「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

重大問題!ものすごく大きな原則と例外の取り違え。取り調べの可視化制度設計において。

2013-06-19 11:00:16 | 国政レベルでなすべきこと
 権力は、とてもおそろしいものです。

 官民の契約だけでなく民民の契約でさえ、介入して破棄をさせたり、犯罪でさえ、作り出してしまいます(=冤罪)。
 

 
 とくに犯罪を作り出せないようにする制度設計は、刑事司法改革に期待をするところです。

 取り調べの録音・録画という可視化の制度設計において、原則と例外が逆転しています!!

 
<本来あるべき取り調べの可視化>

原則=取り調べの全過程の録音・録画

例外=密室での取り調べ

   ↓

<作られようとする制度>


原則=密室での取り調べ

例外=取り調べの全過程の録音・録画


 これは、ものすごく多きな原則と例外の取り違えです。

 あるべき姿を声を大にして言っていかねばなりません。

 なお、行政はよく使う手法ですが、過半数は、きちんと押さえた作業部会部員構成をして、話を進めていきます。
 ⇒「学者や弁護士らで構成する同部会の十一人のうち、過半数の六人を法務官僚と警察官僚で占める」


 絶対に冤罪を生まないために。



*****東京新聞(2013/06/19)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061902000126.html

【社説】


刑事司法改革 可視化を後退させるな  

2013年6月19日

 取り調べの録音・録画が後退しかねない。法制審議会の特別部会で示された素案は、捜査側に都合がいい内容だ。冤罪(えんざい)防止に役立つ制度を構築すべきだ。


 あらかじめ例外をたくさん設けておけば、どんな事案も例外に当てはめて、制度を空文化させることができる。


 法制審の「新時代の刑事司法制度特別部会」に出された、取り調べの録音・録画(可視化)のたたき台は、まさに“骨抜き案”そのものといえる。

◆例外ばかりが並んでは


 同部会の下部組織である作業部会が提示したのは二つの案だ。まず、一つ目が、可視化は裁判員裁判事件を対象とするが、例外を設ける案だ。


 「容疑者が録音・録画を拒否したとき」「容疑者や親族の身体や財産に害が加えられる恐れがあるとき」…。「その他」の項目にも例外が並んでいる。


 「容疑者や関係者の名誉や利益などが著しく害される恐れがある」「容疑者が著しく不安、緊張、羞恥心を覚える恐れがある」「捜査に著しい支障が生じる恐れがある」…。そんなケースだ。


 不安や羞恥心など、心の内まで忖度(そんたく)するのはおかしい。捜査への支障の場合も、「捜査上の秘密が害される恐れ」で、例外扱いされる案だ。捜査当局が恣意(しい)的に秘密とすれば、録音・録画の網からこぼれ落ちる。例外の羅列は、明らかに可視化の目的に逆行している。


 二つ目の案は、取調官の裁量に委ねて、録音・録画の範囲を決める内容だ。逮捕直後に容疑者の言い分を聞く場面や供述内容を確認する場面だけは義務づけるが、それ以外は捜査側の判断で、録画をストップすることができる。


 この案は、そもそも可視化と呼ぶに値しない。密室の取調室で何が起きたか-プロセスこそが肝心なのに、その再確認も検証もできないからだ


◆「人質司法」の解消も


 要するに素案は二つとも、原則と例外が逆転しているのだ。「原則=取り調べの全過程の録音・録画」なのに、「例外=密室での取り調べ」が幅を利かせているわけだ。基本は「例外なし」の可視化である。

 思い出してほしいのは、この特別部会が設けられたきっかけは、四年前の大阪地検の郵便不正事件だ。厚生労働省局長の村木厚子さんは犯人に仕立て上げられ、起訴された


 裁判で無罪となって潔白が証明されたが、このとき取り調べや供述調書に過度に依存した捜査や公判が問題となった。法相が諮問したのは、これらの見直しと、取り調べを録音・録画する新制度の導入だった。


 作業部会が論外といえる二つの案を提出すること自体が、諮問の意図に背いている。四年前の冤罪をもう忘れたのか。学者や弁護士らで構成する同部会の十一人のうち、過半数の六人を法務官僚と警察官僚で占める。メンバー構成そのものが非常識だ。

 裁判員裁判事件に限定するのも納得できない。裁判員が加わる重大事件は、起訴事件の3%にすぎず、村木さんが巻き込まれた事件は対象外となる。痴漢冤罪なども絶えない現状だ。可視化の対象は、基本的にすべての刑事事件に広げられるべきだと考える。


 村木さんの場合、無実なのに百六十日以上も勾留された。部下だった係長は罪を認めたため、起訴後すぐに保釈された。


 この問題も直視すべきだ。否認すれば、長期にわたり勾留される実態は「人質司法」と呼ばれ、冤罪の温床となる。自由と引き換えに、虚偽の自白を生む可能性が強いからだ。


 そもそも、無罪推定を受けているのだから、起訴後は自分の無実を証明するため、一刻も早く保釈されるのが本来の姿ではないか。


 証拠開示の現状にも問題が多い。過去の冤罪事件では、検察による証拠隠しの事例が明らかになっている。全ての証拠のリストを弁護側に開示する新制度は、もはや不可避といえよう。


 気になるのは、特別部会で捜査側の新たな“武器”がさかんに提案されていることだ。窃盗や詐欺にまで通信傍受を拡大したり、盗聴機を仕掛ける会話傍受。さらに情報提供と引き換えに刑を減免する「司法取引」の導入…。

◆冤罪者を生まぬよう


 まるで可視化を取引材料にして、捜査力を強化させる道具が欲しいと言っているのに等しく、あまりにあざとい。


 村木さんは晴れて、厚労省の事務次官に就く。特別部会は諮問内容に忠実に、まず全面可視化を速やかに実現すべきである。一人たりとも冤罪者を生むことのない制度づくりこそ、「新時代の刑事司法」の名にふさわしい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『この子らを世の光に』糸賀一雄先生の言葉。『この子らに世の光を』あててやろうではなく。

2013-06-18 23:00:00 | 子育て・子育ち
 小児医療系MLで言われていたことです。

 私たちのあるべき方向性を、時代を隔てても、示唆してくださっています。


重症心身障害児・者の学園で琵琶湖学園の創設に生涯を費やした、糸賀一雄先生の言葉。

時代背景は昭和初期とのことです。

ウイキペディア:
糸賀 一雄(いとが かずお、1914年3月29日 - 1968年9月18日)は、日本の社会福祉の実践家である。知的障害のある子どもたちの福祉と教育に一生を捧げた。日本の障害者福祉を切り開いた第一人者として知られ、「社会福祉の父」とも呼ばれる[1]。その思想を自身が語ったものとして書籍『福祉の思想』(NHK出版)がある。


「この子らはどんな重い障害をもっていても、だれと取り替えることもできない個性的な自己実現をしているものである。

人間と生まれて、その人なりに人間となっていくのである。

その自己実現こそが創造であり、生産である。

私たちの願いは、重症な障害をもったこの子たちも立派な生産者であるということを、認め合える社会をつくろうということである。

『この子らに世の光を』あててやろうという哀れみの政策を求めているのではなく、この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよ磨きをかけて輝かそうというのである。

『この子らを世の光に』である。

この子らが、生まれながらにしてもっている人格発達の権利を徹底的に保障せねばならぬということなのである」

(「糸賀一雄著作集Ⅲ」より)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画の著作者、著作権について(著作権法16条、29条1項)

2013-06-17 14:26:00 | シチズンシップ教育
著作権法:

A 映画の著作権=著作権法29条1項のメインの部分のみを抜き出すと:映画の著作物の著作権は、当該映画製作者に帰属する。(監督などの著作者に帰属していません。)
 
1)その場合の要件:その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束

ア、映画の制作者:著作権法2条1項10号:「映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう」。「発意」と「責任」の両方が必要!
 責任:映画制作に関する法律上の権利・義務が帰属する主体であって経済的な収入・支出の主体となる者

イ、参加約束

ゥ、職務著作の不成立
 映画制作者と監督等との間で職務著作が成立する場合→15条が優先(29条括弧書)
 例えば、会社の従業員がその職務として会社PRビデオを撮影・編集し、これが会社名義で公表される場合、会社が著作者。

2)その効果

 映画の著作者の著作権は、著作者(監督等)ではなく、映画制作者に自動的に帰属

 ア、法定帰属(多数説)→まずは、いったん著作者(監督等)に著作権も著作者人格権も帰属するが、著作権だけが直ちに映画制作者に移転。

   原始帰属という説明もあり。

 イ、法定帰属する権利:あくまで「映画の著作物の著作権」
   
   よって、映画の著作物において翻案されている著作物(例:原作、脚本)および映画の著作物において複製されている著作物(例、主題歌)の著作権までも、映画制作者に帰属するのではなく、それぞれの著作者(クラシカルオーサー)のもとに残る。

    ↓

   映画制作者がそれらの著作物を含めた映画フィルム全体を利用するためには、それらの権利を処理する必要がある。


B 映画の著作者=著作権法16条のメインの部分のみを抜き出すと:映画の著作物の著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。

著作者人格権の帰属→「著作者」である監督等に帰属。

著作者である監督等が主張できる権利:
 ○同一性保持権
 ○なお公表権を主張できることは稀→著作権法18条2項3号:第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。




*****著作権法*****
(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

(映画の著作物の著作者)
第十六条  映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。

 第四款 映画の著作物の著作権の帰属

第二十九条  映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2  専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
一  その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
二  その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
3  専ら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属する。
一  その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
二  その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利


*************************

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ついにご本人登場!「いつ接種するか?今でしょ。!」風しん麻しんワクチン

2013-06-17 10:55:57 | 小児医療

 ついに本人登場です。

 いつ接種するか?今でしょ。

 予防接種啓発活動へのご協力、感謝いたします。

 https://twitter.com/narumita/status/346130418145296384/photo/1

narumita 堀 成美 さんから、
ついにご本人登場! 「いつ接種するか? 今でしょ」 15時からのセミナー資料にもいれされせていただいています。 #ストップ風疹




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京都中央区 臨港消防団 ポンプ操法大会開催 優勝第一分団、準優勝第二分団

2013-06-16 23:00:00 | 防災・減災

 6/16は、毎年恒例の臨港消防団 ポンプ操法大会が開催されました。

 仕事の終わった後、きつい練習に耐え、地域の消防団の皆様は大会に参加されます。
 町会、自治会の防災組織の皆さんもまた、参加されます。

 一消防団員として、当日は、標的管理と安全管理の役で、まじかで選手のポンプ操法を見ることができました。
 息使いがまともに伝わってくる場所でした。

 どの分団も、大きなミスなく、競技されました。
 どの分団が、優勝してもおかしくない接戦だったと思います。

 選手の皆様、町会・自治会の皆様、本当にお疲れ様でした。


 第二分団の競技スタートの様子。







消防団結果



町会・自治会の結果


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都議会議員選挙は、とても大切です。裁判でも取り返しがつかぬ結果(事情判決)とならぬようにするために。

2013-06-15 23:00:00 | シチズンシップ教育
 政治が、誤った決断を下してしまった場合、たとえその政策が誤っていたとしても、裁判としても、違法はわかりつつも、救いようがない場合があり、行政事件訴訟法は、その判断を認める条文(行政事件訴訟法31条1項、事情判決)を有しています。


****行政事件訴訟法****
 (特別の事情による請求の棄却)
第三十一条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
2  裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
3  終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
***************

 二風ダム事件、札幌地方裁判所平成9年3月27日判決では、ダム建設は違法であったが、今となっては、その違法により取り消すことはできないと判事しています。


****二風ダム事件、札幌地方裁判所平成9年3月27日判決 抜粋***

五 行政事件訴訟法三一条一項の適用

 本件収用裁決は、右のとおり違法であるから、本来これを取り消さなければならないものである。そして、沙流川流域においては、これまでの洪水により貴重な人命や財産を数多く失っているため洪水調節の必要性があることは十分理解できるが、率直なところ、自然豊かな山間に、堤高三一・五メートル、堤頂長五八〇メートルもの巨大なコンクリート構築物を建設しなければ洪水調節等の治水はできなかったのか、アイヌ民族の自然を損なわず自然と共生するという価値観に倣い、これに沿った方法はなかったのか、といった素朴な疑問ないし感慨を抱かざるを得ない。これらの点のみからすると、本件収用裁決を氷来どおり取り消すことも考えられるところである。

 しかしながら、証拠(甲二五、三八、乙ロ一八)及び弁論の全趣旨によれば、本件ダム本体は既に数百億円の巨費を投じて完成しており、またこれに湛水していることが認められる。仮に本件収用裁決を取り消すとの判決が確定すると、原告らの所有する本件収用対象地を水没させることは許されないから、本件ダムに貯水された水を放流したうえ、今後湛水することができなくなることは明らかである。そうすると、このように巨額を投じて建設された本件ダムは、湛水できないことにより無用の長物と化するばかりでなく、湛水しない本件ダムが沙流川の正常な流水を妨げるであろうことは容易に推認することができるから、かえって洪水等の危険性が増すことになるのである。また、沙流川において洪水調節等の必要性があることは前記認定のとおりであるから、本件ダムを使用することができないことになると、更に洪水調節等を目的とする堤防等を建設する必要が生じ、その建設のためには、本件ダムを建設するのに要した費用以上の費用が必要となる(乙ロ一八)。そして、沙流川流域に居住する住民は、それらが完成するまでの間、せっかく完成した本件ダムを目の当たりにしながら、その恩恵を受けることなく、かえって生命、身体及び財産について、本件ダムが建設される前以上の危険にさらされることになる。更に、湛水しない本件ダムによる危険を除去するためには、本件ダムを撤去することが必要となるが、これに巨額の費用を要するであろうことは推測するに難くない。これらの事実によれば、既に本件ダム本体が完成し湛水している現状においては、本件収用裁決を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生じるといわざるを得ない。

 加えて、ポロモイチャシ跡は本件ダムの建設に伴い消滅し、ペウレプウッカ及びカンカンレレケへのチノミシリは本件ダムの建設工事によりそれぞれ破壊されたことが認められ、本件収用裁決が取り消されたとしても、回復することはできないこと、チャシについて一定限度での保存が図られたり、チプサンケについて代替場所の検討がなされる等、不十分であるものの、アイヌ文化への配慮がなされていること、原告らにおいても今後参加人である国や、北海道及び平取町等の自治体に対し、アイヌ文化の保存伝承等について具体的な施策を求め得ること、そして、これら国等も、今後においては、アイヌ民族の文化等の問題について、十分な配慮をなすであろうことが期待できること、その本件に表われた一切の事情を考慮すると、本件収用裁決を取り消すことは公共の福祉に適合しないと認められる。

 そこで、本件においては、行政事件訴訟法三一条一項を適用することとする。

*****************************


 似たようなことは、都政でも起きようとしています。

 そのことをしっかり認識し、対処できる政治家を私たちは選んでいく必要があります。

 「東京都の行った移転は違法である。本来これを取り消さなければならないものである。しかし、事情判決を適用せざるをえない」などという不幸を生まないためにも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都議選挙始まる。大事な一票の行使を!立候補された皆様の御健闘を心からお祈り申し上げます。

2013-06-14 12:50:06 | 政策・マニフェスト
 いよいよ都議選が始まりました。

 私達都民の代表となるべくひとを是非とも、選んでいきたいものです。

 私が、頭にある候補者選びのポイントは、


 最低条件としては、

 一、法律の知識、理解がきちんとあるひと

  たとえば、日本国憲法を改正するのに2/3ではなく1/2でよいなどという、法律と憲法の違いもわかっていないひとは論外だと思っています。


 一、東京都の重要課題には、きちんと問題意識を有しているひと

  たとえば、築地市場の移転問題は、都政の大きな課題です。このような重要課題には、きちんと意見を述べられるひとが都民の代表であるべきと考えます。


 もう一つ言うのであれば、

 一、強い意志をもっているひと

  正しいことは、正しいと貫いていく力が政治家には必要だと思います。
  空気を読んで、なびくようではいけません。



 いずれにしろ、大切な一票を行使していきましょう。

 立候補された皆様の御健闘を心からお祈り申し上げます。


*****毎日新聞(2013/06/14)******
http://mainichi.jp/select/news/20130614k0000e010189000c.html
都議選:アベノミクスも焦点

毎日新聞 2013年06月14日 11時19分(最終更新 06月14日 12時49分)


 任期満了に伴う東京都議会議員選挙(定数127)が14日、告示された。

 7月4日公示、同21日投開票が固まっている参院選を控え、与野党は都議選を「最大の前哨戦」と位置づけ、党首級を投入して総力戦で臨む。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」を含めた政権運営への評価も問われる。

 安倍首相は14日午前、首相官邸で記者団に「(野党が多数を占める)参院のねじれを解消するためにも(参院選の)前哨戦となる都議選を準国政選挙として臨む」と強調した。

 今回は、12年ぶりに参院選と都議選が重なり、各党とも都議選結果が参院選に直結するとみる。自民党は民主党など野党に圧勝して流れをつかみたい考えだ。首相は主要8カ国首脳会議(G8サミット)の準備などのため、14日午前は街頭には立たなかったが、告示前の遊説は積極的にこなしており、告示後も遊説する。

 民主党は踏みとどまれば、参院選での反転攻勢のきっかけにできるとみて全力を挙げる。海江田万里代表は14日午前、東京都羽村市の街頭演説で「都議選は参院選と一体の選挙だ。一議席でも多く獲得したい」と訴えた。【竹島一登】

*****読売新聞(2013/06/14)******
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/national/20130614-OYT1T00527.htm
都議選・告示前に168件を警告…警視庁

 今回の都議選で、警視庁は告示前の13日までに168件を警告したと、14日発表した。



 前回(2009年)都議選の同時期と比べて189件減った。内訳は文書掲示違反が165件、文書頒布違反が3件。

(2013年6月14日11時41分 読売新聞)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネットでの匿名発言のマナーと職業倫理感

2013-06-13 10:55:25 | メディア・リテラシー

 職業倫理や個人の道徳の問題。

 ネット上では、匿名でひとを中傷することはたやすくできてしまいます。
 本来であれば、きちんとわきまえて、発言をしなければなりません。

 ただ、行政内部のかたが、匿名で、行政内の事情を発言下さることは、ひとつの参考にはなります。
 匿名であるから、そのかたが本当に行政内部のひとかの本当の証明はないわけであるが、発言内容から、真実性を判断して、情報を取捨選択するようにしています。
 水野氏の発言の二つ目「今日は懸案がひとつ解決・・・・」は、これこそ、正してかねばならない行政の問題点をある意味問題提起してくれています。

*****毎日新聞(2013/06/13)****
復興庁:幹部ツイッター暴言 「左翼クソ」「懸案曖昧に」

毎日新聞 2013年06月13日 07時00分(最終更新 06月13日 08時22分)


 復興庁で福島県の被災者支援を担当する幹部職員が個人のツイッター上で「国家公務員」を名乗り、課題の先送りにより「懸案が一つ解決」と言ったり、職務上関係する国会議員や市民団体を中傷したりするツイートを繰り返していたことが分かった。政府の復興への取り組み姿勢を疑われかねないとして、同庁はこの職員から事情を聴いており、近く処分する方針。

 この職員は総務省キャリアの水野靖久・復興庁参事官(45)。千葉県船橋市の副市長を経て昨年8月同庁に出向し、東京電力福島第1原発事故で約15万人が避難する福島県の支援を担当。超党派の議員立法で昨年6月に成立した「子ども・被災者生活支援法」に基づき、具体的な支援策を定める基本方針のとりまとめに当たっている。

 水野氏は今年3月7日、衆院議員会館で市民団体が開いた集会で、同庁側の責任者としてとりまとめ状況を説明。同日「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」とツイートした。翌8日には「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」と、課題の先送りを歓迎するかのような内容をツイートしていた。

 ツイートは水野氏が現職に就いて以降、分かっただけで計約600回に上る。以前は本名でツイートしていたが、昨年10月からは匿名に切り替えた。

 実際に同法を巡っては、支援の対象とする地域の放射線量の基準が決まらないことから、成立からほぼ1年がたっても基本方針がまとまっていない。根本匠復興相は3月15日、基本方針と別に同法の趣旨を踏まえた支援策「被災者支援施策パッケージ」を発表したが、成立に関わった国会議員や期待していた市民団体は、内容が当初の想定から後退しているとして「骨抜きだ」と批判していた。

 水野氏はこれらの国会議員や閣僚に対しても文脈から相手がほぼ特定できる形で「ドラえもん似」「虚言癖」などと中傷していた。

 水野氏はツイートの真意をただした毎日新聞の取材に「個人でやっている」「記憶にない」とだけ繰り返し、コメントを拒否。その直後、ツイッターのアカウントを削除した。復興庁は重大な事案だとして事実を確認中で、「結果などを踏まえて適切に対処したい」としている。【日野行介、袴田貴行】



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コンサータ錠処方のための登録医制度

2013-06-12 23:00:00 | 小児医療

 かかりつけの患者さんからお問い合わせがありました。

 コンサータ錠処方には、以下登録基準を満たしたうえで、登録をする必要があります。

 日本小児科学会認定の小児科専門医でありますので、当院も登録を申請いたします。



***********
http://www.ad-hd.jp/pdf/regstandard_doc.pdf

【医師の登録基準】
以下の(1)、(2)、(3)を全て満たし、コンサータ錠適正流通管理委員会の承認を得た医師

(1)次のA又はBに該当する医師
A.日本精神神経学会認定の精神科専門医(※1)又は日本小児科学会認定の小児科専門医

B.A以外で注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断・治療に精通している医師であり、
その時点でAに該当する複数の登録医師がBに該当する医師として推薦し、コンサ
ータ錠適正流通管理委員会の承認を得た医師に限る

(2)申請に際し、コンサータ錠登録医師リストへの掲載を了承し、登録医師として公表(※2)
されることを承諾し、コンサータ錠適正流通管理委員会に以下の事項を誓約した医師
・コンサータ錠を適正に使用すること
・コンサータ錠適正流通管理委員会が求めた場合、診療記録を含め、コンサータ錠の処
方に関する情報提供を行うこと

(3)コンサータ錠適正流通管理委員会が承認する関連学会主催の講習会等において、コンサ
ータ錠の適正使用および薬物依存に関する研修プログラムを履修し、その内容を理解し
た旨の署名を行った医師

(※1)専門医制度発足前までは日本精神神経学会の学会員で別途定める基準を満たす医
師とし、専門医制度発足後は同学会認定の精神科専門医とする。

(※2)原則として、コンサータ錠適正流通管理委員会、医師、薬局・調剤責任者、関連
する行政機関、ヤンセンファーマ及び特約店等を通じて患者へ公表する。但し、
流通異常が発生したとコンサータ錠適正流通管理委員会が判断した場合は、その
公表の範囲及び手段については、同委員会の決定に委ねられるものとする。

【医療機関の登録基準】
(1) 登録医師は、診断・治療を行う医療機関を、予めコンサータ錠適正流通管理委員会に
申請し、登録しなければならない。

(2) 登録医師が複数の医療機関で診断・治療を行う場合は、その全ての医療機関を、予め
コンサータ錠適正流通管理委員会に申請し、登録しなければならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

懲戒処分の有効性の検証方法

2013-06-11 10:02:41 | シチズンシップ教育

労働法:


1懲戒処分の重要性

 従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰であることが明確な労働関係上の不利益措置。

 使用者には企業秩序・利益維持のために不可欠ということであろうが、労働者にとっては労働関係上の重大な不利益制度になるので、紛争になり、双方の利益調整が重要になる。




2具体的な懲戒処分の有効性の検証(限定列挙説による。)

 Ⅰ~Ⅲの三つのステップで検証

 Ⅰ当該処分が就業規則上の十分な根拠を有していたか否かの枠組みにおいて
  1)就業規則上の懲戒事由にあたるか
  2)当該処分の内容も就業規則に則っているか

 Ⅱ就業規則の合理的解釈


 Ⅲ懲戒権濫用法理




3検証の実例 

目黒電報電話局事件(最高裁昭和52年12月13日)


*************************
<事実関係:判決文該当箇所抜粋>

 第一 本件の経過
 一 原審が確定したところによれば、本件の事実関係は、おおむね次のとおりで
ある。
 (一) 被上告人は、日本電信電話公社(以下「公社」という。)目黒電報電話局
(以下「目黒局」という。)施設部試験課に勤務する公社職員であるが、昭和四二
年六月一六日から同月二二日まで継続して、目黒局において、作業衣左胸に、青地
に白字で「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプラスチツク製の
プレート(以下「本件プレート」という。)を着用して勤務した。被上告人が本件
プレートを着用した動機は、ベトナム戦争に反対することが日本の平和につながる
という気持をもち、立川基地がベトナム戦争の遂行に利用されていると考え、本件
プレートに記載されたスローガンに共鳴同調し、その気持を職場の同僚に理解して
もらいたいということにあつた。

 (二) その間、目黒局の局長及び次長は、同年六月一六日午前九時ころ、被上告
人に対し、「局所内でそのようなものをつけては困る。局所内で右のような主義、
主張をもつた札、ビラその他を胸につけることは許可しない方針なので直ちに取り
はずしてもらいたい。」旨注意を与えたが、被上告人はこれに従わず、更に、同日
正午前ころ試験課長が、翌一七日午後二時前ころ試験課長、施設部長が、同月二二
- 1 -
日正午ころ試験課長が、同日午後三時過ぎころ次長、施設部長が、それぞれプレー
トを取りはずすように注意を与えたが、被上告人はこれに従わなかつた。

 (三) 被上告人は、本件プレートの取りはずし命令は不当であると考え、これに
抗議する目的で、同月二三日休憩時間中である正午から零時一〇分ころまでの間に、
局所管理責任者である庶務課長の許可を受けることなく、「職場のみなさんへの訴
え」と題し、六月一六日局長室でプレート着用について注意を受けた状況及び管理
者側の態度が職場の組合活動や労働者の政治的自覚を高める活動を抑えて公社の合
理化計画をよりスムーズに進行させるための地ならしであるとの抗議の意見を記載
し、職場の要求をワツペン、プレートにして皆の胸につけることを呼びかけた内容
のビラ数十枚を、試験課、線路課など各課の休憩室及び食堂で職員に手渡し、休憩
室のない一部の職場では職員の机上に置くという方法で、配布した。

 (四) 公社は、同月二四日、被上告人に対し、被上告人の前記(一)のプレート着
用行為は、日本電信電話公社就業規則(以下「公社就業規則」という。)五条七項
(「職員は、局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。」)
に違反し、同五九条一八号所定の懲戒事由(「第五条の規定に違反したとき」)に
該当する、(二)の行為は、同条三号所定の懲戒事由(「上長の命令に服さないとき」)
に該当する、(三)のビラ配布行為は、同五条六項(「職員は、局所内において、演
説、集会、貼紙、掲示、ビラの配布その他これに類する行為をしようとするときは、
事前に別に定めるその局所の管理責任者の許可を受けなければならない。」)に違
反し、同五九条一八号所定の懲戒事由に該当するとして、日本電信電話公社法(以
下「公社法」という。)三三条一項により懲戒戒告処分に付する旨の意思表示(以
下「本件処分」という。)をした。

**************************

 プレートを着用して勤務した行為の部分のみ抜粋して、どのように判事しているかみていきます。


Ⅰ当該処分が就業規則上の十分な根拠を有していたか否かの枠組みにおいて
  1)就業規則上の懲戒事由にあたるか
  2)当該処分の内容も就業規則に則っているか

→同判決文該当箇所抜粋

*************************************
 二 そこで、右の見地に立つて、被上告人の前記第一の一の(一)のプレート着用
行為について検討する。

 被上告人が着用した本件プレートに記載された文言は、それ自体、アメリカ合衆
国が行つているベトナム戦争に反対し、右戦争の遂行の拠点としての役割を果たす
米軍立川基地の拡張の阻止を訴えようとしたものであるが、ベトナム戦争がアメリ
カ合衆国の政策として行われ、わが国が、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互
協力及び安全保障条約」、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保
障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関す
る協定」に基づき、合衆国軍隊に立川基地を提供してその使用にゆだね、これを通
じてアメリカ合衆国の前記政策に協力する政治的な立場をとつていた事実に照らせ
ば、本件プレートの文言は、右のようなわが国の政治的な立場に反対するものとし
て社会通念上政治的な意味をもつものであつたことを否定することができない。前
記第一の一の(一)の事実によれば、被上告人は右文言を記載したプレートを着用し
てこれを職場の同僚に訴えかけたものというべきであるから、それは社会通念上政
- 6 -
治的な活動にあたり、しかもそれが目黒局の局所内で行われたものである以上、公
社就業規則五条七項に違反することは、明らかである。もつとも、公社就業規則五
条七項の規定は、前記のように局所内の秩序風紀の維持を目的としたものであるこ
とにかんがみ、形式的に右規定に違反するようにみえる場合であつても、実質的に
局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときには、右規定の
違反になるとはいえないと解するのが、相当である。ところで、公社法三四条二項
は「職員は、全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない」旨を規定し
ているのであるが、これは職員がその勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその
職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないことを意味するものであ
り、右規定の違反が成立するためには現実に職務の遂行が阻害されるなど実害の発
生を必ずしも要件とするものではないと解すべきである。本件についてこれをみれ
ば、被上告人の勤務時間中における本件プレート着用行為は、前記のように職場の
同僚に対する訴えかけという性質をもち、それ自体、公社職員としての職務の遂行
に直接関係のない行動を勤務時間中に行つたものであつて、身体活動の面だけから
みれば作業の遂行に特段の支障が生じなかつたとしても、精神的活動の面からみれ
ば注意力のすべてが職務の遂行に向けられなかつたものと解されるから、職務上の
注意力のすべてを職務遂行のために用い職務にのみ従事すべき義務に違反し、職務
に専念すべき局所内の規律秩序を乱すものであつたといわなければならない。同時
にまた、勤務時間中に本件プレートを着用し同僚に訴えかけるという被上告人の行
動は、他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、
よつて他の職員がその注意力を職務に集中することを妨げるおそれのあるものであ
るから、この面からも局所内の秩序維持に反するものであつたというべきである。
 すなわち、被上告人の本件プレート着用行為は、実質的にみても、局所内の秩序
を乱すものであり、公社就業規則五条七項に違反し五九条一八号所定の懲戒事由に
- 7 -
該当する。
*************************************

 

Ⅱ就業規則の合理的解釈

→同判決文該当箇所抜粋(判決文では、こちらが先に述べられています。)

*************************************
 一 まず、公社就業規則における政治活動禁止の意義について検討する。
- 3 -
 上告人公社は、公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営体制を確立し、公衆
電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保す
ることにより公共の福祉を増進することを目的として設立された法人であつて、そ
の設立に伴い、従来電気通信省の職員であつた者は、電気通信大臣が指名する者を
除き、公社の職員となり、国家公務員法(以下「国公法」という。)及び人事院規
則によつて規律されていたその服務関係は、公社法、公共企業体等労働関係法及び
公社の制定する就業規則等により規律されることとなつた。ところで、一般職国家公
務員については、その政治的中立性を維持し、行政の中立的運営とこれに対する国
民の信頼を確保する目的から、国公法一〇二条、人事院規則一四―七により政治的
行為の制限が定められ、その違反に対しては同法一一〇条一九号により刑罰が科せ
られることとされている。しかしながら、公社職員については、法律自体に職員の
政治的行為を禁止する規定は設けられず、専ら公社就業規則において、「職員は、
局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。」(制定当初は五
条八項に定められていたが、数次の改正により本件当時は五条七項に規定されてい
た。)と定められているにとどまり、国公法と異なつて、局所内における政治活動
だけが禁止され、しかも刑罰の裏づけを伴つていない。そうして、公社は、公衆電
気通信事業という、一般公衆が直接利用関係に立ち国民生活に直接重大な影響をも
つ社会性及び公益性の極めて強い事業を経営する企業体であるから、公社とその職
員との労働関係が一般私企業と若干異なる規制を受けることは否定することができ
ないが、公社はその設立目的に照らしても企業性を強く要請されており、公社と職
員との関係は、基本的には一般私企業における使用者と従業員との関係とその本質
を異にするものではなく、私法上のものであると解される。更に、一般に就業規則
は使用者が企業経営の必要上従業員の労働条件を明らかにし職場の規律を確立する
ことを目的として制定するものであつて、公社就業規則も同様の目的で公社が制定
- 4 -
したものであるが、特に公社就業規則五条はその体裁、文言から局所内の秩序風紀
の維持を目的とした規定であると解しうるところからみると、公社就業規則五条七
項が局所内における政治活動を禁止した趣旨は、一般職国家公務員に関する国公法
一〇二条、人事院規則一四―七における政治的行為の制限の趣旨と異なり、一般私
企業において就業規則により事業所(職場)内における政治活動を禁止しているの
と同様、企業秩序の維持を主眼としたものであると解するのが、相当である。すな
わち、一般私企業においては、元来、職場は業務遂行のための場であつて政治活動
その他従業員の私的活動のための場所ではないから、従業員は職場内において当然
には政治活動をする権利を有するというわけのものでないばかりでなく、職場内に
おける従業員の政治活動は、従業員相互間の政治的対立ないし抗争を生じさせるお
それがあり、また、それが使用者の管理する企業施設を利用して行われるものであ
る以上その管理を妨げるおそれがあり、しかも、それを就業時間中に行う従業員が
ある場合にはその労務提供業務に違反するにとどまらず他の従業員の業務遂行をも
妨げるおそれがあり、また、就業時間外であつても休憩時間中に行われる場合には
他の従業員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後における作業能率を低下
させるおそれのあることがあるなど、企業秩序の維持に支障をきたすおそれが強い
ものといわなければならない。したがつて、一般私企業の使用者が、企業秩序維持
の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは、合理的な
定めとして許されるべきであり、特に、合理的かつ能率的な経営を要請される公社
においては、同様の見地から、就業規則において右のような規定を設けることは当
然許されることであつて、公社就業規則五条七項の規定も、本質的には、右のよう
な趣旨のもとに定められていると解され、右規定にいう「政治活動」の意義も、一
般私企業における就業規則が禁止の対象としている政治活動、すなわち、社会通念
上政治的と認められる活動をいうものと解するのが、相当である。もつとも、公社
- 5 -
就業規則の立案関係者の見解によれば政治活動の意義は人事院規則一四―七に規定
する政治的目的をもつ政治的行為と解されていたこと及び本件第一審において上告
人は右立案者の見解と同様の主張をしていたことは、原審の確定した事実及び本訴
の経過に徴して明らかなところである。しかしながら、就業規則の解釈にあたり、
制定当時の立案関係者の見解が重要な資料となることは否定することができないと
しても、これを絶対視すべきものではなく、また、右のような就業規則の解釈に関
する訴訟上の主張を改めることは何ら差し支えのないところであるから(上告人が
すでに原審において主張を改めていることは、記録上明らかである。)、右のよう
な事情の存在は、公社就業規則五条七項にいう「政治活動」の意義について前記解
釈をとることについて何ら妨げとなるものではない。
*************************************


Ⅲ懲戒権濫用法理

→同判決文該当箇所抜粋

*************************************

 (5) なお、被上告人は、本件処分は懲戒権の濫用であつて無効であると主張す
るが、公共企業体においても、懲戒事由に該当する事実があると認められる場合に
懲戒権者がいかなる処分を選択すべきかについては裁量が認められ、当該行為との
対比において甚しく均衡を失する等社会通念に照らし合理性を欠くものでないかぎ
り、懲戒権者の裁量の範囲内にあるものとしてその効力を否定することはできない
のである(最高裁昭和四五年(オ)第一一九六号同四九年二月二八日第一小法廷判
決・民集二八巻一号六六頁参照)。本件についてこれをみると、懲戒事由にあたる
被上告人の前記第一の一の(一)ないし(三)の行為は、プレートの着用あるいはビラ
配りだけの単独の行為ではなく、違法なプレート着用行為を行い、その取りはずし
を命じた上司の命令に従わず、更に、右取りはずし命令に抗議し違法なプレート着
用、政治活動等をあおり、そそのかすようなビラ配りをしたという一連の行動であ
るところ、これらの行為に対して選択された懲戒処分は最も軽い戒告であつて、こ
れを甚しく均衡を失するものということはできず、また、他に社会通念に照らし合
理性を欠く事情も認められないのであるから、本件処分をもつて裁量権の濫用と断
ずることはできないものといわなければならない。

*************************************




4懲戒処分の指針の例 人事院

http://www.jinji.go.jp/kisya/0804/choukai-sisin20sanko1.pdf

平成20年4月1日一部改正後
職職- 6 8
平成12年3月31日

各省各庁事務次官殿
各外局の長殿

人事院事務総長

懲戒処分の指針について(通知)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一小児科医師として賛同します。子どもの死因検証を=6/7小児科医ら法整備要望。

2013-06-11 09:25:32 | 国政レベルでなすべきこと
 以下、情報にありますが、子どもの死因検証は、とても大事です。

 不幸な例であるもののひとりひとりにきちんと検証をすべきと考えます。

 国の体制整備を強く求めます。


****時事通信****
公開日:2013/06/11 [医療一般] | ng035174 | 提供元:時事通信

子どもの死因検証を=小児科医ら法整備要望

 児童虐待防止に取り組むNPOの代表や小児科医らが7日、内閣府と国家公安委員会を訪れ、省庁間で連携して子どもの死因を検証し、予防策につなげるよう法整備を訴えた。今後、厚生労働省や総務省、法務省にも要望する方針。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

公判中の起訴事実はあるとしても、刑が確定していない以上、履歴書「賞罰なし」の記載は許される。

2013-06-11 07:14:09 | シチズンシップ教育
 起訴されると、その刑があたかもあるかのように考えられてしまいます。

 刑事訴訟学を学ぶ中で、えん罪の事実や、警察が法廷で虚偽の証言をした事実を知りました。
 

 そのことがえん罪である可能性も考えると、刑が確定されるまでは、少なくとも、その起訴事実を真実と考えてはならないのではないかと思います。

 公判中の起訴事実はあるとしても、刑が確定していない以上、履歴書賞罰欄への「賞罰なし」の記載は許される。
 以下、裁判例&判例です。

<事実>
Xは、凶器準備集合罪等でそれぞれ起訴されていた。Y社の採用面接に先立って、Xは履歴書を提出したが、賞罰なしと記載した。採用面接の際に、「賞罰がないね」と聞かれたときも、そのとおりである旨答えた。

当時、上記2件の刑事事件は、公判継続中であり、Xは保釈中であった。(その後、執行猶予付きの有罪判決が出され、いずれも確定。)

Y社は、あらためてXの経歴を調査したところ、入社後2回にわたり懲役刑に処せられたことなどが判明。

Y社は、採用時における2件の刑事事件の公判継続中であることの秘匿が同社就業規則38条所定の懲戒解雇事由に該当するとして、Xに対して懲戒解雇を行った。

Xは、雇用契約上の地位の確認等を求めて提訴。


<裁判所の判断>
東京高等裁判所:平成3年2月20日
(最高裁:平成3年9月19日もその判断を是認)


履歴書の賞罰欄にいわゆる罰とは、一般的には確定した有罪判決をいうものと解すべきであり、......XがY社の採用面接に際し、賞罰がないと答えたことは事実に反するものではなく、Xが、採用面接にあたり、公判継続の事実について具体的に質問を受けたこともないのであるから、Xが自ら公判継続の事実について積極的に申告すべき義務があったということも相当とはいえない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

著作権法でいう「著作者」とは、誰か?資金やアイデア提供ではなく実際創作した人、ゴーストライターも。

2013-06-10 17:06:07 | シチズンシップ教育

著作権法:

Ⅰ著作者の認定(2条1項2号)

1著作者とは

 著作権法2条1項2号で、事実行為としての創作行為を行ったものが著作者であるとされています。

 同条1項2号
 二  著作者 著作物を創作する者をいう。

 この著作者に、著作者の権利が帰属します。

2どうやって判断するか。

 ある著作物の創作過程において、その者が行った行為を客観的に観察し、それが事実行為としての創作行為と評価できるかどうかを検証する。

 事実行為としての創作行為、創作的表現の作成といえるかどうか。

 創作行為と評価できないもの
1)表現とはいえない行為
 →単なる創作の依頼、アイデアの提供、抽象的な指示を行ったに過ぎない者

2)創作性のない行為
 →資料の提供、キーボードの入力作業、資金面での援助など、物理的な協力を行ったに過ぎない者


3事実認定

 事実認定を行うために、裁判例において考慮される点
 →創作行為を行ったと主張する者の技能や経験、語学能力、職業、作成経緯、創作の動機、著作者としての一貫した行動、許諾契約の存在、過去における権利主張の有無など


4著作者の地位

 ある人の名義で出版されている本が、実はゴーストライターによって作成されたものであったという場合、著作者はあくまで当該ゴーストライター


Ⅱ共同著作(2条1項12号):複数の者が共同して創作に当たる場合

1共同著作の要件

 定義:2条1項12号
 共同著作物 二人以上の者共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

 3つの要件が書かれています。
 1)二入以上の者の創作的関与、2)共同性、3)分離利用不可能性

 1)二人以上の者の創作的関与:Ⅰの著作者の認定に関する一般原則と一致

 2)共同性:複数の者の創作行為に共同性
  →典型例 二人で同時に1枚の絵を描いた場合

   問題となる例
   遺著補訂型:死亡した師匠の教科書を弟子が改定したという場合→判断は、あくまで客観的にみて「創作」という行為が「共同」して行われたと評価できるかどうかという点に帰着。

 3)分離利用不可能性:その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの。

   cf結合著作物:一人が作曲、もう一人が作詞。それぞれは分離して個別的に利用することができる。共同著作物ではない。

2共同著作物の効果

 1)共同著作物の著作者人格権・著作権の行使
 
 〇共同著作物の著作者人格権は、原則として著作者全員の合意によらなければ行使することができない(64条1項)

 〇著作権は、共同著作者間の共有
  →原則として、他の共有者の同意をえなければその持ち分を譲渡できない(65条1項)
         共有者全員の合意によらなければ行使できない(同条2項)

 〇差止請求、損害賠償請求等は単独で行うことができる(117条)


 2)共同著作物の保護期間

 共同著作者のうち最終に死亡した著作者の死後50年の経過により満了(51条2項)


Ⅲ映画の著作物の著作者(16条)

1 16条

(映画の著作物の著作者)
第十六条  映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。


2映画の著作物の著作者の認定方法

1)モダンオーサー(映画の著作物それ自体の著作者)のみ

クラシカルオーサー(映画の著作物に用いられた原作小説や脚本、音楽などの著作者、本案された)は含まれない。

2)全体的形成寄与者(一貫したイメージを持って映画製作の全体に参加している者)のみ


Ⅳ著作者の推定(14条)

1 14条

(著作者の推定)
第十四条  著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。

 変名:ペンネームのこと

2推定の覆滅

 推定規定であるので、事実によって反証されれば覆滅


以上 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刑事訴訟法学まとめ 冤罪を絶対に起こさぬためにとれること

2013-06-09 23:00:00 | ブログ目次 / イベント情報・会議日程

刑事訴訟法学

 学ぶ中でのまとめを書きます。

 冤罪を起こさぬためにとれることはなにかという問題意識で、書いています。

 今後も、追加をしていきます。



9)裁判員になりうる私達が頭に入れるべき知識:「刑事裁判の流れ」刑事訴訟法291~3の三条文
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/926cd6da79b8ef71c4d4e8f98ea46010

8)1審訴因:Aと共謀の上被告人が殺害⇒判決:共謀の上A又は被告人あるいはその両名が殺害⇒訴因変更の要否
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/fc9ee81c872da20e272682bafe664c5e

7)証拠間の矛盾をつく、検察に証拠不開示と言われても裁判所に開示命令を求める:冤罪を絶対に生まないために
http://blog.goo.ne.jp/admin/completedentry?from=new&eid=2892ca40b079ba86d7b4f5a2425285da


6)裁判員裁判に関わられたかたのストレス障害。裁判員制度に臨床心理士がどのようにかかわるか。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/531e658e5793ade2b4824567c0056a05

5)保釈請求書の起案。冤罪を絶対に生まないために。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/0590da1822f74447af1f924a21cb3a0d



4)逮捕から勾留における弁護活動:冤罪を絶対に生まないために。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/194cd5c88982580e92ed5efe42b0ecb2

3)供述調書の重要性
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/a603ab0079073e761a2d3914e163a605

2)犯罪とみなされた現場で注意すべきこととは。絶対に冤罪を生まないために。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/25648c6a606ed2ac6af5ef56965c7ee3


1)刑事訴訟法:任意捜査において有形力の行使は、どこまで許されるか?
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/6cbcc1a0f7872ab770340b589a3ffe33

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

課外活動中の生徒間のトラブル、予見可能性があるなら、顧問教諭の安全確保義務違反。

2013-06-08 23:00:00 | 教育
 課外活動における監督側の責任について。

 一例として、以下にまとめられます。
行政法判例bot ‏@gyosei_hanrei
課外のクラブの監督も公権力の行使にあたるが、クラブ活動中の事故については、その発生が予見可能であった等という特段の事情がない限りは、顧問教諭の安全確保義務はない(S58.2.18 国賠:部活動顧問の責任)

 自分は、受け取り方の問題だけではありますが、「課外活動中の生徒間のトラブル、予見可能性があるなら、顧問教諭の安全確保義務違反。」という教訓にしたほうがよいと感じます。なんでも先生に押し付ける、押し付けないの以前の問題として。

 「紛争を暴力に訴えることなく、如何に自分たちで解決するか」を、いかに中学生に教えるか。
 教育の力が試される課題です。

 実際の判例を見てみます。


 事実関係:中学生のクラブ活動中における同級生による暴力で目に傷害(外傷性網膜全剥離)を負った。クラブ活動顧問の過失責任について。

 (1) 被上告人及び訴外Dは、昭和五一年四月A町立E中学校に入学し、本件事
故当時同校二年生として在籍していた。

 (2) 昭和五二年一〇月五日、E中学校においては、運動会の予行演習を翌日に
控え、同日午後から運動会練習の日課が実施されたが、同日午後四時五〇分頃生徒
は解散となつた。その後、被上告人は、友人ら一〇名位と共に体育館に行つたとこ
ろ、体育館内においては、いずれも課外のクラブ活動であるバレーボール部とバス
ケツトボール部とが両側に分かれて練習していた。

 (3) ところで、平常は、バレーボール部顧問の教諭が同部の部活動を指導、監
督していたが、当日は、右教諭は運動場において運動会予行演習の会場の設営、用
具類の確認等をしていて体育館にはおらず、また、他の教諭も体育館には居合わせ
なかつたところ、被上告人らはトランポリンを体育館内の倉庫から無断で持ち出し、
これをバレーコートとバスケツトコートのほぼ中間の壁側に設置してしばらくこれ
で遊んでいた。

 (4) 同日午後五時過ぎ頃、Dが被上告人に対し、バレーボールの練習の邪魔に
なるからトランポリン遊びを中止するように注意したところ、被上告人がこれに反
発したためDが被上告人を体育館内の倉庫に連れ込み、手拳で被上告人の左顔面を
二、三回殴打し、そのため被上告人は左眼がチラチラして涙が止まらなかつた。

 (5) 被上告人は、前記暴行を受けてから約一週間後に左眼の視野の一部が黒く
かすみ、徐々にこれが広がり、一か月近くで全く視力を失つた。そして、被上告人
は、昭和五二年一一月一一日沖縄県立F病院において外傷性網膜全剥離と診断され
た。

 (6) 被上告人が失明した当時、前記暴行を受けたほかに外傷性網膜剥離を惹起
するような事故に遭遇した事実はない。


 最高裁の考え方:

本件事故は、体育館の使用をめぐる生徒間の紛争に起因するものであ
るところ、本件事故につきバレーボール部顧問の教諭が代わりの監督者を配置せず
に体育館を不在にしていたことが同数諭の過失であるとするためには、本件のトラ
ンポリンの使用をめぐる喧嘩が同教諭にとつて予見可能であつたことを必要とする
ものというべきであり、もしこれが予見可能でなかつたとすれば、本件事故の過失
責任を問うことはできないといわなければならない


右予見可能性を肯定するためには、

1)従来からのE中学校における課外クラブ活動中の体育館の使用方法とその範囲、

2)トランポリンの管理等につき生徒に対して実施されていた指導の内容

並びに

3)体育館の使用方法等についての過去における生徒間の対立、紛争の有無

及び

4)生徒間において右対立、紛争の生じた場合に暴力に訴えることがないように教育、指導がされていたか杏か

等を更に綜合検討して判断しなければならないものというべきである。


→本件事故の過失責任について、更に審理を尽くさせる必要があるから、右破棄部分につき本件を原審に差し戻すのが相当である。


参照:国家賠償法一条一項
第一条  
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる
○2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

*****最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122056948011.pdf

 主    文
     原判決中上告人の敗訴部分を破棄する。
     前項の部分につき本件を福岡高等裁判所那覇支部に差し戻す。
         理    由
 一 上告代理人中村光彦の上告理由第一、第二について

 1 原審が確定した事実関係は、次のとおりである。
 (1) 被上告人及び訴外Dは、昭和五一年四月A町立E中学校に入学し、本件事
故当時同校二年生として在籍していた。
 (2) 昭和五二年一〇月五日、E中学校においては、運動会の予行演習を翌日に
控え、同日午後から運動会練習の日課が実施されたが、同日午後四時五〇分頃生徒
は解散となつた。その後、被上告人は、友人ら一〇名位と共に体育館に行つたとこ
ろ、体育館内においては、いずれも課外のクラブ活動であるバレーボール部とバス
ケツトボール部とが両側に分かれて練習していた。
 (3) ところで、平常は、バレーボール部顧問の教諭が同部の部活動を指導、監
督していたが、当日は、右教諭は運動場において運動会予行演習の会場の設営、用
具類の確認等をしていて体育館にはおらず、また、他の教諭も体育館には居合わせ
なかつたところ、被上告人らはトランポリンを体育館内の倉庫から無断で持ち出し、
これをバレーコートとバスケツトコートのほぼ中間の壁側に設置してしばらくこれ
で遊んでいた。
 (4) 同日午後五時過ぎ頃、Dが被上告人に対し、バレーボールの練習の邪魔に
なるからトランポリン遊びを中止するように注意したところ、被上告人がこれに反
発したためDが被上告人を体育館内の倉庫に連れ込み、手拳で被上告人の左顔面を
二、三回殴打し、そのため被上告人は左眼がチラチラして涙が止まらなかつた。
 (5) 被上告人は、前記暴行を受けてから約一週間後に左眼の視野の一部が黒く
- 1 -
かすみ、徐々にこれが広がり、一か月近くで全く視力を失つた。そして、被上告人
は、昭和五二年一一月一一日沖縄県立F病院において外傷性網膜全剥離と診断され
た。
 (6) 被上告人が失明した当時、前記暴行を受けたほかに外傷性網膜剥離を惹起
するような事故に遭遇した事実はない。

 2 1に記載した事実関係のもとにおいて、原審は、次のとおり判示して、上告
人は、国家賠償法一条一項に基づき、本件事故による被上告人の損害を賠償すべき
責任があるとした。
 (1) 本件事故当時バレーボール部とバスケツトボール部が体育館を共同で使用
し、また、右各部員以外の生徒も体育館を使用していたのであるから、体育館の使
用方法あるいは使用範囲等について生徒間において対立、紛争が起ることが予測さ
れた。そのほか生徒の練習方法が危険であつたり、練習の度を過ごすことも予測さ
れた。

 (2) したがつて、バレーボール部顧問の教諭には、体育館内においてバレーボ
ール部が部活動をしている時間中は生徒の安全管理のため体育館内にあつて生徒を
指導、監督すべき義務があり、当該教諭に支障があれば他の教諭に依頼する等して
代わりの監督者を配置する義務があつたというべきところ、バレーボール部顧問の
教諭はこれを尽くしていなかつたから、右の点について過失があつたといわざるを
えない。


 (3) そして、本件事故は体育館内で発生したものであるところ、バレーボール
部顧問の教諭が体育館内でバレーボール部の部活動を指導、監督していれば、トラ
ンポリン遊びは当然制止され、本件事故は未然に防止できたものと推測されるから、
本件事故の発生と同教諭の前記過失との間には因果関係がある
というべきである。

 3 しかしながら、本件事故について、バレーボール部顧問の教諭に過失を認め
- 2 -
た原審の判断は、たやすく首肯することができない。その理由は、次のとおりであ
る。

 前記事実関係によれば、本件事故当時、体育館内においては、いずれも課外のク
ラブ活動であるバレーボール部とバスケツトボール部とが両側に分かれて練習して
いたのであるが、本件記録によれば、課外のクラブ活動は、希望する生徒による自
主的活動であつたことが窺われる。もとより、課外のクラブ活動であつても、それ
が学校の教育活動の一環として行われるものである以上、その実施について、顧問
の教諭を始め学校側に、生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき一般的な
注意義務のあることを否定することはできない。しかしながら、課外のクラブ活動
が本来生徒の自主性を尊重すべきものであることに鑑みれば、何らかの事故の発生
する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のある場合は格
別、そうでない限り、顧問の教諭としては、個々の活動に常時立会い、監視指導す
べき義務までを負うものではないと解するのが相当
である。

 ところで、本件事故は、体育館の使用をめぐる生徒間の紛争に起因するものであ
るところ、本件事故につきバレーボール部顧問の教諭が代わりの監督者を配置せず
に体育館を不在にしていたことが同数諭の過失であるとするためには、本件のトラ
ンポリンの使用をめぐる喧嘩が同教諭にとつて予見可能であつたことを必要とする
ものというべきであり、もしこれが予見可能でなかつたとすれば、本件事故の過失
責任を問うことはできないといわなければならない
。そして、右予見可能性を肯定
するためには、従来からのE中学校における課外クラブ活動中の体育館の使用方法
とその範囲、トランポリンの管理等につき生徒に対して実施されていた指導の内容
並びに体育館の使用方法等についての過去における生徒間の対立、紛争の有無及び
生徒間において右対立、紛争の生じた場合に暴力に訴えることがないように教育、
指導がされていたか杏か等を更に綜合検討して判断しなければならないものという
- 3 -
べきである。しかるに原審は、これらの点について審理を尽くすことなく、単に、
前記2、(1)・(2)のような説示をしたのみで同教諭の過失を肯定しているのであ
つて、原審の右判断は、国家賠償法一条一項の解釈適用を誤り、ひいて審理不尽、
理由不備の違法を犯したものというべきであり、その違法が原判決に影響を及ぼす
ことは明らかである。

 二 以上のとおりであつて、論旨第一、第二は理由があり、原判決中上告人の敗
訴部分は、その余の論旨につき判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、
件事故の過失責任について、更に審理を尽くさせる必要があるから、右破棄部分に
つき本件を原審に差し戻すのが相当である


 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。

     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   橋       進
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    宮   崎   梧   一
            裁判官    牧       圭   次
- 4 -
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする