2009年9月9日を前に、40年前に解散したミュージッシャンの本がどんどん出ている。恐ろしいほどの数だ。つらつら見ていたら、本書が目に入った。
作者はきたやまおさむ。もしやと思ったら、やはり北山修さんだった。
しかも、本書は、1987年に出た本の復刊だった。
北山修さんは、我々世代は、みな知っている。何と言っても”帰ってきたヨッパライ”。あの不思議なサウンドと雰囲気に、目をシロクロさせたものだ。もちろん”戦争をしらない子どもたち”も。
その後も、ミュージッシャンとして、また作詞家として、大成功をおさめた。ただ、その後は、主に精神科医として活躍されていたようだ。
本書は、北山氏のビートルズ論ということになるが、ビートルズの歴史、日本のフォークロックの歴史、そして、北山氏の自分史が、ちょうどいい塩梅に配分され、思わずそうだそうだとうなずきながら読む歯目になる。最後に、精神科医ならではの蘊蓄も踏まえたビートルズ論が展開される。マニアックなトリビアも散りばめられ、もう少し安くはしてもらいたかったが、読んで損のない内容に仕上がっている。
いろいろ面白い見方が出てくるが、ひとつは、ビートルズの画面の機会均等主義。確かに、ビートルズは、2人が中心だったが、マスコミに現れる時は、いつも4人だった。他のグループとはちょっと違う。また、北山氏がビートルズを最初知った時は、アメリカのグループだと思ったという。ロンドンは、アメリカにあると思ったぐらいだという。まだ、それだけ、海外は、アメリカという時代だった。アメリカこそアニミズム的ファンタジーランドだったとの記述があるが、私の世代にもその感じは良くわかる。
ビートルズがビッグになれたのは、マスメディアがまだ未熟だったからという分析も披露されている。これもよくわかる。音から始まって、写真が出て、動画が出て、動画を自らコントロール時代が来て。ビートルズの人気の広がりと前後しながら、マスメディアも進化を遂げてきた。今は、最初からすべてあるから、新人バンドはつらい。私も映画や、TVで、動画を見た時の感動、ビデオが出てからの感動は忘れない。この9月に、ビートルズは、ビデオゲームにも登場する。
その他、いろいろ独自の分析が披露されているから、読者を飽きさせない。
明日から、またしばらく日本を留守にするので、お休み。すいません。