北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

物流と安定ということ

2005-10-27 23:51:06 | Weblog
 今日も晩秋を惜しむような秋晴れの一日。しかし日光の力が一日一日衰えて行くようです。

 さて今日は
■物流と安定ということ の1本です。

【物流と安定ということ】
 今北海道では、十勝産の長芋を台湾に輸出していてこれが大変な人気だという。

 川西農協というところの取り組みが功を奏して、北海道の優良な農産物はブランドとして海外でも人気だという見本のようなものである。


 ところが物流に詳しい知人によると、この十勝で取れた長芋がどうやって台湾まで運ばれるか、という流通経路をたどると面白いという。

 知人によると十勝の長いもの多くはトラックで苫小牧港まで運ばれて、そこからフェリーで仙台港を経由して名古屋港まで運ばれるのだそうだ。

 そして名古屋港からは陸送で神戸港まで運ばれてそこでやっと外国航路で台湾まで運ばれるというのである。

 十勝なら十勝港が一番近いようにも思えるし、運ぶ距離が近ければ運賃も安いような気がするが、そうではないのだそうだ。

 それは、フェリーなどが定期航路で確実に動いているものに載せる方が安いのと、さらには一定の流通業者と舟運業者とが相談をして一定量の積み荷分を安く契約するという事もあるのである。

 だから流通業者は、いつでも船に一定の運搬量をお金を払って確保出来ているので、その分を空で運ばれるよりは値段を下げてでも積み荷を確保したりする事もあるのだという。

 要は安定しない量をそれ専用に運ばせるのは非常に高価になるという事だ。だから安定的な物流ルートに載せるのが一番安くなると言うことが現実で、必ずしも陸送距離にはよらない事が多いのだという。

 さて、外国航路で台湾に運ぶにしてもなぜ神戸港からか、というとこれがまた神戸の業者さんが台湾との販売ルートを開拓したからなのだそうで、神戸に集められた長芋は他の積み荷と共にコンテナを十分に満たして台湾まで運ばれるのである。

 このような商慣習が案外物流ルートを決めている例も多いのだ。

    *   *   *   * 

 そう言えば飛行機の座席だって、大手の旅行業者が一定量を安価に確実に確保するという事は航空業界でも通常行われている事だ。

 飛行機会社にすれば、空で運ぶよりは安くしてでも安定的に収入を得る方が経営的には確実なのは当然だ。

 また旅行業者の方にすれば、飛行機の座席はもちろん、ホテルの部屋だって同じように安く確保しておけば旅行プランを安上がりにする事が出来る。

 世の中はこうして安くても安定していることを求めるということが日常的に行われていて、それゆえそういう商品は正規料金では考えられないほど安く売られているのである。

 もっともそういう商品はあまり選択制がなくて、日が決められていたり行程も決められていて自由度は低いものが多い。

 多少窮屈だが安くて旅行の一定の目的は果たせるということが期待出来るだろう。安い旅行商品はそういう仕入れ値の安さが支えているのである。

    *   *   *   *  

 某スキー場でペンションを経営している知人がいるのだが、つい数年前に「おつきあいしている旅行エージェントが倒産してひどく参りました」とトラブルに見舞われた。

 旅行エージェントには一定の部屋数を安く提供してあって、一冬そこが募集したツアーの客をさんざんもてなして、後で支払ってもらう段になってその会社が倒産したのだという。

 知人の方は一生懸命に仕事をしたのだが、代金はいただけないということになったのである。付き合う相手も安定した大手を選びたいものだ。 

 ものを運ぶということの安定をどう確保するか。普段案外我々が知らない世界がそこにはある。
コメント
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