体育祭シーズンにおける一考。
その上で、どうしていくかである。
達成感は、一生残るものである。
自分も、組体操をしたその感触は、今でも覚えている。
******毎日新聞(2014/05/31)******
http://mainichi.jp/opinion/news/20140531k0000m070106000c.html
社説:組み体操の事故 高さを競うのは危険だ
毎日新聞 2014年05月31日 02時30分
全国各地の学校で運動会や体育祭のシーズンを迎えている。数ある種目の中でも大勢の子どもたちが協力して作り上げる組み体操は見栄えがすることもあって保護者らの人気は高い。達成感や連帯感、一体感を育むのに役立つとして教育的な意義を強調する学校関係者も多い。
だが、最近ある数字が明らかになり、インターネット上で組み体操の是非を巡って活発な議論が交わされている。学校管理下の事故に詳しい名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)によると小学校で2012年度に発生した負傷事故のうち組み体操は約6500件で、跳び箱(約1万5000件)、バスケットボール(約1万1000件)に次いで3番目に多いことが分かった。
児童生徒らの災害共済給付事業を行っている日本スポーツ振興センターの統計を基にまとめた。けがの多さに加え前年度からの事故増加率はワースト1で、しかも重大事故につながりやすい頭部などを負傷する割合が高いことも明らかになった。
過去には「人間ピラミッド」と呼ばれる組み体操の下敷きになった小学生が死亡している。約20年前、福岡の県立高校生が全身まひになった事故の裁判で判決は「人間ピラミッドは一概に安全なスポーツとは断じ難い」と危険性を指摘し、県に賠償を命じた。こうした事故情報が全国で共有されているのだろうか。
今月9日、熊本県の菊陽中学で2、3年の男子生徒約140人で10段のピラミッドを作る練習中に一部が崩れ、1人の生徒が腰の骨を折る大けがをした。体育館にけが防止のためのマットを敷き、教諭8人が指導する中での事故だった。
4年前、兵庫県内の中学が高さ7メートルに達する10段のピラミッドを完成させたことが報道され、話題になった。その様子が公開されたネットの動画サイトには多くのアクセスがあった。2年前には別の中学が10段を完成させている。菊陽中は一昨年までは7段だったが、昨年から10段に増やしていたという。
子どもたちの発達段階や個人の能力に応じて段階的な指導を行うべきにもかかわらず、100人以上を動員して高さを競い合う傾向が強まっているとしたら心配だ。
さまざまなリスクを指摘した内田氏の提言に対し「けがを恐れていたら何もできない」と反発や批判も多く寄せられている。だが、人間ピラミッドは土台が安定せずバランスを崩した時につかめるものがないことから目をそらしてはいけない。
今週末以降、運動会などで予定している学校は子どもたちの側に立って、より一層の安全配慮をしてほしい。事故が起きてからでは遅い。