11/16、平成21年5月の制度開始後初めての裁判員制度の合憲性の判断が、最高裁判所でなされました。
裁判官15人全員一致の結論で、合憲という判断が下されたとのことです。
憲法の条文に直接の規定がない裁判員制度の法的な位置づけが明確になりました。
*憲法
第80条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
*裁判員法:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年五月二十八日法律第六十三号)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
自分は、裁判員制度が、日本の民主主義を進めてくれることを期待しているひとりです。
「制度の定着には、裁判員の負担軽減などについて、裁判所側の一層の配慮が必要だ」と読売新聞が書かれているように、裁判員に対する心理的ケアも含めたフォローの体制の充実を求めたいと思います。また、未来の参加を見越した、小中学校からの法教育の充実にも期待を致したいと考えます。
****産経新聞(2011/11/16)*****
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111116/trl11111621260008-n1.htm
裁判員制度は「合憲」 最高裁大法廷が初判断
2011.11.16 21:25 [憲法・法律]
裁判員制度の合憲性が争点となった覚せい剤取締法違反事件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は16日、裁判員制度について「憲法上、国民の司法参加が禁じられていると解すべき理由はない」として合憲との初判断を示し、被告側の上告を棄却した。
制度の合憲性に関する最高裁の判断は、平成21年5月の制度開始後で初めて。憲法の条文に直接の規定がない裁判員制度の法的な位置づけを明確にした。裁判官15人の全員一致による結論で、個別意見を述べた裁判官はいなかった。
大法廷は判決理由で、司法の国民参加が欧米諸国や日本で採用されてきた歴史的背景を述べ、「刑事裁判に国民が参加して、民主的基盤の強化を図ることと、憲法の定める人権の保障を全うしつつ適正な刑事裁判を実現することとは相容れないものではない」と指摘。
その上で、裁判員と裁判官が共同で評議、評決する制度の仕組みについて「適正な裁判は十分保障され、被告の権利保護も配慮されており、憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上での支障はない」とした。
事件は、フィリピン人女性の無職、パークス・レメディオス・ピノ被告(45)が同法違反などの罪に問われたもの。1審千葉地裁の裁判員裁判と2審東京高裁で、懲役9年、罰金400万円の判決を受けた。弁護側は「裁判官ではない裁判員が審理に関与するのは、被告の裁判を受ける権利を侵害し憲法違反にあたる」などと主張していた。
***********************
******読売新聞(2011/11/17)*****
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111116-OYT1T01171.htm
裁判員制度 定着への礎となる「合憲」判断(11月17日付・読売社説)
裁判員制度が憲法に違反するかどうか、が争われた刑事裁判で、最高裁大法廷は「憲法に違反しない」との判決を言い渡した。
15人の裁判官の全員一致による結論だった。
2009年5月の裁判員制度導入以来、その合違憲性を最高裁が判断したのは初めてである。
裁判員制度を推進する最高裁が合憲判断を示すのは、当然とも言える。だが、制度を根付かせていくうえでは、一つの節目となる判決と言えよう。
被告は、覚醒剤を密輸したとして起訴されたフィリピン国籍の女だ。千葉地裁の裁判員裁判で実刑判決を受けた。
被告側は控訴審で、「裁判官でない裁判員が1審に関与したのは違憲」と無罪を主張したが、棄却され、上告した。
被告側が「違憲」の最大の根拠としたのは、地裁の裁判官を「最高裁が指名した者の名簿から、内閣が任命する」と定めた憲法の規定だ。選挙人名簿から、くじ引きで裁判員を選ぶ制度は、この規定に違反していると主張した。
これに対し、最高裁は、地裁の裁判は裁判官だけで実施しなければならないという憲法の規定は存在しないと指摘した。
「憲法制定当時、政府内では陪審制や参審制を採用することも可能だと解されていた」との見解も示し、憲法は司法への国民参加を禁じていないと結論付けた。
被告側の他の違憲主張について、最高裁がつぶさに憲法上の判断を示したことも注目される。
裁判員制度が「裁判官の独立」を侵害するという主張に対しては、「裁判官を裁判の基本的な担い手として、公正中立な裁判の実現が図られている」と退けた。
裁判員を務めることが、憲法が禁じた「苦役」に当たるかどうかについては、「辞退に関する柔軟な制度を設けている」などとして、合憲判断を示した。
裁判員制度を巡っては、制度設計の段階から憲法上の様々な問題点が指摘された。その議論を置き去りにしたまま、制度がスタートした経緯がある。
今回の判決からは、裁判員制度の憲法問題に決着をつけたいという最高裁の意向がうかがえる。
導入から2年半、裁判員制度は、選ばれた裁判員が忠実に責務を果たしており、ほぼ順調に運用されていると言えるだろう。
法的には「合憲」となったが、制度の定着には、裁判員の負担軽減などについて、裁判所側の一層の配慮が必要だ。
(2011年11月17日01時17分 読売新聞)
****************************
******朝日新聞(2011/11/17)*****
裁判員制度は「合憲」 最高裁大法廷が初判断
裁判員制度は憲法に違反していないかどうかが争点となった刑事裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)は16日、「合憲」との初めての判断を示した。その上で、無罪を訴えていた被告側の上告を棄却した。
審理の対象は、覚醒剤を密輸したとして一、二審で実刑とされたフィリピン国籍の女性被告(45)。一審から無罪を主張し、弁護側は控訴審から「裁判員制度は違憲だ」と訴えた。
「(地裁や高裁など)下級裁判所の裁判官は最高裁が指名した者の名簿によって、内閣が任命する」と定めた憲法80条などが、裁判員制度が適合するかが争点となっていた。
*****以上*****
裁判官15人全員一致の結論で、合憲という判断が下されたとのことです。
憲法の条文に直接の規定がない裁判員制度の法的な位置づけが明確になりました。
*憲法
第80条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
*裁判員法:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年五月二十八日法律第六十三号)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
自分は、裁判員制度が、日本の民主主義を進めてくれることを期待しているひとりです。
「制度の定着には、裁判員の負担軽減などについて、裁判所側の一層の配慮が必要だ」と読売新聞が書かれているように、裁判員に対する心理的ケアも含めたフォローの体制の充実を求めたいと思います。また、未来の参加を見越した、小中学校からの法教育の充実にも期待を致したいと考えます。
****産経新聞(2011/11/16)*****
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111116/trl11111621260008-n1.htm
裁判員制度は「合憲」 最高裁大法廷が初判断
2011.11.16 21:25 [憲法・法律]
裁判員制度の合憲性が争点となった覚せい剤取締法違反事件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は16日、裁判員制度について「憲法上、国民の司法参加が禁じられていると解すべき理由はない」として合憲との初判断を示し、被告側の上告を棄却した。
制度の合憲性に関する最高裁の判断は、平成21年5月の制度開始後で初めて。憲法の条文に直接の規定がない裁判員制度の法的な位置づけを明確にした。裁判官15人の全員一致による結論で、個別意見を述べた裁判官はいなかった。
大法廷は判決理由で、司法の国民参加が欧米諸国や日本で採用されてきた歴史的背景を述べ、「刑事裁判に国民が参加して、民主的基盤の強化を図ることと、憲法の定める人権の保障を全うしつつ適正な刑事裁判を実現することとは相容れないものではない」と指摘。
その上で、裁判員と裁判官が共同で評議、評決する制度の仕組みについて「適正な裁判は十分保障され、被告の権利保護も配慮されており、憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上での支障はない」とした。
事件は、フィリピン人女性の無職、パークス・レメディオス・ピノ被告(45)が同法違反などの罪に問われたもの。1審千葉地裁の裁判員裁判と2審東京高裁で、懲役9年、罰金400万円の判決を受けた。弁護側は「裁判官ではない裁判員が審理に関与するのは、被告の裁判を受ける権利を侵害し憲法違反にあたる」などと主張していた。
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******読売新聞(2011/11/17)*****
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111116-OYT1T01171.htm
裁判員制度 定着への礎となる「合憲」判断(11月17日付・読売社説)
裁判員制度が憲法に違反するかどうか、が争われた刑事裁判で、最高裁大法廷は「憲法に違反しない」との判決を言い渡した。
15人の裁判官の全員一致による結論だった。
2009年5月の裁判員制度導入以来、その合違憲性を最高裁が判断したのは初めてである。
裁判員制度を推進する最高裁が合憲判断を示すのは、当然とも言える。だが、制度を根付かせていくうえでは、一つの節目となる判決と言えよう。
被告は、覚醒剤を密輸したとして起訴されたフィリピン国籍の女だ。千葉地裁の裁判員裁判で実刑判決を受けた。
被告側は控訴審で、「裁判官でない裁判員が1審に関与したのは違憲」と無罪を主張したが、棄却され、上告した。
被告側が「違憲」の最大の根拠としたのは、地裁の裁判官を「最高裁が指名した者の名簿から、内閣が任命する」と定めた憲法の規定だ。選挙人名簿から、くじ引きで裁判員を選ぶ制度は、この規定に違反していると主張した。
これに対し、最高裁は、地裁の裁判は裁判官だけで実施しなければならないという憲法の規定は存在しないと指摘した。
「憲法制定当時、政府内では陪審制や参審制を採用することも可能だと解されていた」との見解も示し、憲法は司法への国民参加を禁じていないと結論付けた。
被告側の他の違憲主張について、最高裁がつぶさに憲法上の判断を示したことも注目される。
裁判員制度が「裁判官の独立」を侵害するという主張に対しては、「裁判官を裁判の基本的な担い手として、公正中立な裁判の実現が図られている」と退けた。
裁判員を務めることが、憲法が禁じた「苦役」に当たるかどうかについては、「辞退に関する柔軟な制度を設けている」などとして、合憲判断を示した。
裁判員制度を巡っては、制度設計の段階から憲法上の様々な問題点が指摘された。その議論を置き去りにしたまま、制度がスタートした経緯がある。
今回の判決からは、裁判員制度の憲法問題に決着をつけたいという最高裁の意向がうかがえる。
導入から2年半、裁判員制度は、選ばれた裁判員が忠実に責務を果たしており、ほぼ順調に運用されていると言えるだろう。
法的には「合憲」となったが、制度の定着には、裁判員の負担軽減などについて、裁判所側の一層の配慮が必要だ。
(2011年11月17日01時17分 読売新聞)
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******朝日新聞(2011/11/17)*****
裁判員制度は「合憲」 最高裁大法廷が初判断
裁判員制度は憲法に違反していないかどうかが争点となった刑事裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)は16日、「合憲」との初めての判断を示した。その上で、無罪を訴えていた被告側の上告を棄却した。
審理の対象は、覚醒剤を密輸したとして一、二審で実刑とされたフィリピン国籍の女性被告(45)。一審から無罪を主張し、弁護側は控訴審から「裁判員制度は違憲だ」と訴えた。
「(地裁や高裁など)下級裁判所の裁判官は最高裁が指名した者の名簿によって、内閣が任命する」と定めた憲法80条などが、裁判員制度が適合するかが争点となっていた。
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