「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

小児がん講演会 「思春期がんを生きる」

2008-01-28 17:31:59 | 小児医療

写真にうつっている会場の熱気をまず感じてほしい。
思春期のがんを何とかしようと集まった人たち。
医療関係者もいるが、たいていは、患者家族や、
関心のある一般の方々なのである。

小児がんの医療体制の整備は、
非常に難しく課題が山積みである。
そして、思春期の小児がんとなると特に。
しかし、誰かが課題を解決していかねばならない。
課題解決に向け、
実際に取り組んでいこうとする人たちが、
こんなにもたくさんいるのを、
まず、知ってほしい。

NPO小児がん治療開発サポート(SUCCESS)
http://www.nposuccess.jp/
が中心となって、
企画されたシンポジウムの一こまである。

*******************
小児がん講演会 「思春期がんを生きる」

日時: 2008年1月27日(日曜日) 13:30~16:30
場所: 虎ノ門パストラホテル 新館6階 アジュール
     〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-1-1
     電話 03-3432-7261

第一部:講演会
思春期がんを生きる 本末綾氏(思春期がん経験者)
思春期がんを治す  牧本敦氏(国立がんセンター中央病院小児科)
思春期がんを見分ける 秦順一氏(国立成育医療センター名誉総長)

第二部:パネルディスカッション
家族の思い
有國美恵子氏・高森真紀子氏・松田敏夫氏

思春期がんー米国の取組みー
Director,CureSearch/Aflac Adolescent and Young Adult Cancer Reseach
W.Archie Bleyer氏

パネルディスカッション
熊耳宏介氏(思春期がん経験者)
本末綾氏(思春期がん経験者)
佐藤大作氏(厚生労働省 医政局研究開発振興課)
牧本敦氏(国立がんセンター中央病院)
W.Archie Bleyer氏


主催 厚生労働省科学研究費助成金(医療技術実用化総合研究事業)

「小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究」班

共催 社団法人 日本医師会 治験促進センター

後援 NPO法人小児がん治療開発サポート
    小児脳腫瘍の会・ユーイング肉腫家族の会
    コスモス会  すくすく
    NPO法人 アジア・チャイルドケア・リーグ
    財団法人 がんの子供を守る会

広報協力 NPO法人 政策過程研究機構
*************************

昨日、開催されたのであるが、
ちょうど、私は、臨港消防団始式と予定が重なり、
残念ながら、大幅に遅刻して参加。

第二部の終わりの方で、
発言者全員によるパネルディスカッションは、
聴くことができた。

その内容をお伝えしたい。

思春期がんを取り巻く医療の状況は、非常に厳しいものがある。
実際の患者の声は、
*医師の説明よりも非常につらい薬の副作用に耐えて過ごす。生きているのがつらいと感じることも多々あった。
*自分の病気を理解することができなかった。そして自分の病気を友達に話すこととっても辛かった。
*医療体制も、ちょうど、小児科と内科のはざまであり、どちらが分担するかあいまいなところがある。17歳で、はじめ内科として治療していたが、途中から、小児科の治療に切り替えて、飛躍的に治療効果が改善した経験をした。小児科と内科の連携を是非してほしい。
*「小児慢性疾患の医療制度」を内科の医師が知らなかった。

 思春期における治療は、小児がんだけでなく、糖尿病も、うつ病も、喘息も、心疾患もどれも同じ問題を抱える。
 思春期科創設するという発想よりも、切れ目ない治療をする体制作りのほうが重要と昨日のディスカッションでは、意見が出て、皆異論はなかった。
 より自分にあった医療を患者が見つけることができるように、医療相談窓口や、セカンドオピニオンの機会を作ることが大事であるとの指摘も。
 政府は、思春期における小児がんをはじめ上記の疾患の治療体制を整えることに関心を抱いているとは考えにくい。このようなシンポジウムやNPO小児がん治療開発サポート(SUCCESS)の活動を通じて、情報発信をしていかねばならない。このようなシンポジウムも、半年に一回程度で開催されていく予定である。(今回は3回目)是非、多くの皆様の参加を待ちたい。

 ディスカッションの終わりで、小児病棟で治療中の子ども達に対するボランティアを20年間行ってきた方の心温まる、発言があった。
 がん治療をうけてはいるものの、病気の子どもの心まで、病気ではない。彼女は、子ども達の心をよんで接した。そして、友達や家族の横のつながりをつくり、あたかも病棟がひとつの街のようになるつなぎ役を果たし、病棟内が、明るい空気が漂うように心がけた。いまでも、暗い感じの小児がんの病棟がある。話を聞いてくれるボランティアを増やし、子ども達の治療を受ける環境をよくして行きたいと抱負を述べられた。


 思春期における子どもの医療体制の整備
 政策として、多いに充実させねばならない!!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 駐車禁止 ~訪問看護の場合~ | トップ | 小児医療をより良い方向へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

小児医療」カテゴリの最新記事