2022年9月15日 国立がん研究センター中央病院・中央区医師会の合同講演会において、同病院の呼吸器内科 大江裕一郎先生による『肺がん薬物療法最新の知見』と題するご講演を拝聴いたしました。
特に、非小細胞肺がんに対する治療薬について。
●1990年代以前は、殺細胞性抗がん剤とくにシスプラチンなどの薬剤を用い、延命効果が併用しない場合の1.5カ月の延命効果の時代でした。
●2000年代以降、分子標的治療が出て、ドライバー遺伝子・EGFR遺伝子の変異がある場合にゲフィチニブ(製品名イレッサ)が奏功するなどが分かってきました。
●2010年代以降、がん免疫療法が登場。
2018年ノーベル医学生理学賞となる京都大学本庶佑氏の抗PD-1抗体ニボルマブ(製品名オプシーボ)、ジェームズ・アリソン氏の抗CTLA-4抗体イピリムマブ(製品名ヤーボイ)などです。
免疫チェックポイント阻害薬と言われます。
抗CTLA-4抗体イピリムマブ(製品名ヤーボイ)は、樹状細胞とT細胞のCTLA-4の結合を阻害し、結合すればT細胞が免疫を抑制することを(免疫ブレーキを壊す)、結合しないがために、T細胞の免疫賦活化状態が続き(免疫アクセルのみ踏み続ける)、そのT細胞ががん細胞を攻撃し、治癒に導くとのことです。
非小細胞がんだけでなく、扁平上皮がんや非扁平上皮がんなど一般の固形がん(肺がん)にも奏功。
がん免疫療法は、化学療法・分子標的薬ではなかった長期生存の可能性を生み出しました。
●2020年代以降、抗体薬物複合体(Antibodi-drug conjugate:ADC)や二重特異抗体(Bispecfic抗体)が出てきました。
********
抗体薬物複合体(Antibodi-drug conjugate:ADC)や二重特異抗体(Bispecfic抗体)が、今後、生存率をまだまだ、あげていくものと期待します。
治療薬の登場のお話の中で、ノーベル医学生理学賞として高い評価をされていますが、やはり「がん免疫療法」、自身の免疫抑制をさせないことによるT細胞ががん細胞を攻撃させるがん免疫療法は、画期的であると再認識した次第です。
ご講演でも述べられておられましたが、「がん細胞を攻撃する免疫細胞は、体の中にすでに存在している!」
本庶佑氏らのこの気づきがすごいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます