快晴ですが、だんだん寒くなってきています。
【「ウェブ進化論」を読む~その1】
最近は、書店で(面白そうだな)と思って買った本にはずれが少なくなりました。
本の方から「これを読むべし」という電波が出ているようで、それに導かれるようにパラパラとめくって何か引っかかるものがあれば、とりあえずこれを買い求めまるのですが、ちょっとした暇な時にこれを読み始めると、まあこれが面白い、というわけです。
おかげで毎日寝る時はぐったりするほど大変な読書を強いられているのですが、そんな「当たり!」の一冊が、梅田望夫(うめだもちお)著「ウェブ進化論」(ちくま新書 740円+税)です。
私も普段からブロガーの端くれとして、ネットの世界には強いつもりでいたのですが、そのウェブの世界の最前線で今何が起ころうとしているのか、ということを、実に面白おかしく教えてくれる一冊です。
著者は「Google(グーグルと読みます)」というホームページの検索エンジン提供会社(と思われている)について、「世界を変える価値観を持った会社」と高く評価しています。
グーグルの会社のゴールは、「増殖する地球上の膨大な情報を全て整理し尽くす」という壮大なもので、その周辺に位置する技術開発やビジネス創造の可能性で今最も注目されている会社なのです。
そもそもインターネットの成立によって、世界中で比較的簡単にホームページをつくってネット上で公開することが可能になりました。
しかし日々増大するこれらの情報に接するためには、これまでいくつものハードルがありました。
一つにはネット接続の問題で、これは基幹的な光ファイバー網から始まって、一般の家庭まで光が入るようになり、ごく日常のありふれた社会インフラになることで、やっと時代が追いついてきた感があります。
その次のハードルは、接続の料金の問題でした。これも最初は時間制であったものが常時接続が当たり前でしかも料金も月数千円と極めてリズナブルなところにまで下がってきました。しかも、同一料金当たりに得られる情報量が光をはじめとするブロードバンド時代の到来で格段に増え、逆に言うと、情報量を得るお金が安くなりました。
著者はこれを「チープ革命」ち称して、このハードルがなくなったことを歓迎しています。
ところが最後のハードルが難関です。それは星の数ほどあるサイトや情報の多くが玉石混淆で、しかも役に立たないくず情報がありすぎて、玉となる貴重な情報にはなかなか行き当たらない、ということです。
アメリカという国は、「このネット社会という巨大な混沌に真正面から対峙(たいじ)し、そこをフロンティアと見定めて新しい秩序を作り出そうというスケールの大きな取り組み」をしている、と著者は指摘します。
そしてその最前線がグーグルであり、ここでは上記の玉石混淆をいかに人間を介さず自動的に、機械的にふるい分けるかという情報技術に日々磨きをかけているのです。
実はこれをやられてしまって一番困るのは、既存の情報配信の権利を握っているいわゆる既存のマスコミ側の人達です。
どんな事実をどのような分量で、共感か否定的にか、またどのようなかたちで世間に提供するかを握っているのは彼らだからです。
ところが世の中にもっと数多くの情報発信者がいて、彼ら自身が思うままの意見や情報を自由に出せて、それらが信ずるに値する玉の情報であるということが保証された上で、世間の声が共感なのか否定なのかを編集者のような人為を介さずに紹介されることになれば、既存メディアの欺瞞もたちまち暴かれてしまうことになるでしょう。
まだまだ日本で世間のインターネットに対する評価として「負」の部分や「悪」の部分が強調されがちなのはそう言う側面があるからだ、と著者は言います。
それよりは情報発信者の「善性」を信じてはどうか、その可能性を信じたはどうか、とも言うのです。
インターネットの情報は嘘ばっかりで、99%は悪意に満ちていたとしても、それらを技術的な情報フィルターで排除できて、玉のような質の高い善の残り1%の情報が手に入ると言うことになれば、これはものすごい宝の山であることでしょう。
なにしろ相手は何億、何十億もの情報の海なのですから。
※ ※ ※ ※
しかし、これらのネット上で起こっている革命的な変化については、「使ったこともない人」と「そこに住む人」との間の溝がますます大きくなりつつあります。
この現象を「説明して欲しい」と言われても説明が難しいところまできています。この現象を「感覚として分かる」というレベルに達しなくては、これからのビジネスやこれからの社会を最前線で生きて行くことは難しいのだろうな、とすら思います。
情報というものの伝達性とコピー性が飛躍的に増した今日、ネット社会を理解しておくことは極めて重要な生涯学習のテーマになりそうです。
この本はあまりに示唆に富んでいることが多いので、またいずれ続編をご紹介します。
今日はここまで。
【「ウェブ進化論」を読む~その1】
最近は、書店で(面白そうだな)と思って買った本にはずれが少なくなりました。
本の方から「これを読むべし」という電波が出ているようで、それに導かれるようにパラパラとめくって何か引っかかるものがあれば、とりあえずこれを買い求めまるのですが、ちょっとした暇な時にこれを読み始めると、まあこれが面白い、というわけです。
おかげで毎日寝る時はぐったりするほど大変な読書を強いられているのですが、そんな「当たり!」の一冊が、梅田望夫(うめだもちお)著「ウェブ進化論」(ちくま新書 740円+税)です。
私も普段からブロガーの端くれとして、ネットの世界には強いつもりでいたのですが、そのウェブの世界の最前線で今何が起ころうとしているのか、ということを、実に面白おかしく教えてくれる一冊です。
著者は「Google(グーグルと読みます)」というホームページの検索エンジン提供会社(と思われている)について、「世界を変える価値観を持った会社」と高く評価しています。
グーグルの会社のゴールは、「増殖する地球上の膨大な情報を全て整理し尽くす」という壮大なもので、その周辺に位置する技術開発やビジネス創造の可能性で今最も注目されている会社なのです。
そもそもインターネットの成立によって、世界中で比較的簡単にホームページをつくってネット上で公開することが可能になりました。
しかし日々増大するこれらの情報に接するためには、これまでいくつものハードルがありました。
一つにはネット接続の問題で、これは基幹的な光ファイバー網から始まって、一般の家庭まで光が入るようになり、ごく日常のありふれた社会インフラになることで、やっと時代が追いついてきた感があります。
その次のハードルは、接続の料金の問題でした。これも最初は時間制であったものが常時接続が当たり前でしかも料金も月数千円と極めてリズナブルなところにまで下がってきました。しかも、同一料金当たりに得られる情報量が光をはじめとするブロードバンド時代の到来で格段に増え、逆に言うと、情報量を得るお金が安くなりました。
著者はこれを「チープ革命」ち称して、このハードルがなくなったことを歓迎しています。
ところが最後のハードルが難関です。それは星の数ほどあるサイトや情報の多くが玉石混淆で、しかも役に立たないくず情報がありすぎて、玉となる貴重な情報にはなかなか行き当たらない、ということです。
アメリカという国は、「このネット社会という巨大な混沌に真正面から対峙(たいじ)し、そこをフロンティアと見定めて新しい秩序を作り出そうというスケールの大きな取り組み」をしている、と著者は指摘します。
そしてその最前線がグーグルであり、ここでは上記の玉石混淆をいかに人間を介さず自動的に、機械的にふるい分けるかという情報技術に日々磨きをかけているのです。
実はこれをやられてしまって一番困るのは、既存の情報配信の権利を握っているいわゆる既存のマスコミ側の人達です。
どんな事実をどのような分量で、共感か否定的にか、またどのようなかたちで世間に提供するかを握っているのは彼らだからです。
ところが世の中にもっと数多くの情報発信者がいて、彼ら自身が思うままの意見や情報を自由に出せて、それらが信ずるに値する玉の情報であるということが保証された上で、世間の声が共感なのか否定なのかを編集者のような人為を介さずに紹介されることになれば、既存メディアの欺瞞もたちまち暴かれてしまうことになるでしょう。
まだまだ日本で世間のインターネットに対する評価として「負」の部分や「悪」の部分が強調されがちなのはそう言う側面があるからだ、と著者は言います。
それよりは情報発信者の「善性」を信じてはどうか、その可能性を信じたはどうか、とも言うのです。
インターネットの情報は嘘ばっかりで、99%は悪意に満ちていたとしても、それらを技術的な情報フィルターで排除できて、玉のような質の高い善の残り1%の情報が手に入ると言うことになれば、これはものすごい宝の山であることでしょう。
なにしろ相手は何億、何十億もの情報の海なのですから。
※ ※ ※ ※
しかし、これらのネット上で起こっている革命的な変化については、「使ったこともない人」と「そこに住む人」との間の溝がますます大きくなりつつあります。
この現象を「説明して欲しい」と言われても説明が難しいところまできています。この現象を「感覚として分かる」というレベルに達しなくては、これからのビジネスやこれからの社会を最前線で生きて行くことは難しいのだろうな、とすら思います。
情報というものの伝達性とコピー性が飛躍的に増した今日、ネット社会を理解しておくことは極めて重要な生涯学習のテーマになりそうです。
この本はあまりに示唆に富んでいることが多いので、またいずれ続編をご紹介します。
今日はここまで。