北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

障がい者への住まいの支援

2009-12-18 23:55:58 | Weblog
 ある勉強会で軽度知的障がい者のための自立住宅のお話を聞きました。

 お話をしてくれたのはNPO法人ぱれっとの方で、もう20年以上も障がい者が自立出来るような活動を支援してきた団体です。

 これまでも「おかし屋ぱれっと」でクッキーを作って販売したり、Restaurant & Bar Paletteでスリランカカレーを売るお店を経営したりと、知的障がい者が働いてお金を稼げる環境を支援してきたのです。

 名前の「ぱれっと」とは、絵の具を混ぜる時に使うパレットのことで、健常者、障がい者、外国人を色に見立てて、これらが混ざり合うことで新しい色を作り出したいという願いが込められています。

 このNPO法人ぱれっとが今建設を進めているのが、「ぱれっとの新しい家」です。

 これは軽度の障がい者が一人で自立して生活出来るような家を提供したいという思いから、健常者と共にグループホーム的に部屋住まいと共同スペースを併せ持った家をつくり、日常の生活のほんのちょっとした手伝いをすることで生活を支えるという哲学をもった家です。

 この事業に理解のある企業が、社員寮を建て替えようとした際にこの話を聞きつけて、土地を貸してくれて、併せて自ら建設も手がけて8人用の住宅を建設したのです。

 知的障害でも軽度の方であれば、日常生活にほとんど支障はないのですが、たとえば見知らぬ人との関係作りがうまく行かないというような方が、宅急便を受け取ることが出来ない、などということもあるのだとか。

 そんなときに同居人が替わりに受け取ってあげたり一緒にサポートすることで、それ以外は普通の生活が出来るという、そんな気楽な同居を目指した家造りです。

 もうすぐ完成して、その後の入居者を募集しており、健常者5名、障がい者2名がほぼ決まったそうです。

    ※    ※    ※    ※

 障がい者の支援というと、なかには肩肘張った「私が支援するんだ」という気構えで来る方もいるそうですが、そんなに気を張っても長続きするものではなく、親切の延長みたいな感覚で普通に対応できる感覚の方が良いのだそう。

 しかしながら現実にはそうしたちょっとだけ手伝ってくれるだけで一人暮らしが出来る人を受け入れられるような住まいが日本にはほとんどなくて、結局親との同居や施設で暮らさざるを得ないのが現状になっているのだそうです。

 NPOぱれっとでは、「これが正解とも思いませんが、こうした活動を広めるためにもまずは自分たちで前例を作らなくてはと思っています」とのこと。

 国交省も厚労省と協力し合って、来年からこうした家造りに対して地方公共団体が補助するのであればその一部を国として補助する制度を始める準備をしているとか。

 
 そうした障がい者も、欧米では一人暮らしが当たり前なのに日本ではお金を給付して事足れりとする制度が強すぎて、こういった共生に対する理解がまだまだ不足しているのだそうです。

 今回の入居者を選ぶためには、すでに2~3年のワークショップを重ねた人同士の繋がりがあればこそ、とも言っていました。全ては関係性があっての上に成り立つ社会環境です。
 
 お金だけでは解決しない、住民が思いを差し出す社会が望まれています。


【NPO法人ぱれっと】
 http://www.npo-palette.or.jp/ 


 なお、私自身「障がい者」と書くのには抵抗があります。

 漢字で書くと「障害者」となるのですが、これは元々の「障碍者」、あるいは「障礙者」と書いたもので、「害」をもたらすような意味はなく、単に「身体に障りがあって本来の機能を果たさない」という意味だけのことです。電気を絶縁する陶器製の碍子(ガイシ)というのもこの漢字です。

 問題はこの「碍」やその元々の「礙」と言う漢字が常用漢字に入っていないために代用として「害」の時が使われてしまっていることです。

 是非とも「碍」の字を復活させて欲しいと思います。 
コメント
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