付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

★学園祭

2012-09-01 | ランキング・カテゴリー
 学園祭とは、楽しかった学生生活の象徴であり、学生がその全力を注ぎ込める一大イベント。
 そこで学園祭がメインの舞台となる作品を並べてみました。文化祭と体育祭のどちらでも良いけれど、できれば1冊の最初から最後までが準備期間から後夜祭くらいまでの期間であること。でも、単に学園祭から物語が始まるとか、みんなで学園祭にも参加してみた……くらいのものは含みません。 

『“花散里”~ヒカルが地球にいたころ……(8)』 野村美月
 文化祭なんて興味がないし、クラスメイトだって自分が顔を出すと嫌がるだろうとわかっているのに、なぜか委員長の推薦で是光はクラスの文化祭実行委員にされてしまう。さらに日舞研や生徒会からも役目を仰せつかっててんてこ舞いだが、差出人不明の手紙がなにをすべきか途方に暮れている是光を救う……。


『いわゆる天使の文化祭』 似鳥鶏
 文化祭の準備期間に出現した、謎の大量のラクガキ。犯人の真意はどこに?
 文化祭で悪のりがエスカレートすることが校風になってしまった学校の日常系ミステリ。普通の学園でここまでやるのか!?という限界点。


『クドリャフカの順番』 米澤穂信
 いよいよ待望の文化祭が開幕。だが、古典部の面々は思わぬ大問題に頭を抱えていた。20部印刷予定の文集「氷菓」を印刷所が200部納品してきたのだ……。
 凡人が努力に努力を積み重ねても手の届かない高みにまであっさり到達しておきながら、そんなことはたいした価値のあることじゃないと簡単に斬り捨ててしまう天才を前にした凡人はどうすべきなのでしょうか……。
 同シリーズでは、他に前日譚的な『愚者のエンドロール』も。


『オオカミさんととっても乙女な分福茶釜』 沖田雅
 模擬店で売上勝負したり美人コンテストとかあったり障害物競走で生着替えとか、ゲストキャラ総出演の文化祭絵巻。


『マリア様がみてる』 今野緒雪
 学園祭が終わるまでの慌ただしい2週間の学園を舞台に、少女たちが自分の居場所を見つけるまでの物語。内容的には舞台劇とかカレー屋さんとかいたってオーソドックス。
 同シリーズでは、その1年後の『特別でないただの一日』も。


『ハレーション・ゴースト』 笹本祐一
 寮の廊下に雪女が出現したり、クラスメイトが吸血鬼に連れ去られたり、学園祭準備期間から学園祭にかけて巻き起こる怪事件の連続。
 文化祭の企画でミニ核実験とか、怪事件が起きなくても十分に危険です。 


『ハレの日は学校を休みたい!』 陸凡鳥
 学園祭が嫌いな響川晴は「学園祭を中止しろ」という脅迫状の容疑者にされ、生徒会長タチアナの前に引き出される。潔白を証明するために、学園祭までに犯人を見つけなければいけなくなるが……。
 二段構えの犯人捜し。バカバカしくもシンプルな構成がツボ。


『12DEMONS』 御堂彰彦
 学園祭の学校から異世界へ連れ去られた12人は、それぞれの身体に埋め込まれた悪魔の部位の争奪戦を強いられるのだが……。
 楽しい学園祭とは縁がなくなってしまった話。しかし、生徒会長ならかくありたい。


『ベン・トー6~和栗おこわ弁当310円』 アサウラ
 烏田高校の文化祭。槍水先輩の年の離れた妹・茉莉花が登場し、16歳高校生と20歳超えているだろう男子がそろって、10歳の女の子の下半身を仁王立ちでガン見する話……ってまとめると最低だな! 
 同シリーズでは、他に丸富大学付属高校の文化祭での手作り弁当争奪戦を描いた『箸休め~燃えよ狼』も。


『電波女と青春男(6)』 入間人間
 1年以上前に学校をやめて、それ以来引き篭もりになっていたエリオだが、最近は少しずつ社会復帰も進み、今日はこっそり文化祭へと出かけるのだ……。
 展示発表やら物販にゲストを呼んでのステージまで、愉しいドタバタ学園祭編。でも他人には理解してもらえないかもしれないけれど、みんなそれぞれに頑張っているのだ。


『むやみに分裂!!~邪神大沼6』 川岸殴魚
 守銭奴の生徒会長が文化祭のネーミング権をスポンサーに売り飛ばしたり、露骨なタイアップ路線で私腹を肥やそうと画策し……。


『アイドライジング!3』 広沢サカキ
 戦うアイドルの学園祭。
 タキ・ユウエンからの借りを返すため、学祭期間中、モモはタキとデートするはめに。
 学園祭自体はごく普通のお嬢さま学校の文化祭でした。


『あそびにいくヨ!5』 神野オキナ
 地球の各国政府との外交チャンネルを開こうとする騎央たちだが、素人ゆえにまったく進展していいかない。だが、騎央たちの高校の学園祭にキャーティア人が参加するらしいということが伝わるや、マスコミはもとより世界各国からスパイや非合法工作員が群がり……。


『悪魔のミカタ666~スコルピオン・デスロック』 うえお久光
 悪魔のアイテムの影響が日炉理坂高校全体に広がってしまい、生徒たちのみなぎる気合いは自らの肉体を勝つための身体へ変貌させていくが、もはや教師や観客も異常を異常と認識することはなく、体育祭はどんどん進んでいくのだった……。


『彼女がフラグをおられたら~こんな女子ばかりの体育祭に出られるか、僕は二人三脚に出させてもらう』 竹井10日
 今年の体育祭は1週間ぶっ通し。通学電車内でのパン食い競争から7日間駅伝やら奇妙な試合がてんこ盛り。クエスト寮の面々は寮廃止を阻止するため、弓道娘やロボ少女の助っ人を迎えながら挑むのだが……。


 個人的には超常現象とかお金持ちがいるからというものではなく、普通にありそうだけれど、現実にはちょっとないかなあというあたりが好きです。紙幅は多くないけれど『いわゆる天使の文化祭』くらい。
 あのどこにでもありそうな学園祭が、年ごとにエスカレートしていくバカバカしさが好きです。
 現実には、こういう学園祭企画が世代を超えて次の年に引き継がれていくというのは難しく、カリキュラムの時間割編成の都合で文化祭や体育祭の日程はどこもかしこも短くなっていくのが流れのような気がします。自分が学生の頃は、期間が週末を絡めて2日かや3日は普通にあったものが、今は平日1日のみで、どう考えても他校生に来て欲しくない感がありありの学校ばかり。
 まだ小学校の方がにぎやかかなあ。

 地元の地区行事を観ていて思うのは、みんな大人になっても文化祭とか体育祭とか学園祭っぽいものが大好きだよな!ということ。地区の住人の交流を深めて防犯や防災に備えようとかお題目を唱えていても、結局みんな「お祭り」が好きなんですよ。
 そりゃあ、全部が全部そうではないし、ぼくもどちらかといえば面倒くさいのはキライ。でも、がんばる人は頑張るし、そうなると大人のコネとツテと技術と財力は児童・学生とは桁違いだからなあ……。
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「月光」 間宮夏生

2012-09-01 | 学園小説(ミステリ)
「様々な生き方を自分の意思で選べると人は言うが、俺からすればそんなの素敵な勘違いだ。何せ俺は今の生き方しか選べなかった」
 違う生き方を選ぶと言うことは、今の自分を捨てて違う人間になることだと虎南。

 面白いけれど、狭かった。
 バイト先の凶暴なお姉さんも、食えない軽薄そうな刑事も、まっすぐで明るい同級生も登場し、時にストーリーに深く関わりそうになるけれど、結局は主人公である野々村と謎多きクラスのアイドル・月森葉子の会話劇に回帰して、そこで完結してしまう。
 いちばん面白い2人の会話のかけひき以外は、(事件の真相も含めて)すっぱり切り落とす豪快さが魅力な作品でした。

【月光】【間宮夏生】【白味噌】【遺書】【殺人レシピ】
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