A:不登校はコロナ禍において増加しています(*1)。文科省は年間30日以上の欠席と定義しますが、医療では日数に関係なく対応します(*3)。
低学年では、食事・睡眠・排泄などの生理的問題や不安・発達特性による集団参加困難が、思春期では、学校での対人関係や学習の問題、睡眠・生活リズムや起立性調節障害(*2)、ネットやゲームの問題、精神疾患などが背景にあります。
不登校の初期は、不安や緊張のため身体症状(頭痛、腹痛、立ちくらみ、疲労感、微熱、不眠、食欲不振など)が発生・悪化しやすく、初期対応がとても重要になります。
心と体が相互に影響を及ぼしあっていて、体調が悪いと不安が強くなり、不安や緊張がひどくなると体調が悪くなります。この身体症状と心理的ストレスの関係(心身相関)に気づき(メタ認知=自分を観るもう一人の自分が育つこと)、セルフマネージメントができることを治療では目指します。
食事・睡眠・活動ができる環境を整え、症状をゼロにするよりはつきあうこと、いじめには即時介入することを学校やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、専門機関とも連携し行います。かかりつけ小児科が、ハブとなって各関係機関をつなげていきます。
学校での取組み方がまとめられた『岡山型長期欠席・不登校対策スタンダード』https://www.pref.okayama.jp/site/16/604664.htmlがネットから得られ有用です。
不登校からの回復には、レジリエンスが欠かせません。そのために、かかりつけ小児科が責任をもって、本人そしてご家族を支持的に支援していきます。
すなわち、本人の穏やかな気質、自己肯定感がそのレジリエンスを高めます。家族の温かさ、親密さ、まとまりがそのレジリエンスを高めます。
そして、本人と家族が、肯定的で支持的な関係にある大人から支持を得ることで、そのレジリエンスが高まります。それを担うキーパーソンの一人が、かかりつけ小児科医だと考えます。
中学3年生で不登校だった子どもの約8割はその後社会に参加できています。
参考:
2022年8月28日 13:00-15:30 日本外来小児科学会
シンポジウム12 “不登校”から見えてくる世界~それぞれの立場でどう関わるか~
『小児科医が行う不登校診療』~身体症状を窓口に子どもの成長を支える~
岡山大学 岡田あゆみ先生 ご講演
*岡田あゆみ先生、ご講演、たいへんご参考にさせていただいております。また、不登校診療に活かさせていただいております。この場でも、お礼申し上げます。
*3、医学的な「不登校」の定義:不登校とは、医学的診断名ではなく、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因や背景により、児童・生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある」状態を示す言葉です。(『小児心身医学会ガイドライン集』改訂第2版 89頁)
*2、起立性調節障害について:https://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/1c1206f578b3b12361e61687aa9d073d
*1、中央区での不登校(文科省の定義)の現状:
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