付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「黄泉がえり」 梶尾真治

2008-06-12 | その他SF(スコシフシギとかも)
「何故かはわからん。理由よりも、現状に対応するのが行政じゃなかや」

 熊本市周辺で不思議な現象が頻発した。
 死んだはずの人間が帰ってきたというのだ。
 去年自殺した高校生の息子が、何十年も前に水死した兄が、父が、夫が、妻が、死んだときのままの姿でひょっこりと帰ってくるのだ。
 最初はイタズラか何かの陰謀かと疑っていた市職員も、死亡したはずの人間の戸籍訂正を問い合わせてくる人間が何十人、何百人と増えるに従い、対策を講じざるを得なくなってくる。
 警備会社に勤めている三池は、深夜のレストランに侵入した泥棒と思しき女性を捕まえる。だが、彼女は1年半前に死亡したはずの女性歌手マーチンであり、三池はマーチンのファンだったのだ……。

 「泣けるリアルホラー」って煽り文句には首を傾げるよね。確かに泣ける。こういう話には弱いのだ。『フィールド・オブ・ドリームス』だって『異人たちとの夏』だって泣けたのだ。でも、ホラーじゃないよね? 確かに死人が生き返る話だし、あんなんとかこんなんとかも出ますけれど、どちらかというと雰囲気は『ゲイルズバーグの春を愛す』とか『夏への扉』とかに近い。

「俺は、まだ自分の墓を見ていない」

 誰かにすごく愛され、死んだ後も想われ続けていた人たちが甦り、旧交を温め、心残りを片づけていく過程で起こる涙と笑いの物語ですね。基本のキーワードは「優しさ」かな。

【黄泉がえり】【梶尾真治】【25万人ライブ】【地震】【死者の復活】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする