「『でも』と『だって』は口にするでない！」鉄拳女上司、経塚詩織の言葉。
統計によれば、福井という場所がどこにあるのか誰も知らないらしい。そんな福井の出張所へ「梅の香りのツケマツゲ」の在庫をさばけと、飛ばされてしまった山本。「幹部に搾取されての平社員」と東西奔走するはめに。
ところが、もともと怪異を引き寄せる体質らしく、地霊やら魑魅魍魎に取り憑かれて大騒ぎ。しかも、九頭竜水系の地霊にも再開発推進派と反対派があるらしく……。
ライバルは金沢、敵は滋賀！ そんな福井で右往左往する営業マンの営業日誌で妖怪譚。
最初はへたれ男子のもののけ遭遇録かと思いきや、企業内の派閥抗争や地方都市再生の是非をめぐる論争などが繰り広げられ、最後までどう転がるか予想させない怪作。
そうかあ、そういうオチが来たかあ……。
【山本くんの怪難】【北陸魔境勤労記】【雀野日名子】【遠藤達哉】【九頭竜】【一寸そら豆】【蛇神】【芦原温泉】【越前ガニ】【飴買い幽霊】【肉付きの面】【ツチノコ】【TOKYO JUPITER】
「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」
「堂々とするがよい、芝村の友よ。我らは間違ったことをすることもある。だが恥ずかしいことはしておらぬ。決して」
「敵は……味方。強い敵は、すなわち強い味方でもある」
