何処の國でも軍隊の運用については武官と文官との軋轢が存在して来た。
日本はかって軍部の暴走で手痛い目にあって、シビリアンコントロールで文官優先を打ち出した。
処が矢張り作戦策定ではどうしても専門家も制服組でないとモノになりません。
事務屋の机上論では実際の役に立たないケースが多いですね。
今年3月から集団的自衛権行使で安全保障関連法案が動きだします。
そのため自衛隊最高レベルの作戦計画策定に当たり、防衛省内で制服組自衛官の統合幕僚監部
が、背広組防衛官僚の内部部局に権限大幅譲渡を要求して居る事が判明した。
昨年改正防衛省設置法成立でこれまで文官優先を覆し文官統制を全廃して対等な立場となった。
餅は餅屋にと言うのが多分にあると思われます。
統合幕僚監部としてはシロウトに引き掻き回されるのは御免だと言う意地があったのでしょう。
安倍政権は強い日本を目指して防衛問題には異常な関心があるので、この改正案が成立したとも
云えますね。
今回は統合幕僚監部が更に要求を拡大し、権限の大幅移譲を迫った模様。
統合幕僚監部が更に力を得れば、今は対等でも逆転して暴走が起きる可能性も出てくる事になる。
確かに我が国の防衛をシロウトの背広組防衛官僚に任せるのはどうかとも思われます。
しかし専門家の制服自衛官に全てを任せれば暴走して前の失敗をまた繰り返す事になりはしないか。
今争点になって居るのは「統合防衛及び警備基本計画」だそうで現在特定秘密に指定されて居る。
基本計画は5年先まで計画し、3年毎全面改定し更に毎年見直し修正される。
次の作戦計画策定では昨年4月改定された日米防衛協力指針と安全保障関連法が初めて全面的
反映される事となる。
現在統合幕僚が日常的陸・海・空3自衛隊を作戦指揮しています。
作戦計画策定は内局運用企画局が基本方針を決め、防衛大臣が指針を決定。
その指針に基づき統合幕僚が作戦計画を作成する。
背広組の運用企画局が大臣に承認を求めると言う役割分担が決められて居た。
是に対して統合幕僚は昨年法改正で内局企画局が廃止され自衛隊の運用は統幕に一元化された
として作戦計画の運用企画局の基本方針決定と大臣に承認を求める事を、一切統幕に移譲せよと
迫ったものです。
是に対し背広組官僚は運用企画局の機能を一部継承した内局防衛政策局が引き継ぎべきと主張
いて居るとの事。
コップの中の小さな権力争いにも見えますがこれは國の行く末を決める重大な事の様にも思えます。