北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

発達障害と学校

2006-11-25 23:12:16 | Weblog
 原因不明の背筋痛で一日ぐったり。たまにはこういう日もあるのです。いててて…。

【娘との会話】
 親元から離れて暮らし、教育関係の大学へ通っている長女が週末に帰省しました。

 金曜日の夜に中国の皆さん達との会合の後で、携帯から「もう帰ってきているの?」と単純に帰っているかどうかを確認しただけなのに、家に帰ってみると「あれ?おみやげの数の確認じゃなかったの~」と、ブーイングの種を作ってしまったようです。やれやれ。

 娘が良い先生について勉強しているのは障害児教育という分野です。障害者と言うと、私などは、「障害者」と言っても、障害者基本法に定義される、身体障害、知的障害、精神障害の三つの存在しか知らなかったのですが、教育環境下での子供の持つ障害というのは近年、様々な分類がなされるようになってきていて、その中に発達障害というものがあるのだそうです。

 発達障害の中にも、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、アスペルガー症候群、高機能自閉症など多くの分類があるそうです。

 そして、それぞれには細かな特徴があるのだそうで、まだまだ日本では一般にとって、単語を聞いたことがあるかどうかといった程度で、認知度は低いのだそうです。

「お父さんも小学校1年生の時って、教科書の一年分の中身が全部分かってしまって、授業を受けるのがあほらしくて、参観日の日に完全に後ろを向いて、セーターの中に手を入れながら来ていた父兄の顔を眺めていたことがあったよ。でも勉強は後ろを向いていたって分かっていたんだよ」
「発達障害は、勉強が出来るかどうかじゃなくて、今どういう行動をすべきかとか、すべきじゃないかといった想像力が働かないという要素があるんだよ」


「うむむ、そうか」
「あとは社会的関係を持てるかとか、人とのコミュニケーションを保てるか、とかいうチェック要素もあるんだけど、それって、今の時代だったらアスペルガー症候群の傾向があると思われていたかもしれないよ」

「ううむ、紙一重だったのかな」
「誰でも少しくらいは、そんな傾向や要素はあるよ」

「大体、障害を持っている子供達ってどれくらいの割合でいるのかという調査はあるのかい?」
「うん、国が平成14年に全国の公立小・中学校の内370校を抽出して実施した調査があるらしいんだけれど、その結果は、通常の学級に6.3%の割合でLD・ADHDを含めて、特別な教育的支援が必要な児童生徒が、在籍する可能性があるというものだったんだって」

「ランダム調査にしても、6.3%と言えば、16人に一人じゃないか。30人クラスでも2人はいる割合になるよ」
「あくまでもそういう一回の調査の結果だけど、そういう子がクラスに一人でもいると学級経営が難しいと思うんだよね」

「先生だって、対応の仕方が分からないんじゃないの」
「そう、でも今はそれに対応しなくちゃならないことになってる。でもあまり特定の子に関わっているとクラス全体の進度にも影響してしまうし…」

    *   *   *   * 

 今は、子供の成績が下がると、「学校の先生は何を教えているんだ?」というクレームもつきかねない時代ですが、現場の実態は私などが考える以上に大変なんですね。

 クラスにそうした障害の可能性のある子供がいたとしても、それはそのまま世に出たときの縮図のはず。「世界がもし100人の村だったら」という本がありましたが、世の中には一定の割合で、いろいろな人がいるものだ、ということを教えてくれるのも学校やクラスの貴重な意味なのでしょうね。

 だから、自分とは異なる個性の仲間がいたときにも、排除をするのではなく、関わったりアドバイスをしたり、見守ったりするという社会性を養うことも重要な眼目のはず。しかし、学校の評価が「成績!」の一点張りになると、そういう優しさや社会性も失われてしまいそうです。

 学力も含めた総合的な社会性を養う学校と、学力に特化した能力要請を行う塾との違いはそういうところにありそうですが、それぞれが異なるベクトルを目指していると言うことなのです。

 娘との話の私なりの結論は、「世間ももう少し、現実に与えられる運命に対して従順さや諦めの気持ちを持つべきだ」というものでした。

 もちろん関係者それぞれが向上に向かって努力を続けることは重要ですが、その結果として自分の将来と運命だけは保証してもらいたいという傲り(おごり)が強くなりすぎているような気がします。

 とうとう娘に教えられるようになりました。これもまた一興なり。


コメント
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