「この世の中、銭が全てじゃない、だが銭で片付く問題も有るのだ。ならば積極的に銭を用いるべきだろう」
朽木基綱は足利将軍家は現実から目を背けていると考えている。
1571年。征夷大将軍を巡る戦いは朽木家の勝利に終わったが、それでも足利義昭は征夷大将軍にはなれない。既に将軍に任じられた足利義助がいるから将軍宣下が成されないのだ。そして、帝は一度任じた将軍職を軽々しく解任したりはしない。まして、足利義昭ごときのために。
その一方、義昭は朽木基綱を憎んでいた。何かと自分を助け、政治力や財力で彼を後援してくれていたのに恩を感じることもなく、思い通りにならない故に、自分より帝の信が厚いからこそ……。
将軍家の陪臣であり、皆から誰よりも忠義に厚いと思われていても、そんな勝手な周囲の思い込みに大膳大夫となった基綱は縛られない。戦国の世を生き抜くために、もはや足を止めることは許されないのだ。そのためには足利家など道具の一つに過ぎず、相手もそれが理解できているからこそ憎むのだ。
最初は朽木の生存戦略として始まった戦いは、天下取りという長期プロジェクトへと移行しています。止まったは朽木が破滅するとき、それくらい周囲への影響力は大きくなりすぎました。
【淡海乃海 水面が揺れる時 五】【三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲】【容易ならぬ敵】【絆】【イスラーフィール】【碧風羽】【TOブックス】【本格大河ドラマ】【戦国サバイバル小説】
朽木基綱は足利将軍家は現実から目を背けていると考えている。
1571年。征夷大将軍を巡る戦いは朽木家の勝利に終わったが、それでも足利義昭は征夷大将軍にはなれない。既に将軍に任じられた足利義助がいるから将軍宣下が成されないのだ。そして、帝は一度任じた将軍職を軽々しく解任したりはしない。まして、足利義昭ごときのために。
その一方、義昭は朽木基綱を憎んでいた。何かと自分を助け、政治力や財力で彼を後援してくれていたのに恩を感じることもなく、思い通りにならない故に、自分より帝の信が厚いからこそ……。
将軍家の陪臣であり、皆から誰よりも忠義に厚いと思われていても、そんな勝手な周囲の思い込みに大膳大夫となった基綱は縛られない。戦国の世を生き抜くために、もはや足を止めることは許されないのだ。そのためには足利家など道具の一つに過ぎず、相手もそれが理解できているからこそ憎むのだ。
最初は朽木の生存戦略として始まった戦いは、天下取りという長期プロジェクトへと移行しています。止まったは朽木が破滅するとき、それくらい周囲への影響力は大きくなりすぎました。
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