今日も絶好の行楽日和ですが、我が身は昨日に続いての観光講座の聴講です。
北大校内の紅葉が綺麗です。
【北大公開講座を聴く~二日目】
今日は昨日に続いて、北大の公開講座で「観光創造の理論と実践」について講義を聴きました。
今日も5コマの講義ですが、最初は石森先生のコンベンション観光の効果についてお話しをいただきました。
コンベンションとは学術会議などで世界中から多くの人が集まるイベントです。このためには1000人~2000人が収容できる会議場が必要で、同時にそれだけの人が宿泊できるホテルなどの周辺施設も重要です。
さらには食事のケータリングサービスや人の移動などの交通手段も必要です。コンベンションはこれだけの施設が要求される一大イベントなので、都市規模としてもそれなりのところでなくては用意ができません。
また、会議を主催する側にとって見ると、世界中のどこにしようかと考えるわけでライバルも多いというわけ。要求水準の高い主催者側の眼鏡にかなうのはなかなか大変そうです。
しかしそれだけのイベントを開催してもらえれば、直接・間接にその経済効果は大きなものがあるため、誘致に力を入れる自治体も多いというわけです。
特に最近は、コンベンションからMICEと呼ばれるものも増えてきている。MICEとはMeeting Incentive Conference EVENTの頭文字を集めたもので、集団の会合の他に企業の報奨旅行なども含む概念だとか。
保険のおばちゃんなどで成績の良かった人だけが海外旅行へ連れて行ってもらえる、というイメージですね。なんでもかんでも、選んでもらえることが大事なのです。
※ ※ ※ ※
さて、今日の講義のなかで最も面白かったのはS先生の「エコツーリズムによる自律的な地域づくり」でした。
マスツーリズムは、地域外でデザインされたツアー商品で、地元の地域は自然や文化という部品提供になりさがっていると先生は言います。
「部品供給であれば、買ってもらうには良くするか値段を下げるしかなくなるんです」
これに対してエコツーリズムは、完成品を地域でデザインすることであると言います。そのため、「必ずしも地域で全てを用意しなくても良いのです。無いものを無理して作ろうとするよりも、無いものはよそから持ってきたって良いのです。そういう割り切りをして良いのです」とも。
エコツーリズムといいながら、なんだか掛川で行っているような地域を案内する地域文化巡りツアーのようです。
エコツーリズムの利点を先生は
①資源や環境の管理を必要とする
②日常に埋没した価値を他者の目で発見できる
③利用者も参加して向上することができる
④地域の製品のデザイン能力アップ
⑤地域内の結びつきを作り出す として挙げています。
しかしまた同時に弱点もあって、「エンターテインメントなのに、勉強だ、学習だと思われてしまっていて、ガイドの方も勉強を要求しがちになることがあります。あくまでもエンターテインメントなのだ、というところから出発するのがよいでしょう」ということだそうで、なるほど、確かにそう言う側面がありそうです。
※ ※ ※ ※
S先生のもう一つの話題は、よそ者の利用について、でした。
よそ者のもたらす効果として先生は、
①技術や技能などの知識を地域へともたらす
②地域の創造性を起こす
③地域に蓄えられている知識を他者に翻訳できる
④地域の知識の変容
⑤しがらみがない と5つ挙げました。
私も掛川にいて特に、③の地域の知識を他者に翻訳する役割というのが案外大きいということを実感しました。地元の人達はもはやあうんの呼吸で分かり切っていることが、案外外には伝わっていないということがあるために、その間を取り持って通訳をする必要があるのです。
通訳というからには両方の立場が分かっていなければならず、そこに地域に入ったよそ者の登場する余地があるのです。
特に外部の専門家による地域への関わり方には四つのモードがあるといいます。それは、
①出前モード → ぽっと来て話をするだけ
②調査・研究モード → 地域を研究してくださるだけ
③一体同化モード → 短期的に地域にいて解決方法を押しつけがちになる
④解決力向上モード → 地域を見守り、アドバイスをしながら地域が自分たちで問題を解決する力をつけて行く
外部のよそ者であっても、地域内にはいると地域の目になり外の視点が曇りがちです。常にそうならないように自戒したいものです。
それにしてもただ講演するだけでは「出前モード」と言われてしまうんですね。うーむ…。
北大校内の紅葉が綺麗です。
【北大公開講座を聴く~二日目】
今日は昨日に続いて、北大の公開講座で「観光創造の理論と実践」について講義を聴きました。
今日も5コマの講義ですが、最初は石森先生のコンベンション観光の効果についてお話しをいただきました。
コンベンションとは学術会議などで世界中から多くの人が集まるイベントです。このためには1000人~2000人が収容できる会議場が必要で、同時にそれだけの人が宿泊できるホテルなどの周辺施設も重要です。
さらには食事のケータリングサービスや人の移動などの交通手段も必要です。コンベンションはこれだけの施設が要求される一大イベントなので、都市規模としてもそれなりのところでなくては用意ができません。
また、会議を主催する側にとって見ると、世界中のどこにしようかと考えるわけでライバルも多いというわけ。要求水準の高い主催者側の眼鏡にかなうのはなかなか大変そうです。
しかしそれだけのイベントを開催してもらえれば、直接・間接にその経済効果は大きなものがあるため、誘致に力を入れる自治体も多いというわけです。
特に最近は、コンベンションからMICEと呼ばれるものも増えてきている。MICEとはMeeting Incentive Conference EVENTの頭文字を集めたもので、集団の会合の他に企業の報奨旅行なども含む概念だとか。
保険のおばちゃんなどで成績の良かった人だけが海外旅行へ連れて行ってもらえる、というイメージですね。なんでもかんでも、選んでもらえることが大事なのです。
※ ※ ※ ※
さて、今日の講義のなかで最も面白かったのはS先生の「エコツーリズムによる自律的な地域づくり」でした。
マスツーリズムは、地域外でデザインされたツアー商品で、地元の地域は自然や文化という部品提供になりさがっていると先生は言います。
「部品供給であれば、買ってもらうには良くするか値段を下げるしかなくなるんです」
これに対してエコツーリズムは、完成品を地域でデザインすることであると言います。そのため、「必ずしも地域で全てを用意しなくても良いのです。無いものを無理して作ろうとするよりも、無いものはよそから持ってきたって良いのです。そういう割り切りをして良いのです」とも。
エコツーリズムといいながら、なんだか掛川で行っているような地域を案内する地域文化巡りツアーのようです。
エコツーリズムの利点を先生は
①資源や環境の管理を必要とする
②日常に埋没した価値を他者の目で発見できる
③利用者も参加して向上することができる
④地域の製品のデザイン能力アップ
⑤地域内の結びつきを作り出す として挙げています。
しかしまた同時に弱点もあって、「エンターテインメントなのに、勉強だ、学習だと思われてしまっていて、ガイドの方も勉強を要求しがちになることがあります。あくまでもエンターテインメントなのだ、というところから出発するのがよいでしょう」ということだそうで、なるほど、確かにそう言う側面がありそうです。
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S先生のもう一つの話題は、よそ者の利用について、でした。
よそ者のもたらす効果として先生は、
①技術や技能などの知識を地域へともたらす
②地域の創造性を起こす
③地域に蓄えられている知識を他者に翻訳できる
④地域の知識の変容
⑤しがらみがない と5つ挙げました。
私も掛川にいて特に、③の地域の知識を他者に翻訳する役割というのが案外大きいということを実感しました。地元の人達はもはやあうんの呼吸で分かり切っていることが、案外外には伝わっていないということがあるために、その間を取り持って通訳をする必要があるのです。
通訳というからには両方の立場が分かっていなければならず、そこに地域に入ったよそ者の登場する余地があるのです。
特に外部の専門家による地域への関わり方には四つのモードがあるといいます。それは、
①出前モード → ぽっと来て話をするだけ
②調査・研究モード → 地域を研究してくださるだけ
③一体同化モード → 短期的に地域にいて解決方法を押しつけがちになる
④解決力向上モード → 地域を見守り、アドバイスをしながら地域が自分たちで問題を解決する力をつけて行く
外部のよそ者であっても、地域内にはいると地域の目になり外の視点が曇りがちです。常にそうならないように自戒したいものです。
それにしてもただ講演するだけでは「出前モード」と言われてしまうんですね。うーむ…。