松竹大歌舞伎 「角力場」「傾城反魂香」 (7月28日 岐阜市民会館 大ホール)
とても暑い日が続く中、また歌舞伎の興行に。本当は前日の春日井公演に嫁と2人で行くはずだったのだが仕事が入ってしまい、そのチケットは義母にプレゼント。自分は後から都合の付くこの日の公演を別で購入した。この日の午後から休みを取り、岐阜駅へ。会場は初めて行く岐阜市民会館。酷暑の中、岐阜駅から「水谷」で少し呑んだりと、ブラブラ歩いて会場へ。だいたいの場所は分かって歩いていたはずなのに途中で通り過ぎたようで、全然スマートじゃない自分のスマホのナビで探そうにも、なんだか現在地点表示がおかしい。仕方がなく近くに車を停めていたハイヤーの運転手さんに道を尋ねるとすぐ近くまで来ていた。
2階席の一番前だったのだがなんだか客入りが悪い。嫁に春日井公演は満員だったと聞いていたのに自分の周囲に全然人が座らず、ひとりポツンとして、それはそれで居心地が悪い。のぞいてみると1階席も空きが結構あるようだった。
幕が開き、華やかな舞台が始まる。今回も予習をしてきたのでイヤホンガイドはなし。「角力場(すもうば)」とあっても実際の相撲のシーンはなく、その人間関係というか背景で語らせる。さすが濡髪を演じる吉右衛門の存在感がものすごい。台詞は多くないのだが、どっしりと座って扇子であおいでいるだけでも圧倒的。それが歌昇演じる勢いはあるがまだ世の中を知らない放駒長吉と分りやすい対比になっている。
間に又五郎と歌昇の襲名披露の口上がある。襲名披露公演は足掛け4年かけて全国を回ったというのだから驚きの時間軸。二つめは「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」。こちらでは又五郎演じる「どもり」の又兵はもちろんだが、女房おとくを演じる芝雀に目が釘付け。声の通りといい、存在感といい、やっぱりすごい。
がらんと空いた自分の席よりちょっと後ろに「大向こう」の方がいらっしゃった。「大向こう」とは芝居の途中で「播磨屋!」とか「京屋!」とか声をかける人達。もちろん本当は誰がかけてもいいのだが、芝居を壊す可能性もあるのでおいそれとは出来ない。変わった抑揚があったり、ちょっと癖のある掛声もあって面白い。でも芝居途中で、あろうことか芝居通のその人、あるいは連れの人あたりから携帯電話の着信音が…。
中村歌昇改め 三代目 中村又五郎襲名披露
中村種太郎改め 四代目 中村歌昇襲名披露
双蝶々曲輪日記
一、角力場(すもうば)
濡髪長五郎 中村 吉右衛門
山崎屋与五郎 中村 種之助
藤屋吾妻 中村 米 吉
放駒長吉 種太郎改め中村 歌 昇
二、三代目中村又五郎
四代目中村歌 昇 襲名披露 口上(こうじょう)
歌昇改め中村 又五郎
種太郎改め中村 歌 昇
中村 吉右衛門
幹部俳優出演
三、土佐将監閑居の場
浮世又平後に土佐又平光起 歌昇改め中村 又五郎
又平女房おとく 中村 芝 雀
土佐修理之助 中村 隼 人
狩野雅楽之助 中村 錦之助
土佐将監光信 中村 歌 六