝わる曾我蕭白の障壁画が計5点。いちばん大きな『楼閣山水図襖』は、西湖の風景だろうか。鯨みたいな島影、形態を単純化した早描きの舟、建築を構成する、ゆれゆれの直線など、興味深い点が多い。『樹下人物図襖』は、つばの広いとんがり帽子をかぶった男たち。1人は馬(ロバ?)に乗り、その横に従う者は「清道」と書いた旗を持っている。これ、朝鮮通信使のつもりなんだろうか? ニワトリを横抱きにした男は「賄い唐人」? でも、とんがり帽子の頂上に孔雀の羽が付いているのは、朝鮮と清朝の風俗の混同のように思える。

 ちなみに私は、2007年12月にも、この蕭白の障壁画を見ている。『楼閣山水図』は覚えていたのが、『樹下人物図』はぜんぜん記憶に残っていなかった。また、添えられた作品解説が「蕭白画の選別は今後さらに進められてゆくべきことではあるが、現今の美術史研究の恣意的な真偽選別に対しては疑義を呈しておきたい」と、妙に辛口コメントなのも気になった。解説プレートは使いまわすのが恒例なので、「現今」がいつの時期を指しているかは定かでない。ネットで検索してみたら、これは狩野博幸氏が書いているのだろう、と推測している方がいらした。
コメント
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