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憲法学 違憲審査権の行使に係る裁判所のありかたの一つの考え方 「穏健な司法積極主義」

2012-07-31 23:00:00 | シチズンシップ教育
 裁判所は、憲法判断を積極的に行使していくべき(司法積極主義)か、立法府の裁量権の逸脱濫用を監視していくところに重きをおき、できるかぎり政治過程にゆだねていくべきか(司法消極主義)。

  違憲審査権の行使に係る、司法消極主義と司法積極主義の根拠。

[司法消極主義の根拠]
1)違憲審査権の積極的行使は、民主主義に反する。多数意思を軽々しく否定すべきではない。
2)違憲審査権の積極的行使は、三権分立に反する。あくまでも、例外的に行使すべき。
3)裁判所は、非民主的機関である。
4)裁判所は、情報収集能力が十分ではない。
5)消極的な立法作用を行うことになりかねない。
6)多数意思を違憲無効とすることは、裁判所を政治的紛争に巻き込むことになるから、それをできるだけ避ける必要がある。

[司法積極主義の根拠]
1)裁判所に与えられた匡正作用としての違憲審査権を行使しなければ、違憲状態は回復しない。
2)違憲審査権を積極的に行使することこそが、三権分立である。
3)裁判所は人権救済機関であり、立憲主義からは違憲審査権の積極的な行使が要請される。



 そこで、違憲審査権の行使に係る裁判所のあり方のひとつの考え方は、「穏健な司法積極主義」である。


穏健な司法積極主義
 司法消極主義を原則としつつ、政治過程では救済されない者(マイノリティーなど)の人権及び人格的生存に係る人権を救済し、政治過程(表現の自由・選挙)そのものが傷ついた場合には、違憲審査権を積極的に行使する。
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