北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

風邪とメタボ、どっちに対応する?

2008-09-16 23:50:44 | Weblog
 アメリカのリーマンブラザーズ証券が破産。世界の金融界に激震が走っています。

 株価を始め、世界中の資産価値が下がって経済恐慌の危機が叫ばれています。日本の実体経済にもどのくらいの影響があるものか。まずは経済の、空いた穴をふさぐことが第一。経済復興までには時間がかかりそうだなあ。

 経済がデフレ状態に陥ると、土地や資産を売りに出しても、さらに値が下がるという思惑から誰も買ってくれず、資金が動かなくなります。お金は動くからこそ、連鎖的に波及効果が現れます。

 こんな時に金融政策では、政策利率を下げて民間事業者が借りるお金の利子を下げることで、投資を誘発させて景気を回復させることが考えられます。しかしすでに利子があまりに低い状態だと、いくら利子を下げても民間も反応しなくなってしまいます。

 そして利子を下げすぎた結果、債権を買って一定期間お金が使えないことと引き換えに利子をつけようという気持ちがなくなると、いつでも使える(流動性の高い)現金を持っていたくなり、投資や買い物をしなくなってしまいます。これが「流動性の罠」と呼ばれる状態。

 こうなると、我慢比べのようになって市中にお金が回らなくなり経済自身が動かなくなってしまい経済収縮がさらに悪化します。我慢すればするほど悪くなるとは皮肉なのですが、経済とはそういうもの。 

 こうなると、民間の悪化した気分が好転することに期待が出来ないので、とにかく強制的にお金を回すことが必要になります。

 その役割を果たすのが、国民から強制的に税金を徴収する権能を与えられて、それらを使って社会を安定させる役割をもった政府というわけ。だから中央銀行は資金を市場に投入して流動性の確保と事態の沈静化に必死で努めるのです。

 「民間が出来ることは民間に」とは言われますが、これはあくまでも健康な経済を前提にした話。危機対処は民間では出来ません。その被害を最小限に食い止めるのは、なにより政府の重要な役割です。

    ※    ※    ※    ※

 自民党の総裁選挙では、麻生さんは景気対策を重視する一方で、与謝野さんなどは国の財政の収支を重要視するという立場に立っていて、意見の分かれるところです。

 これは経済を長期的に見るか目の前の危機管理を重視するかという立場の違いのように思います。

 立場の違いというのは、例えば太っているけれど風邪で弱って死にそうな患者さんに、「栄養のあるものを食べて直してね」と言うか、それとも「メタボ対策が叫ばれているから、カロリーコントロールに気をつけて、あまり食べてはいけないよ」と言うのか、という違いです。

 「風邪が治ったらダイエットをします」というのと、「良い機会だから今ダイエットをしたら?」のどちらの診断を下すでしょうか。死んでしまったらダイエットもなにも意味が無くなってしまいます。

 この問いに正解はなくて、未来の人が過去を振り返ることが出来るだけ。将来を見据えた決断があるのみです。

 国のリーダーたちの果断な決断を国民は見守っています。

 政争の具にしている場合ではないはずなのですが…  
コメント
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