大相撲の激震が続きます。
北の湖理事長が辞任を発表、露鵬と白露山の二人の力士は解雇だそうです。
スポーツの世界はアンチドーピングの最前線です。(財)日本アンチドーピング機構のホームページを見てみると、ドーピングが禁止される理由が四つ示されています。
①選手自身の健康を害する
②不誠実(アンフェア)
③社会悪
④スポーツ固有の価値を損ねる、の四つです。
②の『不誠実』という項目では、「スポーツ界はドーピングに対してはっきりと反対の姿勢を示していますので、大会に参加するにはドーピング禁止規定を守ることが条件です。…みんなが守っている禁止規定を自分だけこっそりと守らないで有利になろうとすることは不誠実です」と書かれています。
③の『社会悪』では、「一流の選手には青少年に対する役割モデルが期待されています」とされ、ヒーローとしての明るいモデルにもなれれば、一方で汚いやり方を真似する子供達も現れるのです。
④の『スポーツ固有の価値を損ねる』という項目では、スポーツはプレイヤーだけではなく、見る人、支える人など多くの様々な関わりを通じて、倫理観やフェアプレー、誠意、健康、人格教育、喜びや楽しみ、チームワーク、規則への敬意、共同体意識・連帯意識など実に多くのことがらを培ってくれる世界であるということを高らかに謳っています。
従って、それが薬物の助けを借りて行われたものであることは、その存在価値そのものを貶めることに他ならないという強い意志が表明されています。
「ドーピングは、健康への害、不誠実、社会悪といった『悪』につながるだけでなく、スポーツの価値や意味そのものを『否定』してしまうからこそ禁止されており、ドーピングから『スポーツを守る』という意識こそがアンチ・ドーピング活動の根幹だと考えています」という表現に、アンチドーピングは誠実であることへの裏切りだという強い意志が込められているのです。
※ ※ ※ ※
ところが(財)日本相撲協会は、この(財)日本アンチドーピング機構の加盟団体に加わっていません。加盟団体リストには、(財)日本相撲連盟の名前は見られますが、こちらは日本のアマチュア相撲団体を統括する財団法人で、プロである(財)日本相撲協会は加盟していないのです。
別にオリンピックのように世界大会の種目でもないし、そういう意味ではドーピングに対する危機意識が薄かったのかも知れません。
※ ※ ※ ※
そもそもアンチドーピングは、ブラックリスト方式で、禁止薬物が追加されながら公表されていますが、これには4つのカテゴリーがあるのだそうです。
「カテゴリーⅠ」は、「Ⅰ.常に禁止される物質と方法(競技会検査及び競技会外検査)」というもので、筋肉増強剤など、どんな場合でも使っては行けないものが含まれます。
カテゴリーⅡは、「Ⅱ.競技会検査で禁止対象となる物質・方法」で、興奮剤のようなものがこれに含まれます。
カテゴリーⅢは、「Ⅲ.特定競技において禁止される物質」で、集中を必要とする競技で、精神をリラックスさせるようなものが含まれます。
カテゴリーⅣは「Ⅳ.特定物質」というもので、医薬品として広く市販され、不注意でドーピング規則違反を起こしやすいもの、などがここに含まれます。
そして大麻の成分であるカンナビノイドという物質は、このなかのⅡとⅣにあげられています。つまり競技会検査で見つかるといけないけれど、普段は別に構わないという分類なのです。
アンチドーピングの定義を額面通りに受け止めると、本場所中はいけないけれど普段だったらは構わないことになるのですが、日本における相撲となると神話からの繋がりという神聖な意味合いも加わり、禁止の意味合いの③と④が強調されることになるのでしょう。
※ ※ ※ ※
もしかすると、当初の北の湖前理事長の「なにがいけないんだ?」発言は、いけないと明確に書いていないことは構わないという、案外グローバルスタンダードだったのかも知れませんね。
逆に国内の、明確には規定していないが「やっぱり駄目なんじゃないの?」的な『空気』が事件を拡大させたとも言えそうです。多くの日本人も、何が本当に駄目なのかという考えをこの間、明確には言えなかったのではないでしょうか?
マスコミは事件になると「首を取る(誰かを辞めさせる)」ことに血眼になりますが、若の鵬の大麻所持事件の際に明確な対策を立てなかったツケが回ってきたとも言えそうです。
伝統の世界も、組織運営として禁止事項や処罰規定など、明確な定義付けと明文化を行わなければいけない時代なのですね。
改革は一瞬遅れるとツケがきっと回ってくるのかも知れません。
北の湖理事長が辞任を発表、露鵬と白露山の二人の力士は解雇だそうです。
スポーツの世界はアンチドーピングの最前線です。(財)日本アンチドーピング機構のホームページを見てみると、ドーピングが禁止される理由が四つ示されています。
①選手自身の健康を害する
②不誠実(アンフェア)
③社会悪
④スポーツ固有の価値を損ねる、の四つです。
②の『不誠実』という項目では、「スポーツ界はドーピングに対してはっきりと反対の姿勢を示していますので、大会に参加するにはドーピング禁止規定を守ることが条件です。…みんなが守っている禁止規定を自分だけこっそりと守らないで有利になろうとすることは不誠実です」と書かれています。
③の『社会悪』では、「一流の選手には青少年に対する役割モデルが期待されています」とされ、ヒーローとしての明るいモデルにもなれれば、一方で汚いやり方を真似する子供達も現れるのです。
④の『スポーツ固有の価値を損ねる』という項目では、スポーツはプレイヤーだけではなく、見る人、支える人など多くの様々な関わりを通じて、倫理観やフェアプレー、誠意、健康、人格教育、喜びや楽しみ、チームワーク、規則への敬意、共同体意識・連帯意識など実に多くのことがらを培ってくれる世界であるということを高らかに謳っています。
従って、それが薬物の助けを借りて行われたものであることは、その存在価値そのものを貶めることに他ならないという強い意志が表明されています。
「ドーピングは、健康への害、不誠実、社会悪といった『悪』につながるだけでなく、スポーツの価値や意味そのものを『否定』してしまうからこそ禁止されており、ドーピングから『スポーツを守る』という意識こそがアンチ・ドーピング活動の根幹だと考えています」という表現に、アンチドーピングは誠実であることへの裏切りだという強い意志が込められているのです。
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ところが(財)日本相撲協会は、この(財)日本アンチドーピング機構の加盟団体に加わっていません。加盟団体リストには、(財)日本相撲連盟の名前は見られますが、こちらは日本のアマチュア相撲団体を統括する財団法人で、プロである(財)日本相撲協会は加盟していないのです。
別にオリンピックのように世界大会の種目でもないし、そういう意味ではドーピングに対する危機意識が薄かったのかも知れません。
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そもそもアンチドーピングは、ブラックリスト方式で、禁止薬物が追加されながら公表されていますが、これには4つのカテゴリーがあるのだそうです。
「カテゴリーⅠ」は、「Ⅰ.常に禁止される物質と方法(競技会検査及び競技会外検査)」というもので、筋肉増強剤など、どんな場合でも使っては行けないものが含まれます。
カテゴリーⅡは、「Ⅱ.競技会検査で禁止対象となる物質・方法」で、興奮剤のようなものがこれに含まれます。
カテゴリーⅢは、「Ⅲ.特定競技において禁止される物質」で、集中を必要とする競技で、精神をリラックスさせるようなものが含まれます。
カテゴリーⅣは「Ⅳ.特定物質」というもので、医薬品として広く市販され、不注意でドーピング規則違反を起こしやすいもの、などがここに含まれます。
そして大麻の成分であるカンナビノイドという物質は、このなかのⅡとⅣにあげられています。つまり競技会検査で見つかるといけないけれど、普段は別に構わないという分類なのです。
アンチドーピングの定義を額面通りに受け止めると、本場所中はいけないけれど普段だったらは構わないことになるのですが、日本における相撲となると神話からの繋がりという神聖な意味合いも加わり、禁止の意味合いの③と④が強調されることになるのでしょう。
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もしかすると、当初の北の湖前理事長の「なにがいけないんだ?」発言は、いけないと明確に書いていないことは構わないという、案外グローバルスタンダードだったのかも知れませんね。
逆に国内の、明確には規定していないが「やっぱり駄目なんじゃないの?」的な『空気』が事件を拡大させたとも言えそうです。多くの日本人も、何が本当に駄目なのかという考えをこの間、明確には言えなかったのではないでしょうか?
マスコミは事件になると「首を取る(誰かを辞めさせる)」ことに血眼になりますが、若の鵬の大麻所持事件の際に明確な対策を立てなかったツケが回ってきたとも言えそうです。
伝統の世界も、組織運営として禁止事項や処罰規定など、明確な定義付けと明文化を行わなければいけない時代なのですね。
改革は一瞬遅れるとツケがきっと回ってくるのかも知れません。
