北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

活性炭工場の見学

2008-09-25 23:13:15 | Weblog


 午後に休暇を取って、埼玉にあるコーヒー豆のカスから活性炭をつくる工場を見学してきました。

 工場は約10億円をかけて作られたプラントで、ドリンクメーカーからのコーヒー抽出カスや蕎麦殻、おがくずなどを原料に年間数百トンが生産できるとのこと。

 問題は原料代とどれくらいで売れるか、というコストと利益の問題です。案内してくださった方に伺うと、「本当はドリンクメーカーはお金を出して処理してもよいくらいに思っているのですが、埼玉県ではそれは廃棄物処理に当たると言うことで、安いのですが我々がお金を出して原料を買う、という形にしています」とのこと。炭化ビジネスは、まだ廃棄物と環境行政の狭間にあるような印象です。



「蕎麦殻で活性炭を作るということはどうですか?」と訊いてみました。すると、「蕎麦殻は良い活性炭が出来ることは分かっています。しかし問題は、蕎麦の産地ではなく蕎麦殻が出る場所で、つまり製粉所がどこかということでしょうね」

 蕎麦粉を作っていても、それを殻付きの玄蕎麦を運んで粉に挽く製粉所でこそ蕎麦殻が出るというものです。実際に、北海道で採れた粉でも長野県で粉にすれば長野県産の蕎麦粉と呼んで良いというのが日本のJAS法の現実なのです。



「それとあとは現実に事業主がいるかどうかでしょうね。しかしこの事業には農水省のバイオマスタウン事業から補助金が出ます。しかも通常では1/2の補助が北海道と沖縄であれば2/3の補助となり有利です」

「こちらで作られ活性炭はどこで使われていますか?」
「今は使い捨てカイロメーカーから引き合いが来ていますが、良質な活性炭は水質浄化にも使えるので水処理メーカーからも問い合わせが来ています。話を広めてみると、『え?こんなところにも活性炭が使われているのですか?』とこちらが知らないところからも問い合わせが来ています」

「例えばどこですか?」
「空調でも空気を浄化するのに使われているんですね。ですから北海道でやられるとすれば、活性炭を必要とする産業との連携を作れるかどうかが鍵でしょうね」

「なるほど。蕎麦殻以外でも例えばトウモロコシの茎や芯などは活性炭になりませんか?」
「調べてみると、トウモロコシの茎などはまずキノコの温室栽培の菌床の材料として使われていることが分かりました。しかしキノコの栽培を終えた後の菌床の処理でも良い活性炭が出来ますし、トウモロコシの茎も大丈夫です」

「これからの販路拡大の見通しはいかがですか?」
「農業関係団体では早くから、炭化して土壌改良材などの農業用資材として使えないか、という研究が行われているのですが、いかんせん購入費用が高くては使えないということでコストの面で諦めているのが実態です。実際、安くするにも限界があるので今はいかに高くても買ってくれるところを探すか、という方に考えが向いています」

「なるほど」
「農業用資材にも通じますが、廃棄物を出したところで再利用してもらうという考えもあって、コーヒー抽出カスを送り出すドリンクメーカーが使う浄水器にこの活性炭を使えないかということを考えています。メーカーにしても低炭素化やリサイクル方針、企業の社会貢献などで大義名分が立ちやすいのではと期待しています」

 実際に粉状にした活性炭を触らせてもらうと、煙突掃除のススと同じくらいの細かさ。これでも活性炭としての性能は失われないのです。



「最後に、企業の環境意識は高まっていると感じますか?」と訊ねてみました。すると答えは「こればかりは企業に依りますね。真面目なところもありますし、え?こんな有名な企業なのにこんなにだらしない意識なのか!と驚くこともあります」とチクリ。

 消費者も高い意識をもって、企業の社会的価値を総合評価するなんてことも必要な時代が近づいているようです。

 企業評価が株価だけ、なんて寂しいですね。さて、環境意識の高い企業はどこかな?
コメント (3)
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