原爆資料館の資料展示のありかたのニュース以来、少々広島市の政治が、心配になっているのですが、広島市は、以下、藤田宙靖裁判官のご指摘に従って、「広島市暴走族追放条例」の文言の違憲状態を改正で直したのだろうか?
最高裁判例・下級審裁判例bot@hanrei_bot
広島市暴走族追放条例にいう「集会」は限定解釈でき,同解釈をすれば憲法21条1項,31条に違反しない H19.9.18
藤田裁判官のご指摘:
本件の場合,広島市の立法意図が多数意見のい
うようなところにあるのであるとするならば,「暴走族」概念の定義を始め問題と
なる諸規定をその趣旨に即した形で改正することは,技術的にさほど困難であると
は思われないのであって,本件は,当審が敢えて合憲限定解釈を行って条例の有効
性を維持すべき事案ではなく,違憲無効と判断し,即刻の改正を強いるべき事案で
あると考える。
*****最高裁ホームページ抜粋****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031140332.pdf
裁判官藤田宙靖の反対意見は,次のとおりである。
多数意見は,本条例19条,16条1項1号,17条等について,これらの規定
の規律対象が広範に過ぎるため本条例は憲法21条1項及び31条に違反するとの
論旨を,いわゆる合憲限定解釈を施すことによって斥けるが,私は,本件において
このような合憲限定解釈を行うことには,賛成することができない。
いうまでもなく,日本国憲法によって保障された精神的自由としての集会・結
社,表現の自由は,最大限度に保障されなければならないのであって,これを規制
する法令の規定について合憲限定解釈をすることが許されるのは,その解釈により
規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ合憲的に規制し
得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず,ま
た,一般国民の理解において,具体的場合に当該表現行為等が規制の対象となるか
どうかの判断を可能ならしめるような基準を,その規定自体から読み取ることがで
きる場合でなければならないというべきである。この点多数意見は,本条例2条7
号における「暴走族」概念の広範な定義にもかかわらず,目的規定である1条,並
びに5条,6条,そして本条例施行規則3条等々の規定からして,本条例が規制の
対象とするのは,専ら社会的通念上の暴走族及びそれに準じる者の暴走行為,集会
及び祭礼等における示威行為に限られることが読み取れる,という。しかし,通常
人の読み方からすれば,ある条例において規制対象たる「暴走族」の語につき定義
規定が置かれている以上,条文の解釈上,「暴走族」の意味はその定義の字義通り
- 13 -
に理解されるのが至極当然というべきであり(そうでなければ,およそ法文上言葉
の「定義」をすることの意味が失われる),そして,2条7号の定義を字義通りの
ものと前提して読む限り,多数意見が引く5条,6条,施行規則3条等々の諸規定
についても,必ずしも多数意見がいうような社会的通念上の暴走族及びそれに準じ
る者のみを対象とするものではないという解釈を行うことも,充分に可能なのであ
る。加えて,本条例16条では「何人も,次に掲げる行為をしてはならない」とい
...
う規定の仕方がされていることにも留意しなければならない。多数意見のような解
釈は,広島市においてこの条例が制定された具体的な背景・経緯を充分に理解し,
かつ,多数意見もまた「本条例がその文言どおりに適用されることになると,規制
の対象が広範囲に及び,憲法21条1項及び31条との関係で問題があることは所
論のとおりである」と指摘せざるを得なかったような本条例の粗雑な規定の仕方
が,単純に立法技術が稚拙であることに由来するものであるとの認識に立った場合
に,初めて首肯されるものであって,法文の規定そのものから多数意見のような解
釈を導くことには,少なくとも相当の無理があるものと言わなければならない。
なお,補足意見が指摘するように,被告人の本件行為は,本条例が公共の平穏を
維持するために規制しようとしていた典型的な行為であって,多数意見のような合
憲限定解釈を採ると否とにかかわらず本件行為が本条例の規定自体に違反すること
は明らかである。しかしいうまでもなく,被告人が処罰根拠規定の違憲無効を訴訟
上主張するに当たって,主張し得る違憲事由の範囲に制約があるわけではなく,ま
たその主張の当否(すなわち処罰根拠規定自体の合憲性の有無)を当審が判断する
に際して,被告人が行った具体的行為についての評価を先行せしむべきものでもな
い。そして,当審の判断の結果,仮に規律対象の過度の広範性の故に処罰根拠規定
- 14 -
自体が違憲無効であるとされれば,被告人は,違憲無効の法令によって処罰される
ことになるのであるから,この意味において,本条例につきどのような解釈を採ろ
うとも被告人に保障されている憲法上の正当な権利が侵害されることはないという
ことはできない。
私もまた,法令の合憲限定解釈一般について,それを許さないとするものではな
いが,表現の自由の規制について,最高裁判所が法令の文言とりわけ定義規定の強
引な解釈を行ってまで法令の合憲性を救うことが果たして適切であるかについて
は,重大な疑念を抱くものである。本件の場合,広島市の立法意図が多数意見のい
うようなところにあるのであるとするならば,「暴走族」概念の定義を始め問題と
なる諸規定をその趣旨に即した形で改正することは,技術的にさほど困難であると
は思われないのであって,本件は,当審が敢えて合憲限定解釈を行って条例の有効
性を維持すべき事案ではなく,違憲無効と判断し,即刻の改正を強いるべき事案で
あると考える。
以上
最高裁判例・下級審裁判例bot@hanrei_bot
広島市暴走族追放条例にいう「集会」は限定解釈でき,同解釈をすれば憲法21条1項,31条に違反しない H19.9.18
藤田裁判官のご指摘:
本件の場合,広島市の立法意図が多数意見のい
うようなところにあるのであるとするならば,「暴走族」概念の定義を始め問題と
なる諸規定をその趣旨に即した形で改正することは,技術的にさほど困難であると
は思われないのであって,本件は,当審が敢えて合憲限定解釈を行って条例の有効
性を維持すべき事案ではなく,違憲無効と判断し,即刻の改正を強いるべき事案で
あると考える。
*****最高裁ホームページ抜粋****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031140332.pdf
裁判官藤田宙靖の反対意見は,次のとおりである。
多数意見は,本条例19条,16条1項1号,17条等について,これらの規定
の規律対象が広範に過ぎるため本条例は憲法21条1項及び31条に違反するとの
論旨を,いわゆる合憲限定解釈を施すことによって斥けるが,私は,本件において
このような合憲限定解釈を行うことには,賛成することができない。
いうまでもなく,日本国憲法によって保障された精神的自由としての集会・結
社,表現の自由は,最大限度に保障されなければならないのであって,これを規制
する法令の規定について合憲限定解釈をすることが許されるのは,その解釈により
規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ合憲的に規制し
得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず,ま
た,一般国民の理解において,具体的場合に当該表現行為等が規制の対象となるか
どうかの判断を可能ならしめるような基準を,その規定自体から読み取ることがで
きる場合でなければならないというべきである。この点多数意見は,本条例2条7
号における「暴走族」概念の広範な定義にもかかわらず,目的規定である1条,並
びに5条,6条,そして本条例施行規則3条等々の規定からして,本条例が規制の
対象とするのは,専ら社会的通念上の暴走族及びそれに準じる者の暴走行為,集会
及び祭礼等における示威行為に限られることが読み取れる,という。しかし,通常
人の読み方からすれば,ある条例において規制対象たる「暴走族」の語につき定義
規定が置かれている以上,条文の解釈上,「暴走族」の意味はその定義の字義通り
- 13 -
に理解されるのが至極当然というべきであり(そうでなければ,およそ法文上言葉
の「定義」をすることの意味が失われる),そして,2条7号の定義を字義通りの
ものと前提して読む限り,多数意見が引く5条,6条,施行規則3条等々の諸規定
についても,必ずしも多数意見がいうような社会的通念上の暴走族及びそれに準じ
る者のみを対象とするものではないという解釈を行うことも,充分に可能なのであ
る。加えて,本条例16条では「何人も,次に掲げる行為をしてはならない」とい
...
う規定の仕方がされていることにも留意しなければならない。多数意見のような解
釈は,広島市においてこの条例が制定された具体的な背景・経緯を充分に理解し,
かつ,多数意見もまた「本条例がその文言どおりに適用されることになると,規制
の対象が広範囲に及び,憲法21条1項及び31条との関係で問題があることは所
論のとおりである」と指摘せざるを得なかったような本条例の粗雑な規定の仕方
が,単純に立法技術が稚拙であることに由来するものであるとの認識に立った場合
に,初めて首肯されるものであって,法文の規定そのものから多数意見のような解
釈を導くことには,少なくとも相当の無理があるものと言わなければならない。
なお,補足意見が指摘するように,被告人の本件行為は,本条例が公共の平穏を
維持するために規制しようとしていた典型的な行為であって,多数意見のような合
憲限定解釈を採ると否とにかかわらず本件行為が本条例の規定自体に違反すること
は明らかである。しかしいうまでもなく,被告人が処罰根拠規定の違憲無効を訴訟
上主張するに当たって,主張し得る違憲事由の範囲に制約があるわけではなく,ま
たその主張の当否(すなわち処罰根拠規定自体の合憲性の有無)を当審が判断する
に際して,被告人が行った具体的行為についての評価を先行せしむべきものでもな
い。そして,当審の判断の結果,仮に規律対象の過度の広範性の故に処罰根拠規定
- 14 -
自体が違憲無効であるとされれば,被告人は,違憲無効の法令によって処罰される
ことになるのであるから,この意味において,本条例につきどのような解釈を採ろ
うとも被告人に保障されている憲法上の正当な権利が侵害されることはないという
ことはできない。
私もまた,法令の合憲限定解釈一般について,それを許さないとするものではな
いが,表現の自由の規制について,最高裁判所が法令の文言とりわけ定義規定の強
引な解釈を行ってまで法令の合憲性を救うことが果たして適切であるかについて
は,重大な疑念を抱くものである。本件の場合,広島市の立法意図が多数意見のい
うようなところにあるのであるとするならば,「暴走族」概念の定義を始め問題と
なる諸規定をその趣旨に即した形で改正することは,技術的にさほど困難であると
は思われないのであって,本件は,当審が敢えて合憲限定解釈を行って条例の有効
性を維持すべき事案ではなく,違憲無効と判断し,即刻の改正を強いるべき事案で
あると考える。
以上
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