北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

都会は友達が消えて行く

2009-12-19 23:40:38 | Weblog
 東京都の港区、中央区、千代田区の三つを差して「中央三区」と呼びます。

 この三つの区は集中が進む東京の中でもさらに、オフィスニーズや居住ニーズが押し寄せていて、開発が盛んな区なのです。

 私の知人のAさんは、この三つの区の中のある地区で生まれ育ち、一度他区へ移ったものの、今ではまた元の実家に戻って生活をしています。そこで聞いたのが「だんだん友達がいなくなるんですよ」ということ。

 そもそも元々東京で生まれ育っているAさんの地区では、地域の同級生などは敢えて他の都市へ行ったりすることもなく、そのまま地元で小中高と勉強をして都内で就職をするというのが普通だったのだそう。その友達がいなくなる?

「友達がいなくなるとはどういうことですか?」
「一度目はバブルの後でしたね。二度目はつい最近そんな波が来ていました」

「バブルの時に売り払って出たとか?」
「いえ、そのときには出ないんです。自分の土地にビルを建て、自分は最上階に住んでビルの床をテナントに貸すんです。そうすれば地域に住んだままでお金がたっぷり入って来るというわけです」

「それなら出ていったりしないのでは?」
「それが、バブルははじけますよね?ビルを建てると言ったって、ある程度の借り手がいることを前提に借金をするわけですからね。バブルが弾けてそれまで入っていたテナントが高い賃料を払えずに出ていく、そうすると自分の借金が払えなくなって、そこを出て行かざるをえないという構図なんです」

「ええ?そんなことになっているんですか?」
「全部が全部そうやっていなくなるわけではないし、私の身の回りの出来事として聞いて頂ければよいと思うんですが、よくよく友人達の話をそれも数多く聞いていると、どうやらそう言う事例が実に多いんです」

「ふーむ」
「最初はなんだか良いことしか言わないんですよ。『そのあたりにも飽きたから緑の多いところに移ったよ』なんてね。そんな連絡が世田谷から来る、やがてそれが多摩川を越えて神奈川県から来る。その友人は静岡からの便りが最後で、そのあとは音信不通になりました。でもそれが一人や二人じゃないんですからねえ。末端にこそなにがしかの真実があるような気もしますよ」

「ははあ」
「それにビルやマンションが出来ると町内会がどんどん細分化されるんです。ちょっとした面積のところに大きなマンションが建つと、そのマンションの住民で新しい町内会ができるんです。人数は増えるかも知れませんが、面積は小さな町内会が増えてもいるんですよ」


    ※    ※    ※    ※

 Aさんは「あくまでも私の周りの出来事だと思って聞いてくださいね」と言っていましたが、まさに数多い事例の中には何かの真実があるのだと思います。

 東京には東京独特の地域社会の変化の仕方があるようです。それが破壊なのか誕生なのか、はたまた破壊することで誕生しているということなのか。

 それが都会なんだ、ということなのかもしれませんが、田舎者で良かったとも思ったのです。 

コメント
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