毎年この時期に恒例の伊豆天城での会合に参加しています。今日は現地からのレポートです。
本当は明日の土日の一泊二日なのですが、遠い人や世話人のために前泊も受け入れてくれていて、今日は私も前泊です。
明日朝でも来ようと思えば来れるのに会えて前泊をしたのは、道内から後輩を推薦して新しいメンバーに加えてもらったため。彼を会合にスムースに紹介するためには一緒にいた法が良いと思いました。
後輩とは道北のある町の町長なのですが、人口わずか2000人足らずの町のリーダーとして、町の経営の現実を訴えるのには彼以上の適任はいないと考えたのです。
一般には町長という役職ともなるともう年寄りが多いのですが、異例の若さで地元で町長をしてくれているので、50歳以下限定のこの会議にも誘えたというわけ。
この会議は各界をこれから支えるであろう多士済々が集まっていますが、中央に偏りすぎると理屈や理念での思いが先行しがちなところがあります。そんなときには地方の現実という現場感覚が一番刺激になるものです。
理屈やあるべき論をいかに語ったところで、現実はそんな理想通りにはなっていないし、理想になど到底近づくことはできません。そんな現実を前にして理屈は何ができるというのでしょうか。
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「農業が町の産業の中心ですが、案外新規就農者もいます。それを補助金など行政の支援で支えて農業の道を導いています。しかしそれが成功するのは現実には非常に難しいことです」
「農業経営を成功させるためには何がポイントになるのですか?」
「経営の哲学でしょうね。新規就農には牛や牛舎、草のための牧草地、トラクターなどで8千万円の初期投資がかかります。それを農協を始めとしてお金を貸すシステムが出来上がっています。しかしサラリーマンならば月々の収支が明らかになって、節約をしたり家計のコントロールも可能ですが、酪農となると一年間の収支がどかんと出てくるので、何にお金がかかっているのか分かりづらいシステムになっています」
「なるほど」
「そのため何千万円も借金をしていると、さらに少しくらいの借金なんど何でもないような気がして麻痺してしまいがちなのです。そこで節約や投資に対してしっかりとした理念を持っている人は次第に成功しますが、まあいいやと思ってしまう人は大抵失敗するというわけです。成功するのは本当に一握りの人たちでしかないんです」
「それは厳しいですね」
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「最近の課題は何ですか?」
「地元の高校の廃止問題が浮上しています。地元の高校が廃止されると一番近い高校は約80キロ離れた隣町に行かなくてはなりません。80キロというのは、東京から小田原の距離とほぼ同じです。関東にはこの間にいくつ高校がありますかね」
次から次へと出てくる小さな町の現実に、自分だったら何ができるだろうかと思ったものの、答えは簡単には出てきません。
明日はさらにたくさんのメンバーと意見交換ができることでしょう。
楽しみな二日間の始まりです。