付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「地球戦線1」 ジョン・リンゴー

2010-10-16 | ミリタリーSF・未来戦記
「敵から身を守るのはたやすい。だが、味方から身を守るのは、ひどく難しいのだ」
 老オニールの言葉。

 異星人ポスリーンの太陽系侵攻まで2年。
 地球人をポスリーンの矢面に立たせる腹づもりの銀河連盟だが、その支援は十分ではなかった。NATO軍や中国軍は同じくポスリーンの侵攻に苦しむ星々へ傭兵同然で送り込まれて経験値と外貨稼ぎをする一方、平野部の防衛はほぼ不可能として各地で山岳要塞の建設が始まり、五体満足な成人はすべて徴兵されていた。
 しかし、政治的判断から沿岸部の大都市防衛をアメリカ大統領が決断したことにより、幾つかの都市では要塞化が進められ、子供や老人相手にテロ工作の訓練が実施されることとなった。
 その頃、両親が軍人のカリー・オニールは、人里離れた農場で暮らしている祖父に預けられていたが、ベトナム戦争時に工作員として派遣され汚れ仕事に手を染めていた老オニールは、この8歳の孫娘にそのテクニックを伝承しようとしていた。
「設置されたクレイモア地雷を解除しようとするのは、バカか大バカだけだ」

 前線の軍人たちは頑張って戦っては1章もたずに戦死していく一方、後方の将軍や政治家は古い考えから脱却できず、銀河連盟は裏工作に余念が無く、宇宙艦隊はオンボロだらけで、銀河世界における地球の初陣は既に末期戦の様相を呈しています。
 ポイントは、銀河文明は地球の遙か先を行っているのだけれど、行きすぎてしまって……というか、文化として固定してしまって、量産を前提としない技術体系になっているというあたり。宇宙フリゲート1隻を家内制手工業で50年かけて建造し、200年使うとかいうペースでは戦争準備が間に合わないのです。
 それから日本は地下都市建設が伝統的に得意だとか、ここは笑うところなのかな。

【地球戦線】【ポスリーン・ウォー2】【ジョン・リンゴー】【ひろき真冬】【植民船】【バーチャル・シミュレーション】【スイス護衛兵】【グルカ兵連隊】【パイプ爆弾】【大統領】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ホワイトハウス・コネクション」 ジャック・ヒギンズ

2010-10-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「おいしい紅茶を飲めば永遠に活動できるわ」
 ラング准男爵夫人ヘレンの言葉。ボストン生まれだけれど、もうすっかりイギリス人。

 IRAの過激派<エリンの息子たち>に捜査情報が流れている? 漏洩源はホワイトハウス?
 だが、捜査を続ける英首相直属のチームは、<エリンの息子たち>のアメリカ側協力者と思われる人物が次々と殺されていることを発見する。誰が、何のために? 仲間割れか口封じか、あるいは別組織が動いているのか……。

 男たちの戦いを描く冒険サスペンスの巨匠ヒギンズがこの話の主人公に選んだのは、イギリスの対テロ組織でもなければアメリカ大統領直属の捜査機関でもなく、1人の老夫人でした。
 やっぱりヒギンズは面白いなあ。

【ホワイトハウス・コネクション】【ジャック・ヒギンズ】【北アイルランド和平プロセス】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする