かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

松本清張「隠蔽と暴露」の作家

2018年04月05日 | Books


本書は、本屋で見つけた。
まだ出たばかり。

松本清張の本は、そこそこ読んではいるが、どちらかというと、映画やドラマで、相当接している。
我々世代が忘れかけている戦後の戦争を引きずっている時代の、サスペンスものが多いというイメージ。
もちろん私の好きな古代史関連の著作も多いし、とにかく多作。
小学校卒というから驚くしかない。
確かに、あの時代には小卒の人がまだいたが。

本書は、その全作品を分類して的確に書評をまとめている。
分類の分野としては、ややネタバレになるが、
①戦争
②明るい戦後
③政界、官界、経済界による隠蔽
④普通の日常と勝者の歴史
⑤暗い恋愛
⑥オキュパイドジャパン
⑦神々
⑧原水爆、原子力発電所
としていて、なかなか納得である。
特に③と⑥のイメージが強いか。

あのおどろおどろしい雰囲気は、まさに清張作品の真骨頂。
最近のモリカケ問題を見ていると、50年経ってもあまり変わっていない世界もあるのかと思ってしまう。
著者は、清張が、被爆の時代に生き、原発の取材も行っていたのに作品にしなかっことに疑問を投げかける。
原発ムラが隠蔽体質であることは、まさに、3.11でも暴露されてしまったが、それでも追求しにくい何かが清張の心の中にあったのかはわからない。
イラクの日報問題も、まさに、軍の隠蔽体質が、変わっていないことを、証明して見せた。

私が、学生時代感銘を受けた空の城に触れられていなかっとのは、ちょっと残念だが、やや清張作品としては、異色だったかもしれない。
松本清張の作品をかなり読んだ人でないと、面白くない本かもしれない。
私は、ひじょうに面白かった。

コメント
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