本日の東京新聞社会面では、「法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、なぜ税法上の「寡婦控除」が適用されないのか。」と重要な問題提起がされていました。
記事にあるように、「日弁連は、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた」http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.htmlとのことですが、私も、国による法的救済、それがなされるまでの救済として、各自治体の個別的な救済措置(「みなし控除」等)をとるべきであると考えます。
*****東京新聞(2013/01/28)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013012802000129.html
【社会】
非婚ひとり親「みなし控除を」 収入少ないのに高い税・保育料
2013年1月28日 朝刊
法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、なぜ税法上の「寡婦控除」が適用されないのか。結婚歴のある親に比べ、高い税や保育料の負担を強いられている。日弁連は今月、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた。「どんな子どもも平等に受け入れる社会であってほしい」。特に生活が厳しい未婚の母たちの願いが広がる。 (小嶋麻友美)
「なぜ未婚が制度から除外されるのか」
四歳の息子を一人で育てている大阪市の会社員西崎麻衣さん(28)は昨年、未婚の親も寡婦控除が適用されたものとみなし、保育料が軽減されるよう市に陳情するための署名集めを始めた。全国から二千五百以上の署名が届いている。
妊娠五カ月の時に婚約を破棄された。宿した命を絶つ気にはなれず、東京の会社を辞め、実家の大阪で出産。産後三カ月から近所でパート勤めを始め、後に正社員の職を見つけた。所得の増加で月二万三千円の保育料がかかるようになった。
控除が適用される場合より、住民税などを年間で約十万円多く負担している。「婚外で子を産むことが悪いなら、男性にペナルティーが科されないのはなぜか。答えがあるなら教えてほしい」
寡婦控除は、子どもを抱える戦争未亡人の救済のため、一九五一年に導入された。その後改正を繰り返し対象者も拡大。所得条件はあるが、一人で子育てする父親も対象となった。ただ婚歴の条件は変わっていない。
貧困層の多い母子世帯の中でも困窮しているのが未婚者だ。国の調査では、平均収入は死別が二百五十六万円、離婚が百七十六万円なのに対し、未婚は百六十万円だ。
日弁連は実態を踏まえ「母にとっても子にとっても合理性のない差別」と指摘。税制改正が必要としつつ、まず自治体が、寡婦控除が適用されているとみなし、保育料などを減免する「みなし控除」を求めている。
現在「みなし控除」で保育料の減免をしている自治体は、千葉市や那覇市、三重県四日市など全国で十数市町だけ。人口の多い千葉市でも対象者は二十七人と少なく、財政負担は計二百万円(二〇一一年度)かかっているだけだ。それでも「みなし控除」すら広がらないのは、ひとり親が声を上げづらいこともあるからだという。東京都中央区議の河井志帆さん(36)は「ひとり親同士でも離婚か未婚かは聞きにくい。特に未婚の人は言い出しにくい」と推測する。自身も、六歳の息子を育てるひとり親だ。
昨秋、区議会で「みなし控除」の導入を迫ったが、これまでこうした声がなかったのか、区の反応は鈍い。「制度上の不公平は明らか。自治体が率先して公平な税負担に近づけ、家族の多様性を認めてほしい」と訴える。
<寡婦(夫)控除制度> 所得税法は、夫と死別か離婚した「寡婦」への経済支援として、所得から27万円の控除を認めている。子など扶養家族があり、年間所得500万円以下の「特別寡婦」は35万円。所得額を基準に算定する住民税や国民健康保険料、保育料、公営住宅の家賃なども安くなる。適用されない未婚者は、保育料などが高くなる。厚生労働省の2011年の調査では、母子世帯の8割は離婚で、未婚は7・8%、死別が7・5%。
******日弁連ホームページ*****
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.html
申立人らはいずれも「非婚の母」、すなわち、法律婚を経験したことのない女性として子どもを扶養している者であるが、現在、「非婚の母」に対しては所得税法の定める「寡婦控除」は適用されない(同法2条1項30号)。
この寡婦控除規定により算出された所得が、地方税、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料、保育料等算定のための基準とされている結果、「非婚の母」である申立人らは、「寡婦控除」規定が適用されないことにより、「寡婦」と比較すると上記各種金額算定に当たり著しい不利益を受けている。これは、「非婚の母」を合理的な理由もなく差別するものであり憲法14条等に違反するとして、「非婚の母」に対し、「寡婦控除」をみなし適用することにより、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料等の算定に当たって、非婚の母子世帯の経済的苦境を救済するよう適切な措置をとることを要望した事例。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/hr_case/data/2013/complaint_130111.pdf
記事にあるように、「日弁連は、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた」http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.htmlとのことですが、私も、国による法的救済、それがなされるまでの救済として、各自治体の個別的な救済措置(「みなし控除」等)をとるべきであると考えます。
*****東京新聞(2013/01/28)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013012802000129.html
【社会】
非婚ひとり親「みなし控除を」 収入少ないのに高い税・保育料
2013年1月28日 朝刊
法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、なぜ税法上の「寡婦控除」が適用されないのか。結婚歴のある親に比べ、高い税や保育料の負担を強いられている。日弁連は今月、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた。「どんな子どもも平等に受け入れる社会であってほしい」。特に生活が厳しい未婚の母たちの願いが広がる。 (小嶋麻友美)
「なぜ未婚が制度から除外されるのか」
四歳の息子を一人で育てている大阪市の会社員西崎麻衣さん(28)は昨年、未婚の親も寡婦控除が適用されたものとみなし、保育料が軽減されるよう市に陳情するための署名集めを始めた。全国から二千五百以上の署名が届いている。
妊娠五カ月の時に婚約を破棄された。宿した命を絶つ気にはなれず、東京の会社を辞め、実家の大阪で出産。産後三カ月から近所でパート勤めを始め、後に正社員の職を見つけた。所得の増加で月二万三千円の保育料がかかるようになった。
控除が適用される場合より、住民税などを年間で約十万円多く負担している。「婚外で子を産むことが悪いなら、男性にペナルティーが科されないのはなぜか。答えがあるなら教えてほしい」
寡婦控除は、子どもを抱える戦争未亡人の救済のため、一九五一年に導入された。その後改正を繰り返し対象者も拡大。所得条件はあるが、一人で子育てする父親も対象となった。ただ婚歴の条件は変わっていない。
貧困層の多い母子世帯の中でも困窮しているのが未婚者だ。国の調査では、平均収入は死別が二百五十六万円、離婚が百七十六万円なのに対し、未婚は百六十万円だ。
日弁連は実態を踏まえ「母にとっても子にとっても合理性のない差別」と指摘。税制改正が必要としつつ、まず自治体が、寡婦控除が適用されているとみなし、保育料などを減免する「みなし控除」を求めている。
現在「みなし控除」で保育料の減免をしている自治体は、千葉市や那覇市、三重県四日市など全国で十数市町だけ。人口の多い千葉市でも対象者は二十七人と少なく、財政負担は計二百万円(二〇一一年度)かかっているだけだ。それでも「みなし控除」すら広がらないのは、ひとり親が声を上げづらいこともあるからだという。東京都中央区議の河井志帆さん(36)は「ひとり親同士でも離婚か未婚かは聞きにくい。特に未婚の人は言い出しにくい」と推測する。自身も、六歳の息子を育てるひとり親だ。
昨秋、区議会で「みなし控除」の導入を迫ったが、これまでこうした声がなかったのか、区の反応は鈍い。「制度上の不公平は明らか。自治体が率先して公平な税負担に近づけ、家族の多様性を認めてほしい」と訴える。
<寡婦(夫)控除制度> 所得税法は、夫と死別か離婚した「寡婦」への経済支援として、所得から27万円の控除を認めている。子など扶養家族があり、年間所得500万円以下の「特別寡婦」は35万円。所得額を基準に算定する住民税や国民健康保険料、保育料、公営住宅の家賃なども安くなる。適用されない未婚者は、保育料などが高くなる。厚生労働省の2011年の調査では、母子世帯の8割は離婚で、未婚は7・8%、死別が7・5%。
******日弁連ホームページ*****
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.html
申立人らはいずれも「非婚の母」、すなわち、法律婚を経験したことのない女性として子どもを扶養している者であるが、現在、「非婚の母」に対しては所得税法の定める「寡婦控除」は適用されない(同法2条1項30号)。
この寡婦控除規定により算出された所得が、地方税、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料、保育料等算定のための基準とされている結果、「非婚の母」である申立人らは、「寡婦控除」規定が適用されないことにより、「寡婦」と比較すると上記各種金額算定に当たり著しい不利益を受けている。これは、「非婚の母」を合理的な理由もなく差別するものであり憲法14条等に違反するとして、「非婚の母」に対し、「寡婦控除」をみなし適用することにより、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料等の算定に当たって、非婚の母子世帯の経済的苦境を救済するよう適切な措置をとることを要望した事例。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/hr_case/data/2013/complaint_130111.pdf