北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

真夏に熱燗が似合う ~ くしろヒア(冷)ガーデン

2012-08-01 23:28:14 | Weblog
 いよいよ今日から始まった「くしろすえひろヒア(冷)ガーデン」、

 屋外の公園を会場にしてビールを飲もうという、一見ビアガーデンですが、ただのビアガーデンだったら日本中どこにでもあってつまりません。

 日本有数の涼しいまちでの催しなのですから、ヒア(冷)ガーデンというのが釧路らしくて良いではありませんか。

 とにかくわが町の外と違うところを徹底的に磨き上げて特徴づけてゆかなくては都市間競争のどんぐりの背比べから抜けることはできません。

 このネーミングや「冷やっぽさ」を前面に出して売りにしてゆきたいものです。




    ※     ※     ※     ※     ※


 今日の釧路は午前中はから雨が降って暑くて暑くてたまりませんでしたが、午後になって急に海霧が出て一気に涼しくなりました。

 まさに釧路らしい「冷やガーデン」の演出ができました。

 開会式で出席者百人での乾杯の後に皆思い思いに飲んでいましたが、もう一つの釧路らしさは、夏の屋外にもかかわらずメニューに日本酒の「熱燗」があることで、これこそもう一つの釧路らしさです。



 まずは面白がって飲んでやりましょう。

 夏のビアガーデンで熱燗に違和感がないって、これが釧路だいっ!

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津波堆積物調査の有効性と現実

2012-08-01 22:12:38 | Weblog
 昨年発生した東日本大震災における津波被害については社会に大きな衝撃を与え、多くの自治体が津波防災に向けた備えを進めているところです。

 今回の大津波は事前に想定出来なかった(?)ということから、様々な知見を駆使して新しい津波被害想定を作る動きが活発化しています。

 道庁でも先般、新しい地震津波被害想定を発表しました。

 これによって釧路市では、これまでの国の中央防災会議が策定した500年確率津波による浸水区域を想定した津波ハザードマップに対して、頻発するが低いレベル1の津波と、確率は低いが巨大な規模を持つレベル2の津波という新しい津波想定高が示されたところです。

 釧路市役所の位置で言うと、これまでの500年確率津波の場合浸水深が1m未満なのに対して、道庁発表はレベル1ならば市役所に届かず、レベル2の場合は、防波堤効果を見込むかどうかで5.7~7.3mの浸水深とされています。

 今回被害想定が随分と大きく出された背景には、過去の津波による被害を調査する上で、津波によって陸に打ち上げられた痕跡物(いわゆる「津波堆積物」)の調査が進んだことがあげられています。

 陸上の地層の中に海砂や貝類など海由来の生成物があるとしたら、これを運んだのは津波しか考えられない、というもので、これによってどんな高さの地層からどれくらいの津波堆積物が出てきたかをつぶさに調査することで過去の津波の大きさが分かるのではないか、という考え方が活かされています。

 科学の進歩を緩めてはなりませぬ。


    ※    ※    ※    ※


 しかしこの津波堆積物というやつもなかなか得体の知れないもので、実態がイメージ出来なかったために、私自身先週北大の西村先生を訪ねて、津波堆積物について直接意見交換をしてきたのでした。

 西村先生とは北大学生時代の友人なので気安く話ができましたが、その際に、「何か参考になる論文や記事があったら教えてください」とお願いをしていたところ、彼から「これが参考になると思うよ」というメールが届きました。

 それが、科学という雑誌に寄せられた『地質記録を津波防災に活かす』という一文で、最新の知見を分かりやすく伝えてくれる大変良い文章です。【こちら→http://bit.ly/OBeJh3

 
 ここには、「津波堆積物を用いて、何ができて何ができないのかの技術的限界が多く語られてはいない」という最前線での研究者のある種の当惑が見て取れます。

 もちろん津波堆積物は過去の津波の発生時期や規模の推定に有効なことは確かですが、しかしまだまだ多くの課題と技術的限界そして未成熟な部分があるのだそう。

 驚いたのは、「2011年津波は決して想定外ではなかった」と書かれている点。

 例えば三陸地方沿岸では、1896年の明治三陸津波の遡上高と大きな差はなく、また仙台平野での津波堆積物を調査してみると、貞観11(869)年の貞観三陸津波とほとんど違いがないということも分かってきました。

 しかしもう20年もの研究の積み重ねがある貞観津波堆積物でさえ、3.11以前は日の目を見ていなかったことや、1000年以上も昔の出来事が再来するという時間スケールの観念が防災担当者の間にも市民の間にも認知されていなかったのだろう、という反省が語られます。

 それゆえ急速に注目を浴びている津波堆積物ですが、昨年以来全国各地で津波堆積物とされているものはまだ「候補」としか呼べないようなものも多く、研究はそうした候補をいかに絞って行くかという地道な努力の積み重ねなのだ、という現実を我々は知るべきでしょう。

 「候補」地段階の津波堆積物の多くは、①調査地点が限られている、②複数グループによる検証が行われていない、③専門家による客観的な評価を受けていない、などの問題があり、津波堆積物と広く認められる事例が少ないのが現状なのだそう。

 そうした候補が多いなか、数少ない事例として防災対策に活かされているのがここ道東の「500年間隔・津波」くらいなものだそう。

 釧路での500年間隔津波への備えはそれだけ充実していると言えるわけで、新しい津波被害想定とのギャップに担当者は苦しんでいます。


    ※    ※    ※    ※



 3.11以降にわかにクローズアップされてきた津波堆積物調査ですが、その実態をまずはよく勉強して、できることとできないことの現実を見極めた上で、防災意識の高い市民になりたいものです。

 津波被害が想定される行政マンも、海沿いに住む市民の方もどうぞこの一文をお読みになって、現実の理解を深めて頂きたいと思います。

 


 
【図 ― 津波堆積物分布の模式図の説明】

3000 年の地層記録が得られる地域で,現在,1000 年前,2000 年前の津波堆積物が存在し,現在と1000 年前の海岸線の位置が異なると仮定。津波堆積物は凹地に堆積する特徴があり,必ずしも連続的に堆積しない。そのため,①,②,③を掘削した場合,それぞれ津波堆積物が3 層,2 層,存在しない,という結果になる。
また,現在と1000 年前の津波堆積物の海岸からの分布範囲は,古地形を考慮すれば同じであるが,古地形がわからず現在の海岸線から比較してしまうと,1000 年前の津波堆積物のほうがより内陸まで到達している(規模が大きい)と判断を誤ることになる。
 
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