北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

不動産販売の王道

2009-12-04 23:43:03 | Weblog
 ビル十棟ほどからなる面開発されたエリア施設の管理についてお話を聞きに、ある管理会社を訪ねました。

 事前にアポを取っていた部長のAさんは、元銀行マンだったそうで、およそ銀行業務でやっていない分野はないと豪語するほど多方面で活躍された方。おまけに国にも出向していて、土地の流動化を推進する時には関連する法律作成までお手伝いされたそうで、とにかく話が弾みました。

 話しは次第に不動産販売の話しになってゆきましたが、このA部長はこの分野でも実に深い哲学をお持ちでした。

「…たとえば今日私はこままささんと始めてお会いしましたよね。でももし家やマンションを買うおつもりがあるんだったら絶対に買って頂く自信がありますよ」
「ええ?そんなことができますか」

「ええ。まずポイントは奥様です。家は普段家にいることが多い奥様が主導権を握りますからね。そして私が保有しているあちこちの物件をお薦めします。しかしその物件は単なるデータとしての物件ではありません」
「…といいますと?」

「もっている物件は間取りや内装はもちろんですが、全て事前にその地域のことまで徹底的に調べ上げておくんです。スーパーはどこにあって何が安いか、日常の騒音はどうか、周辺の樹木など環境はどうか、病院、学校…、そうしたことが全部頭に入っていて始めて、お客様のライフスタイルに合致するかどうかを判断してお薦めする物件をアドバイス出来るというわけです。敷地の中に木が生えていたら、私はその土までなめました。この土でこの木が育つかどうかまで分かりますよ」
「ほー、なるほど!お客さんのライフスタイルで薦める家も異なるというわけですね」

「例えば、千葉県の奥の佐倉という地域であれば、まだ昔ながらのイメージが強くて、家には畳の部屋が2室以上ないと売れません。逆に多摩ニュータウン地区になると、畳の部屋は1室でないと売れないんです。これはその地域のカラーですが、こうしたことも案外大事なんです」
「へえ、ある種の眼力ですね。ところで住まいを選ぶ際のポイントというのはそうしたプロの目から見てどのあたりにあるのでしょうか?」

「これはいくつかありますが、まずは女子大が近くにある駅の近くに住むと良いです。そうしたところは若い女性が多くて、それに引かれて若い男性も増えて賑やかになります。すると安い賃貸の物件が増えてきて、しかも回転率が高くていつも若い人たちがいる町だということですね」
「他にはありますか」

「あとは実際に現地を見学する時は、平日に行かれた方がよいでしょう。土日と平日では交通が違うので騒音の量や質が異なるんです。それに近くのスーパーなども巡ってみて、自分なりの指標となる品物の価格を見てみることです。大根が120円?高いなあ…とかね」

「それに、あとは地方税が安いかどうかもあります。安いと言うことは税金を稼いでいる仕掛けがあるわけで、例えば府中市ならば競馬場があっておかげで市民税は安いですし、おまけにゴミの収集が多いなど市民生活の便利も大きいのですよ。また都会へ出る電車賃が安いところを選ぶと良いでしょう。今の土地が安くて良いとしても都会に出る電車賃が150円か500円かで、出てこようという気持ちが変わります。絶対に都会に気楽に出られるような場所のほうが良いんです」

「ははあ、なるほど。それにしてもこういう上司をもつと部下の方は大変でしょうね(笑)」
「私は部下には『家を売ろうと思ったら家事をしろ』と言い続けています。家事をしない者がプランしたりデザインしたりしているような家は得てしてどこかが抜けています。天井が高いのが良い、と言っても、歳を取って蛍光灯を替えにくくなっていないかとかね。洗濯をする時に手元が暗いのは、適切な場所に照明がないからだ、とかね」

    ※    ※    ※    ※

 とにかく話題が豊富な方で、現場も数多く歩かれているので話す内容にも力がありました。

 「現場を見て知り尽くすことでどんなリクエストにも答えられるし、逆に薦められない理由も伝えることが出来ます」という言葉にプロを感じました。

 こういう方が管理を担当する施設は素晴らしい道理です。

コメント
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