付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「子ひつじは迷わない~うつるひつじが4ひき」 玩具堂

2011-11-15 | 学園小説(ミステリ)
「たとえ罵倒であっても、正しい認識の下に返ってきた反応は己を知るための鏡になります」
 理解されることと好き嫌いは別の問題だと寄絃芳花(よつらほうか)。

 人里離れた山荘に、資料生徒のアルバイトにやってきた生徒会一行だったが、その山荘は「万鏡館」という名前に反して、鏡の1枚もなく、姿を映すような鏡も湯船もない。
 そして屋敷の主であり、平安時代に遡る旧家の当主でもある少女は、まだ中学生の美少女だった。
 その少女、寄絃芳花は成田真一郎の考えを、彼が口に出す前に寸分の違いもなく当ててみせる。彼の表情は読みやすいと……。

 今まで短編で続いてきた話がここに来て1冊の長編ストーリーで、投影による自己認識の物語。面白い。江戸川乱歩か綾辻行人かと思わせる出だしから、雰囲気を壊さないぎりぎりのところで日常系ミステリに踏みとどまってます。これで正解。

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