かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

空の帝国 アメリカの20世紀

2008年03月13日 | Books
興亡の世界史代19巻は、空の帝国 アメリカの20世紀 だった。

アメリカの歴史は、長くない。だから、ちょっと古いものでも、すごく大事にする。
飛行機の歴史も長くない。ライト兄弟が初飛行に成功してから、まだ百年ちょっとだ。
この本は、この航空の歴史と、アメリカの歴史・アメリカ空軍の歴史をシンクロさせながら、20世紀のアメリカの変遷を、リアルに描いており、面白く読める。

本書では、始めに20世紀初頭に描かれた未来イメージの絵が紹介される。摩天楼は、100年後の今のイメージとそう変わらないが、飛行機は、飛行船が飛び交ったり、大きな複葉機が飛び交ったりで、今の様子とはかなり違う。三枚羽のジャンボ飛行機さえ飛んでいる。ジャンボジェットでさえ、35年ぐらい前には、既に普通に飛んでいたのにだ。それだけ、20世紀初頭には、飛行機は、全く新しい乗り物だった。

飛行機の技術を飛躍的に発展させたのは、やはり戦争だ。WWⅠとWWⅡの間にでさえ、飛行機の技術は飛躍的に伸びた。その後も、いろいろな技術が開発され、一部の流れは廃れ、一部流れは急速に発展した。空軍の歴史と、飛行機の歴史は、裏表だ。

航空技術は、アメリカ全体をも大きく変貌させた。モンロー主義で、海に囲まれた国だったことにより、他国のことには吾関せず。当然大きな軍事も有さずだったアメリカが、航空技術の発達もあり、今や世界の警官とまでになった。たった100年足らずの間にだ。第一次世界大戦への参加が大きな転機になったと本書は言う。その時期に、アメリカは、軍事・経済・道徳の三本柱の外交政策の基本的枠組みを完成させた。『トラウマ』という概念が生まれたのもその頃だったという。『シェル・ショック』と当時は、呼ばれていたようだが。

戦後のアメリカの姿(特にベトナム以降)については、リアルタイムで見て来た部分も多い。
パールハーバーへの日本軍の攻撃を呆然と見上げる米兵の写真が載っているが、これが、あの9/11のイメージとだぶって、アフガン戦争、イラク戦争に突き進んでいってしまったという下りがある。もちろんそうだったのだが、ベトナム戦争の教訓が生かせなかったのは、残念。少なくとも、親ブッシュの時の湾岸戦争の時は、攻め時と引き際がはっきりしていたのだが。

飛行機の歴史と、アメリカの歴史・空軍の歴史をダブらせて書いてあるユニークな本で、この手法により、アメリカの20世紀の歴史を、見事浮き彫りにしている。


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