北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

まちづくりで日中友好

2006-11-24 23:55:18 | まちづくり
 午前中を中心に、吹雪混じりの雪。こうしてだんだん街が白くなって行くのです。

【中国からの調査団】
 中国大使館に勤務した経験のある知人からの依頼で、中国政府からの調査団を受け入れることになっていて、その説明会を今日の午後に行いました。

 外務省経由ではなく、大使館からの知人ネットワークを経由して私の所へ話が持ち込まれたというのも面白いのですが、これもなにかの縁だろうと思い、コーディネーター役を引き受けました。 

 今回の訪日の目的は、日本の都市計画制度について学ぶことで、特に都市の都市計画と、その上位計画との整合をどう取るのか、ということに関心を持たれているとのことでした。

 一応まちづくりの担当として私が受けたものの、都市計画制度の実際の運用上の話となると、専門に担当されている方から話を聞くのが良かろう、ということで、道庁の都市計画課や、実務担当として経験豊富な建設コンサルタントの知人、さらにはまちづくりの現場に立っている若くて美人の女性プランナーなどに声を掛けて参加してもらいました。

 しかしこちら側が用意したスタッフも、通訳を介して外国の方に説明をするのは初めてという人ばかりで、少し不安げ。
 
 来訪者を待つまでの間に、そもそも今回の話を紹介してくれた、中国大使館に勤務していたBさんから「説明の際は、主語と述語をはっきりとさせて、簡潔な文章で説明してくださいね」と言われて、皆ちょっと緊張気味です。

 やがて中国からの調査団が到着。在札幌の中国領事館からも一人随行が来ていて、全部で四名のお客様でしたが、調査団の代表は中国政府で地域政策を担当されている局長のAさんでした。

 この方は、中国中央政府の中でも最も若い局長さんだそうです。まさに将来の中国を担うエリートですから、やっぱり少し緊張です。

 またAさんの他には大学の研究者がお二人。一人は男性ですが、もう一人は、日本の大学で学位を取って、一時国土交通省の研究機関にも在籍していたという女性教授です。この方、日本語はぺらぺらで、通訳も兼ねてくださいましたが、真の中国エリートは本当に頭脳明晰だと感心しました。

 説明では道庁の担当者から、全道に展開している北海道都市計画マスタープランの説明を行い、続いて実務担当者のコンサルタントから実務を行う上での留意点などを説明し、最後に女性のプランナーからNPOなどと連携したまちづくりの話題をお話ししました。

 意見交換の中でのやりとりで分かってきた中国側の問題意識は、地方自治体である市が自分たちの発展のために工業団地を作りたいと考えている思惑と、より上位の省や国の計画がバッティングすることがあって、そうした上位計画と地元計画との不整合をどのように解決しているのか、ということを知りたいということのようでした。

 国内の都市計画では、都道府県レベルの広域マスタープランと下位レベルのマスタープランは事前に調整が図られるので、それほど大きな対立はあまりありません。

 しかしこれからまさに発展しようとする中国では、都市の発展の圧力をどのように受け止めながら、インフラ整備の順番と調整したり、より広域なレベルでの国家づくりのための計画との整合が重要になってくるのでしょう。

 日本が高度成長期に通ってきた道をまさに歩んでいる中国の姿がかいま見えたような気がします。

 会話の中で自治体合併の話に及びました。

「日本でも自治体が合併すると、首長という職がなくなると思いますが、その時にそれまでの首長の処遇はどのようにしていますか?」
「日本の首長は公職選挙法で任期が決まっていますから、その任期がなくなれば失職します。合併で数が減っても同じ事です。保証はありません。逆に中国でも合併の話題があるのですか?」

「はい、中国でも道路網の整備などで移動が円滑になったことから、それまで複数の自治体であったところで行政の効率化を図る必要性が出てきました。しかしまさにその場合の首長の処遇が問題になっているのです」とのことでした。

 ううむ、実に興味深い。

    *   *   *   * 

 説明会の後には、折角のことなので、参加者で懇親会を用意していたのですが、それに快く出席をしてくださって、より身近な話題で盛り上がりました。

 一行は札幌入りする前日には、函館に泊まったそうなのですが、そこでの函館山での夕方の風景を「本当に美しかったです」と感慨深げでした。

 おまけに調査団団長のAさんが、そこでの感動を詩にしたためてくださったそうです。

  函館行

 函館夜色美
 灯火最輝煌
 西照日本海
 東映太平洋

 日本七日行
 湖沼景●忘 (●=又偏に隹)
 駒岳映火焔
 積雪荷蓮傍

 うーん、おしゃれです。これも教養のなせる技でしょうか。

 小さな規模の日中友好はうまくいったようです。
 

コメント
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