付け焼き刃の覚え書き

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「帝国の反逆者」 マーセデス・ラッキー

2013-01-03 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「指揮するというのは、ただ命令を出すというだけではなく、その命令が兵士たちの生命に対して何を意味するか理解し、その結果に責任を持つのは自分だ、自分だけだとわかっていることなのだ」
「よい指揮官にとっては、失ってもかまわない命など、ひとつもないのだ」

 東の帝国、トレメイン大公の言葉。

 テレメイン大公の遠征軍は孤立していた。
 すべての魔法を阻害する魔法嵐が吹き荒れ、本国との連絡門を開くこともできず、猛吹雪と襲い来る魔獣に備えるのに手一杯だったのだ。
 ついにテレメイン大公は、派遣軍が本国の命令系統から外れたことを認めざるを得なかったが、それは皇帝への謀反を意味するものだった……。

 上巻の帯には「敵地に取り残された帝国の軍隊 指揮官トレメイン大公の決断は」とあり、下巻には「カース国の若き大使を襲う黒い疑惑」とあるけれど、どちらも上巻の話です。下巻はその先に進んでますので、一種のミスリード。ただでさえ創元版は長いシリーズを前後して翻訳していくので、覚えにくくて困ります。これは正史の第2部の上下巻ですが、内容的には前作『太陽神の司祭』から続いてますので、本当は『ヴァルデマールの嵐』のタイトルで1から順に通し番号を振るのが内容的には正解だと思います。
 例によってヴァルデマール側は複数勢力が入り交じった上に男×男の愛憎でどろどろ。あいつは最近俺に冷たいとか、あいつは信用できないヤツだとか、ぐだぐだイジメと嫉妬が蔓延して状況が動かないのに対して、帝国パートでは孤立無援の指揮官が部下を1人も無駄死にさせないよう、支配下の一般市民や農民の安全を確保しようと、乏しい物資と人員をやりくりしながら天変地異に立ち向かう話ですから、小松左京のパニック小説好きな自分は涙無くして読めません。憎むべき侵略者で敵役のはずなのに、羊飼いの少年1人として見捨てないんだぜ?
 エルスペスとかタリアとかケロウィンとか、懐かしい主役級が続々登場するのに、かっこいいのは帝国軍という話でした。

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コメント
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