北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

観光戦略会議での意見交換

2005-10-12 23:10:08 | Weblog
 この時期の北海道にしてはなんだかなま暖かい感じ。紅葉も例年より一週間くらい遅いそうです。
 
 今週末あたりが一番のお楽しみ時かもしれませんね。
 
 今日は、
■観光戦略会議に出席する
■「ビューン」 の1本です。


【観光戦略会議に出席する】
 経団連が事務局を取っている、観光戦略会議企画部会の第二回目が開催され出席する。

 今日の会議の冒頭は、日本政策投資銀行の方から話題提供的に30分ほどのショートプレゼンテーションをいただいた。

 お題は「北海道観光の現状とマーケティング」で、昨年同銀行と道庁で調査をした成果の報告である。

 これによると、これまでの北海道観光は「人気度で二位九州・沖縄に競り勝って国内最高、来道客数は過去10年間で1.3倍になり、観光消費額も5年間で16%増」と良い面ばかりを見ていたのだが、その内情には変化が見られるとの事。

 それは、夏期の入れ込みももう頭打ちになり、旅行形態が少人数化・個人化する傾向が見られ、消費単価は下落、地域間・国際間の競争がますます激化しているという風向きの変化である。

 そして現在対応が不十分な分野として、「団体旅行への依存」、「画一的な料金・サービス」、「ステレオタイプの広告宣伝」などが挙げられ、観光誘致施策の見直しの必要性に言及している。

 そのうえで今後重視すべきターゲット顧客層として、「シニア」と「アジア」を挙げている。

 そのこと自体はもう言い古されている感もあるが、ただ数が多そうだという予想は予想として、それぞれに特徴があるので、それらを踏まえた対応が必要とも分析している。

 まず「シニア」は、
 ①リピーター率が高く
 ②時間的制約がなければ滞在型の「ゆったり旅行」を希望する 
 ③定番の観光情報には不満で、具体的で提案型の情報を希望する
 ④「グルメ・自然・温泉」指向
 ⑤宿泊施設の「料理の内容」「サービス水準」に不満
なのだそうだ。

 そして「アジア」はと言えば、
 ①3~5泊程度の団体観光旅行が中心
 ②その中でも香港・台湾は個人旅行が3割と特定目的型旅行が増加
 ③北海道の温泉や警官を高く評価している
 ④宿泊施設や交通機関の外国語対応の不備に不満
と分析している。

 要はこれらの不満を解消し、希望に答える事が必要と結論づけているのであるが、そこから先は実践の積み重ねでしかないと言う事だろう。

 プレゼンテーションの後に私から「『サービスに不満』というときのサービスとはどういうことを言っているのか?」と質問をしてみたところ、答えは「値頃感でしょうね。『これくらいお金を払えばこれくらいはしてくれるはずだ』という期待感と実際との間に、目の肥えた内地のお客さんから見れば差があるということでしょう」という答えが返ってきた。なるほどね。

    *   *   *   * 

 意見交換の中では旅行雑誌編集長のHさんから「シニア層は数が多いので確かにおいしそうなのですが、大量に捕らえる共通の指向が見つからずに苦労している。4年前からまさにそこをねらった『大人の良い旅』という雑誌を発行しているのだが、上手くこの世代の心に届いていなくて難しいのです。必ずしも高付加価値を喜ぶかというとそうでもなくて、安宿で良いという人も多いのです」という発言があった。

 団塊の世代は、ある意味では自分勝手で「群れない」、「他の奴とは違うんだ」ということを良しとする風潮が強いのかも知れない。こういうことは、「受け皿はこれで行こう」と何らかの意志決定をする供給側にとっては大変難しい相手だということだ。
 覚悟してかからなくてはならない。

 阿寒の観光カリスマOさんからはアジアの人たちからの「値段をもっと下げて欲しい」という分析結果に対して「これはアジアの安いマーケットにしかアプローチしていないのではないか」という問いかけがあった。

 「インバウンド(=外国人観光客)宿泊費は落ちるところまで落ちています。一人4千円などということでは、質の改善は無理なのです。もっと高い所得層へのアプローチが必要なのではないかと思っています」とも。

 チャーター便で客を呼ぼうと思えば、来てくれる飛行機を空で返すのはあほらしいので、それに乗ってくれる客を呼び込もうと安売り・ダンピングを繰り返し、必然的に各方面への料金的しわ寄せが行くという構図になっているのだ。

 この悪循環をどこかで好転させなくてはならないのだが、どういう事が考えられるのだろうか。うーん…。

    *   *   *   * 

 JTBのKさんからは「シニアも良いけれど、その層は早晩先細りする相手でしょう。これからのリピーターになりうる長期的ターゲットとしては、学生、つまり修学旅行にも可能性を見出しています。また広告で呼び込もうと思うと、そういうメディアに反応してくれるのは8割が女性であるということも事実です。『シニアの中でも女性』という視点があるとなお良いと思う」という指摘があった。

 委員長のFさんからは「シニア層にこだわるのは、とりあえず北海道の観光の質を向上させる最後のチャンスになるターゲットだと思うからです。しかしよく考えると、道内観光を支えているのはやはり道内の客なのであって、道内の観光客に安定的に指示されているところが初めてインバウンドにも目を向けた戦略を打つ事が出来る、ということでしょう。それこそがサクセスモデルなのです」という感想。
 安定的な経営があってこその冒険なのだろう。

    *   *   *   * 

 再びOさんから「成功モデルを見つけるのは難しいのですが、絶対に嫌われるパターンはあります。旗に連れられて団体バス…というのはもう絶対にダメでしょうね。阿寒湖のまりも観光船もピークの年間71万人に対して今は年間20万人ですが、『一度見たから良いや』というものになってしまっています。なにか変化が必要でしょう」

「そして外国人が一番興味を持っているものは、なんとアイヌ文化だと言うんです」

 10月1日のパネルディスカッションの光明節を思い出したのと、北海道に住んでいるからにはやはり地名にしてもユーカラの物語にしても、アイヌ文化への深い理解が必要なのだと思うのだった。

 自分の人生の中でも、これだけ連続してアイヌ文化の触れる機会が増えてくると、なにか縁があると思わざるを得ないなあ。

 NHKブックスの「知里真志保の生涯」という本はまだ売っているのかなあ。また購入して読み直したいと思い始めていますよ。


 私からは「シーニックバイウェイで活動してくださっている代表の方は、地域の情報提供のために、自分の携帯電話の番号を公開してくれています。いつでも俺が情報提供しますよ、という覚悟の表れなのですが、これくらいの情熱を傾けてくださる人材を多く見つけたいものです。シニアの観光需要の受け皿となるべき人材は、やはり地域のシニア層から発掘する事の可能性を考えたいと思います」と述べた。

 また同時に、「先日平取の二風谷で萱野さんのアイヌ文化資料館をみせてもらいましたが、映像資料で熊送りのイヨマンテのビデオを見ていたら、後ろの家族連れは『残酷だわー』と言って途中でいなくなってしまいました。やはりアイヌ文化にせよ自然情報にせよ、適切にガイドが出来るインタープリターの必要性を痛感しました」とも述べました。

 再びOさんからも阿寒の事例紹介を含めた賛意が示されました。あとは実践です。やればよい事は分かってきたのですから。 

 いよいよ観光振興の議論が盛んになってきました。わが組織はどこまでこれに対する貢献や期待に応えられるのでしょうか。

 そしてその具体的な方法は?

 もう少し知恵と行動力を出さないとダメかなあ。


 
【「ビューン」】

 どうでもよいのだが、知人から「ビューン」という面白いソフトがあって、空中散歩が楽しめますよ、という情報を得た。

 画面上からソフトをインストールしないといけないのだが、札幌の空中散歩が楽しめて楽しいものだ。

 下記サイトでは住宅情報を提供するという切り口で空中散歩を楽しむのだが、地域紹介や広い施設の紹介などもっと活用の幅が広がるかも知れない。

 シーニックでも使えないかな。

 http://viewoon.jp/sapporo/freeflight/index.html

 興味ある方はお試しあれ。

コメント
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