
近藤がなし崩しに美術担当として宝塚映画に採用された経緯から、『姿三四郎』や『007は二度死ぬ』などを経由して黒澤明に抜擢された話とか、戦艦のセットがでかいものだから製作時は250m先から望遠鏡で見ながら指示していたなどあれこれ。
空母着艦のシーンが自衛隊のパイロットでは巧く撮れないので特攻隊の生き残りを捜してきて低空飛行で飛ばしたとかいう話を興味深く読む一方、編者が補足する「端から見れば泡沫なゴミの山」が、当事者にとってはどれだけ大事なものなのか、それに価値を見いだす人が他にどれだけいてゴミとして処分されてしまうことに忸怩たる思いを抱くのか、そちらの方に共感してしまいました。
「断捨離」も正しいと思うけれど、「もったいない」の精神も大事だと思うんだ。世の中、そういう人の思いが積み重なった結果なんだもの。
【木で軍艦をつくった男】【近藤司】【萩野正昭】【VOYAGER】【黒澤明】【電柱】【二〇世紀フォックス】【T-6】【小早川家の秋】