Ⅰ労働時間を考えるうえでのその重要性
〇賃金とならぶ最も本質的な労働条件
〇過度の労働は、肉体的精神的な健康を害する
〇家庭生活など私生活上の時間との調和
〇雇用機会の拡大(ワークシェアリング)との関わり
Ⅱある行為に要する時間が労働時間にあたるかについての争いがある場合に解決の指針となる法条は存在しない、労働時間とは?
賃金の支払請求が認められるかは、労基法上の「労働時間」(労基法32条)にあたるかによる。
当事者間の約定で労働時間か否かが定まるとすると、罰則(労基法119条、120条)との関係で処罰範囲があいまいになり、妥当でない。
→当事者の主観的側面は考慮せず、労働者保護法としての労基法の趣旨から客観的に判断すべき。
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間(指揮命令下説、三菱重工業長崎造船所事件)
労働基準法
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
二 第三十三条第二項、第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者
三 第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者
四 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者
第百二十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第十五条第一項若しくは第三項、第十八条第七項、第二十二条第一項から第三項まで、第二十三条から第二十七条まで、第三十二条の二第二項(第三十二条の四第四項及び第三十二条の五第三項において準用する場合を含む。)、第三十二条の五第二項、第三十三条第一項ただし書、第三十八条の二第三項(第三十八条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十七条から第五十九条まで、第六十四条、第六十八条、第八十九条、第九十条第一項、第九十一条、第九十五条第一項若しくは第二項、第九十六条の二第一項、第百五条(第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第百六条から第百九条までの規定に違反した者
二 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第十四条の規定に係る部分に限る。)に違反した者
三 第九十二条第二項又は第九十六条の三第二項の規定による命令に違反した者
四 第百一条(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定による労働基準監督官又は女性主管局長若しくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者
五 第百四条の二の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
Ⅲ ある行為に要する時間が労働時間にあたるかについての解決の指針となる法条は存在しない、労働時間とは?
労働者が、就業を命じられた業務の準備行為などを事業所内で行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為は特段の事情のないかぎり、使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができる。
Ⅳ 労基法上の労働時間に該当するとしても、そこから当然に労働契約上の賃金請求権が発生するわけではない。
〇労働契約上、賃金を支払うという解釈が可能な場合
〇法定労働時間(労基法32条)外の労働である場合、割増賃金の支払い義務(労基法37条)が生じうるため、労基法13条に基づいて割増賃金の支払い請求をすることができる。
Ⅴ個別の検討
1)休憩時間
使用者の指揮命令下におかれたものと評価できないから、労基法上の労働時間にあたらない。
2)朝礼時間
朝礼に参加することを、使用者から指示されている。使用者の指揮命令下におかれたものと評価できるから、労基法上の労働時間にあたる。
3)仮眠時間
休憩時間ではないが、常に業務を遂行しているわけでもない。
不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。
したがって、不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていいない場合には労基法上の労働時間にあたるというべきである。
そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。(大星ビル管理事件)
〇賃金とならぶ最も本質的な労働条件
〇過度の労働は、肉体的精神的な健康を害する
〇家庭生活など私生活上の時間との調和
〇雇用機会の拡大(ワークシェアリング)との関わり
Ⅱある行為に要する時間が労働時間にあたるかについての争いがある場合に解決の指針となる法条は存在しない、労働時間とは?
賃金の支払請求が認められるかは、労基法上の「労働時間」(労基法32条)にあたるかによる。
当事者間の約定で労働時間か否かが定まるとすると、罰則(労基法119条、120条)との関係で処罰範囲があいまいになり、妥当でない。
→当事者の主観的側面は考慮せず、労働者保護法としての労基法の趣旨から客観的に判断すべき。
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間(指揮命令下説、三菱重工業長崎造船所事件)
労働基準法
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
二 第三十三条第二項、第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者
三 第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者
四 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者
第百二十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第十五条第一項若しくは第三項、第十八条第七項、第二十二条第一項から第三項まで、第二十三条から第二十七条まで、第三十二条の二第二項(第三十二条の四第四項及び第三十二条の五第三項において準用する場合を含む。)、第三十二条の五第二項、第三十三条第一項ただし書、第三十八条の二第三項(第三十八条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十七条から第五十九条まで、第六十四条、第六十八条、第八十九条、第九十条第一項、第九十一条、第九十五条第一項若しくは第二項、第九十六条の二第一項、第百五条(第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第百六条から第百九条までの規定に違反した者
二 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第十四条の規定に係る部分に限る。)に違反した者
三 第九十二条第二項又は第九十六条の三第二項の規定による命令に違反した者
四 第百一条(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定による労働基準監督官又は女性主管局長若しくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者
五 第百四条の二の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
Ⅲ ある行為に要する時間が労働時間にあたるかについての解決の指針となる法条は存在しない、労働時間とは?
労働者が、就業を命じられた業務の準備行為などを事業所内で行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為は特段の事情のないかぎり、使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができる。
Ⅳ 労基法上の労働時間に該当するとしても、そこから当然に労働契約上の賃金請求権が発生するわけではない。
〇労働契約上、賃金を支払うという解釈が可能な場合
〇法定労働時間(労基法32条)外の労働である場合、割増賃金の支払い義務(労基法37条)が生じうるため、労基法13条に基づいて割増賃金の支払い請求をすることができる。
Ⅴ個別の検討
1)休憩時間
使用者の指揮命令下におかれたものと評価できないから、労基法上の労働時間にあたらない。
2)朝礼時間
朝礼に参加することを、使用者から指示されている。使用者の指揮命令下におかれたものと評価できるから、労基法上の労働時間にあたる。
3)仮眠時間
休憩時間ではないが、常に業務を遂行しているわけでもない。
不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。
したがって、不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていいない場合には労基法上の労働時間にあたるというべきである。
そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。(大星ビル管理事件)
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