北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

釧路木鶏クラブ8月例会~己に克つ

2012-08-20 23:45:39 | Weblog
 人間学を学ぶ月刊誌「致知」の読者による勉強会、「釧路木鶏クラブ」の八月例会が開かれました。

 今日は事務局をしてくださっているOさんがリーダーとなって、「私流人間学 人間を変えるような学問でなければ学問ではない」として、ご自身の人間学の歴史をご披露してくれました。

 致知の八月号の巻頭の言葉は『克己復礼』。

 孔子が最も愛した弟子が顔淵(顔回とも)でしたが、彼と講師との問答にこういうのがあります。

 「顔淵、仁を問う。子曰く、己に克ちて禮(れい)に復(かえ)るを仁と為す」

 仁を実践するために最も重要なのは、自分自身に克(勝)って、礼つまり社会の規範をしっかりと守ることだ、と言うのです。

 この問答から、『克己(こっき)』という言葉がよく用いられます。

 己に克つ、自分自身の私利私欲に打ち勝つことが大切だ、という意味でよく使われます。覚えておいて損のない言葉ですね。





    ※     ※     ※     ※     ※



 さて、Oさんは、「人間の根源とは何か?」という問答を良くするそうです。

 そして自分や他人のことを考えるときに、(人からまず地位を剥がして、次に身分を剥がす。さらに報酬、親、子を引き剥がして行ってその後に残るものはなんだろうか?)と思って見てみるのだといいます。

「そうやると最後に残るのは、信仰や信念、教養や人間性みたいなものでしょう。それを自分と比べてみるんです。そうすると一見『すごい』と言われる人と会っていても、案外物怖じしなくなるんですよ」

 さて、後から身に着けたそれらを剥がされた後に自分自身に残るものはなんでしょう。

 最後に残るのは人間力でしかありません。


    ※     ※     ※     ※     ※


 参加者の一人には教育関係の方もいて、その方から最近のイジメ問題について一言ありました。

「最近あることから、西郷隆盛のいた薩摩に伝わる郷中(ごじゅう)教育を知りました。そうしたらそこに伝えられる掟の一つが『仁愛』ということで、それはつまり『弱い者をいじめるな』ということなんです」


 あとで調べてみると、薩摩の郷中教育の三つの掟とは、「負けるな(克己)」「嘘を言うな(誠)」「弱い者をいじめるな(仁愛)」なのだそうです。


「あの西郷さんを生んだ薩摩でさえ、教育の中で『弱い者をいじめるな』ということを大切な三つの一つとして教え続けていたのか、ということを知って、ちょっと感慨深いものがありました」

 
 今の先生って教えなくちゃいけないことがたくさんあって大変そうです。

 でも本当に大事なことは、何度でも何度でも繰り返し繰り返し教えないといけないもの。

 樽にはタガがあって、緩んだタガはすぐに締め直せば事なきを得ますが、それを放っておくから取り返しがつかなくなるのです。

 それにしても弱い者いじめというのはいつの世もありうるのだということなんですね。

 そのいじめたくなる自分に打ち勝つことが「克己」でもあるのですが。


 今回も新しい参加者が一人増えました。少しずつでも広がると良いですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする