付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「エスパイ」  小松左京

2008-06-27 | 超能力・超人・サイボーグ
「征服者はだれにでもなれる。勝敗は力と運だからな。しかし、支配者にはだれでもなれるとはかぎらない」
 ルドルフ・ホッホマイヤーの言葉。
 手に入れるのは簡単だけれど、それを維持するのは難しい。イラクとかパレスチナの様子を見ていると痛感します。

 1974年には東宝特撮映画にもなった、小松左京のSFスパイ・アクション。エスパーのスパイだから“エスパイ”というセンスが、東西冷戦下の60年代の産物ですね。
 ただ、東西冷戦というのは魔法の言葉だと思います。一般市民がさらされている危険の度合では今も変わらないというか、核兵器が厳重に管理され隠匿されている大国の秘密兵器ではなくなり、アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦との対立という構図が崩れているだけ危険なのでしょうが、東西冷戦=核戦争一触即発の危機=世界滅亡へのカウントダウンという判りやすい図式にはかないません。

 まざまな超能力を持つエージェントの組織エスパイの諜報員・田村良夫は、ソ連首相暗殺阻止を命じられた。だが、仲間と共にニューヨークへ向かう田村たちの前に現れた敵もまた、超能力者の集団だった!

 映画にもなった小松左京原作のスパイアクション。予告編はワールドコンで見ましたけれど、ジョン・ウーとかがあたりまえの今となっては驚きもなく。まあ、先駆的作品なので、トータルで評価しなくてはいけないんですけれども。
 超能力者の戦いなので、普通のスパイ・アクションのように単なるイデオロギーの優劣ではなく、人間とは何かという問いかけになっているところが小松SFなのですが、今リメイクしたら、椎名高志の『絶対可憐チルドレン』になるんじゃないでしょうかね……って、すでに同じか……。

【エスパイ】【小松左京】【スパイ】【超能力】【藤岡弘】【由美かおる】
コメント
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