事務局の大井秀人(20期)です。
最近、「企業内なのに、どうやったらそんなに診断士活動できるんですか?」「複業って大変じゃないですか?」とよく聞かれるようになりました。診断士登録から3年弱、たしかに、執筆、事業計画書作成、申請書チェック、補助金事務局など、いろいろやりました。
正直、自分でも何でできてるのかよくわかっていません。とりあえず診断士取って複業してみたくて、いろいろやってたらこんな感じになってたというのが実感です。と言いつつ、このようなお題を整理できてないのも診断士としては恥ずかしい。。。なので、私よりも積極的な活動をされている方が多くいるなか僭越ですが、本当によく聞かれるので、、、この23期の稼プロ!ブログの場を借りてまとめてみようと思います。
須藤さんが作られたブログ順で予測するとこの1年で6回書く機会がありそうなので、以下の順番でまとめていこうと思っています(変わるかもしれません)。
第1回(8月21日):複業を始めた経緯とメリット
第2回(10月中旬):企業内でできる診断士活動と、複業の見つけ方
第3回(12月上旬):複業ノウハウあれこれ①(手続き編)
第4回(1月下旬):複業ノウハウあれこれ②(タイムマネジメント編)
第5回(3月下旬):複業の心掛けと稼プロ!
最終回(5月中旬):複業に最低限必要そうなスキル
今回はその第1回です。まず私が複業をしようと思ったきっかけや、感じているメリットです。
1.「副業」でなく「複業」
一般には副業という言葉のほうが良く知られています。実は副業と複業は似ていますが異なる概念です。副業とは、本業とは別に単純に収入目的で働く考え方を指します。一方、複業は、複数の仕事を同時に本業として取り組む働き方です。収入面に限らず自身の成長,社会貢献など、個人が複数の軸を持って自律的に働くスタイルです。つまり勤務先だけを本業ととらえず、自分自身がやりたいことを全て本業ととらえる働き方とも言えます。
私は元々は副業収入で本業収入を補うことを目指していましたが、今は複業という考え方で診断士活動をしています。ただ最初は診断士資格を取って副業しようと思っていました。
2.年収ダウンで副業を決意
私は4回転職しています。3回目の転職が45歳(2017年)のときでした。勤務先電機メーカーの所属部門がダウンサイジングされ、将来が見えなくなったという動機でした。ただその転職活動は困難を極めました。応募企業は30社以上、役員面接や年収提示は何回も受けましたたが、最終条件が折り合わずなかなか決まりません。最近はミドル転職市場も活況でここまでではないのかもしれませんが、このときの経験はかなり堪えました。
約1年半の転職活動を経て、ようやく決まった転職先は外資系メーカーでした。しかし入社しばらくして本社の経営成績が振るわなくなり、日本企業よりもダイナミックな年収ダウンの洗礼を受けてしまいます。目の前が真っ暗とはこのことかと思いました。直近の転職でさんざん苦労したので良い条件の転職先を見つかるのはもう無理だと思い、副業を目指そう、、と腹を括りました。けっこうな背水の陣でした。
3.副業ではなく複業診断士を志す
この一連の経験で感じたのは、自分のキャリアの基軸を定めなおす必要性、そして「手に職がないとヤバイ」という危機感です。R&D、新事業、SI、業務改革、デジタル、BPO、PMなど、、自分の経歴を棚卸してみたら、かなりマッチングしたのが実は中小企業診断士でした(下図)。昔の職場の大先輩からの副業できるという風の噂もあり、「これだ!」と直感したのが2018年の元旦。そこから猛勉強を開始し、2020年11月に診断士登録しました。
ただ、診断士になってからどうするかはノープランで手当たり次第だった、というのは前回ブログで書いたとおりです(笑)。2次合格後偶然入った稼プロ!との出会いは大きく、その学びや先輩方のお話しから、診断士は単に副業を目指すのではなく、複業に成長させないともったいないと思うようになりました。
4.複業診断士のメリット
企業内診断士が複業をするメリットは人それぞれで、数えきれないと思うのですが、私は主に3つと考えています。
①経営者と話せる。診断できる機会もある
大きな企業であればあるほど業務が細分化されていて、経営者と話す機会はそうそうありません。診断士は、部会や研究会などに積極的に参加しネットワーキングを進めると、企業内診断士でも中小企業支援の機会に巡り合えます。多くは補助金の事業計画書作成ですが、そこでは経営者の思いを聞き経営分析や事業計画を提案できます。これは経営者の視座に触れられるかけがいのない機会で、診断士ならではの複業といえます。
②学びを勤務先にフィードバックして組織貢献できる
支援先の事業分析・診断のほかにも、診断士の世界では組織運営、人材開発、新事業、事業再生など多くの勉強機会があります。これらはダイレクトに勤務先へもフィードバックできます。たとえば「事業分析の精度が上がり、社内提案内容が充実する」、「知識・経験の共有で、人材育成に貢献できる」、「異業界の分析から、自企業を客観的にベンチマークできる」といった点です。経営視点・組織能力向上の点で組織貢献できると、勤務先での発信力やプレゼンスも増すように感じます。
③キャリアポートフォリオが豊かになる
診断士複業をとおしてキャリアの幅が間違いなく複線化されます。会社勤務の一本足のキャリアは、馬券に例えると一点買いのようなもので、リストラなど万一のとき脆弱です。この複線化は心理的にも大きな保険になりますし、自分自身の人間としての幅も広げてくれるように思います。
診断士の世界は、実務経験豊かなベテランの知見が求められる仕事も多く、50過ぎても自分を磨き続けることで、年齢の壁を越えて活躍できる機会があります。私も、複業で自分の看板での実績を積み重ねていき、いつかは独立し会社に頼らず自力で稼ぎたいと思うようになりました。また、勤務先業務は自分の「業」の1つであるいう意識になっています。これはこの3年で得られた自分自身の意識の大きな変化です。
次回以降、これまで複業でいろいろと試してわかってきたことをまとめていきたいと思います。どうぞ1年間お付き合いください!