今日は、温度は高いが、湿度は低く、すばらしい天気。
梅雨入り前の最後の好天か。
本書は、岩波新書の新刊。
久し振りに読みたいテーマの岩波新書が出た。
読んで感心。
著者の太田洋氏は、この世界では、いい意味でも(してやった方にとっては)、悪い意味でも(してやられた方にとっては?)有名な著名弁護士だが、その知識・経験は、伊達じゃないことがよくわかる。
単に、現在の状況を解説するのではなく、M&Aの歴史を過去に遡って検証し、また日本だけではなく、欧米各国の状況にも触れ、日本の特殊性と、将来の方向も示唆するような構成になっている。
私が、シカゴ駐在時代、実は、M&Aが行き過ぎた時代で、実際多くのファイナンスにかかわったが、今では、ご法度のディールも多い。
それほど、当時の法は未整備で、その隙をついて、様々なディール、それに対する過度な防衛策がとられた。
しかしそれは、投資家保護の観点が抜け落ちていたり、単に敵対的買収者が金儲けするだけで、他はみな損するようなディールだったりすることもあった。
それを、経済発展のため、よりよい企業育成のために、どう制限を加えていけばいいかの議論が今も続いている。
興味深かったのは、欧州では、ある程度の率の株を保有したら、最終買収まで保有率を高めなければならない制度があることだ。
そうすると、中途半端に株を保有し、経営者から金をかすめとろうとする買収はできなくなり、本気で、企業を買収するのでなければ、株式保有率を上げていくことができにくくなる。
ウルフパック型買収や、大量保有の報告義務違反に対するペナルティなども、国々によって違うことを知った。
制限を加えすぎると、活発な経済活動に支障を来すが、それで単なる金儲けだけのためのM&Aが横行しても困る。
日本は、比較的制限の緩い方に属するようだが、いかがなものかというディールが横行し出すと、さらなる制限も加えられていくだろう。
ただ、制限を加えすぎると、投資意欲がそがれ、経済停滞にもつながる。
そのバランスを取ることに、みな苦労してきたが、世の中も変わっているので、その議論に最終着地点はなく、議論は続いていく。
シカゴ時代に有名だったいわゆる金儲けのためのM&Aを得意とするグループが、今は、ESG関連の要求を企業に対して行っていることを知った。
これは、急に善人になったのか、それともそれを糸口に経営陣を揺さぶろうとしているのか、今後の展開から目を離せない。
M&Aに興味のある初級・中級の方にお勧めできる書。
梅雨入り前の最後の好天か。
本書は、岩波新書の新刊。
久し振りに読みたいテーマの岩波新書が出た。
読んで感心。
著者の太田洋氏は、この世界では、いい意味でも(してやった方にとっては)、悪い意味でも(してやられた方にとっては?)有名な著名弁護士だが、その知識・経験は、伊達じゃないことがよくわかる。
単に、現在の状況を解説するのではなく、M&Aの歴史を過去に遡って検証し、また日本だけではなく、欧米各国の状況にも触れ、日本の特殊性と、将来の方向も示唆するような構成になっている。
私が、シカゴ駐在時代、実は、M&Aが行き過ぎた時代で、実際多くのファイナンスにかかわったが、今では、ご法度のディールも多い。
それほど、当時の法は未整備で、その隙をついて、様々なディール、それに対する過度な防衛策がとられた。
しかしそれは、投資家保護の観点が抜け落ちていたり、単に敵対的買収者が金儲けするだけで、他はみな損するようなディールだったりすることもあった。
それを、経済発展のため、よりよい企業育成のために、どう制限を加えていけばいいかの議論が今も続いている。
興味深かったのは、欧州では、ある程度の率の株を保有したら、最終買収まで保有率を高めなければならない制度があることだ。
そうすると、中途半端に株を保有し、経営者から金をかすめとろうとする買収はできなくなり、本気で、企業を買収するのでなければ、株式保有率を上げていくことができにくくなる。
ウルフパック型買収や、大量保有の報告義務違反に対するペナルティなども、国々によって違うことを知った。
制限を加えすぎると、活発な経済活動に支障を来すが、それで単なる金儲けだけのためのM&Aが横行しても困る。
日本は、比較的制限の緩い方に属するようだが、いかがなものかというディールが横行し出すと、さらなる制限も加えられていくだろう。
ただ、制限を加えすぎると、投資意欲がそがれ、経済停滞にもつながる。
そのバランスを取ることに、みな苦労してきたが、世の中も変わっているので、その議論に最終着地点はなく、議論は続いていく。
シカゴ時代に有名だったいわゆる金儲けのためのM&Aを得意とするグループが、今は、ESG関連の要求を企業に対して行っていることを知った。
これは、急に善人になったのか、それともそれを糸口に経営陣を揺さぶろうとしているのか、今後の展開から目を離せない。
M&Aに興味のある初級・中級の方にお勧めできる書。