出張で旭川へ来ました。市役所とちょっとした打ち合わせです。
旭川は道内老舗デパートの丸井今井が撤退を表明していて、中心市街地の空洞化にさらに拍車がかかるのではないかと心配をされています。私の所属する組織としてもなんとかしたい地方都市の課題です。
丸井さんの場合、今後これだけの商業床がどうなるのか、なにかに利用されて雇用やにぎわいの創出に貢献してくれるのかはまちなかの活性化に大きな影響を与えることでしょう。
しかしながら、商業床をテナントに貸すという販売形態は、郊外の巨大ショッピングセンターの浸食を受けて防戦一方です。市民の足が公共交通から自家用車に変わっていったことで中心市街地の魅力が薄れ、それと同時に大きな駐車場を用意する郊外型ショッピングセンターの方が行きやすくなり魅力が増したのです。
ショッピングセンターは郊外の安い土地に立地することで少ない資本で大面積商業床を構えることができ、大面積の分品揃えも豊富になりました。利用者の目はいつもシビアで、魅力のある方に足が向くのは当然と言えるでしょう。
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中心市街地の衰退問題は話題のなり始めた初期の頃は中心商店街の衰退の話と同じ事で、各自の商業の問題に行政が口を出すことははばかられる雰囲気がありました。民間事業者個人の商才の問題ではないか、そんなことに税金を出して良いのか、という考え方です。
しかし個々の商売の集積が失われることで中心市街地のにぎわいや集客力求心力が低下してくると、次第にそれは社会的な損失であるという認識も高まってきました。
国も地元の自治体や商業者たちが資金を出すのであれば一定の支援をするという方策も充実してきました。
郊外型ショッピングセンターが日本中で建設されて、ほぼ一巡をしたあたりの頃に、よく「ショッピングセンターはいついなくなるかわからない。まちなかの方を大切にした方がよい」という中心市街地擁護論がよく聞かれました。
事実、儲からなくなったショッピングセンターの中にはそうした振る舞いをするところもありました。
しかし皮肉なことに現実は、まちなかのデパートの方が先に撤退をせざるを得ないという事実に直面をしているというわけです。
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旭川は市内中心部にあまりマンションがありません。いわゆる都心居住よりも郊外居住の方が魅力があるのです。
まちなかには現在生鮮三品(肉、魚、野菜)を売るようなスーパーはあるデパートの地下に一軒しかありません。まちなかに住んでも日常の食材すら買えないのではやはり魅力に欠けます。
マンションや賃貸住宅などを増やすと同時にそうしたスーパーマーケットを充実させるということを同時並行的に行わなければ、純粋商業地域からの変革は難しそうです。
旭川にはそうした方向性を打ち出したビジョンがあるのかどうかもあまりはっきりしません。市役所と市民が思いを一つにするような工夫がありそうでないようです。頑張って欲しいのですが。
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旭川駅の近くに市の観光情報センターがあって、そこでは無料で貸し自転車を貸してくれるのでした。無料ということはビジネスにはなっていないということでしょう。市内を巡る観光もないのかな。
なんとかしたいもんです、まったく。